seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

ご飯に、みそ汁をかけると行儀が悪い?

ご飯にみそ汁をかけて食べるのは行儀が悪いとされている。

 

f:id:seege:20210808153317p:plain

何度も、「ご飯にみそ汁をかけて食べる」と書くのは、読む方も煩わしいと思うので、まず、この食べ方の名前を定義する。

「みそ汁かけご飯」というのが一番、伝わりやすい気がするが、それでもまだ長いので、「汁かけ飯」としたい。

お茶漬け・卵かけご飯は社会に認められている

ここで、本題に戻すと、「汁かけ飯」と同じような食べ方でも、「お茶漬け」、「卵かけご飯」は社会的に認可されているような気がする。

f:id:seege:20210808161111p:plain

そもそも、自分の家では、母親が「卵かけご飯」「お茶漬け」も行儀が悪いというイメージを持つようになってからは、積極的に食卓に出されることはなかったが、それまではよく出されていたので自分は好きだった。

このため、自分が食べたいと言えば、用意してくれた。

しかし「汁かけ飯」に至っては論外だった。

ご飯にみそ汁をかけると、食べやすくなることを発見した。

しかし、それは行儀が悪いと叱られたものだ。

それでも、すきを見て、味噌汁をかけてしまえば、捨てるわけにはいかない。

繰り返していると、嫌な顔をされる程度で黙認してくれるようになった。

しかし、大人になるつれて「汁かけ飯」に対して罪悪感を感じるようになり、食べる頻度は減っていった。

頻度が減っただけで、それでも食べているのは、ご飯がうまく炊けずに柔らかくなり過ぎた、ご飯が固くなってしまったといった時には、ご飯を無駄にしないで済むからだ。

だったら、なぜ「お茶漬け」にして食べないのか?と思うかもしれない。

理由は簡単で、みそ汁は目の前にあるので、それをかけるだけで済むからだ。

なぜ「汁かけ飯」は認可されないのか?

そもそも、なぜ、お茶漬けは良くて、「汁かけ飯」はダメなのだろうか?

これは個人的な見解だが、「卵かけご飯」「お茶漬け」は食べかけのご飯に卵やお茶をかけるわけではない。

しかし、「汁かけ飯」は、ご飯が残りそうなタイミングで味噌汁をかけるので、その行為が汚い感じに見えるのではないだろうか?

食べ残しに、みそ汁をかけるので「ねこまんま」「犬飯」「ぶっかけご飯」という決して美味しそうな名前が付けられず、長い歴史を経て悪い行儀の悪い食べ方になってしまったのではないかと思う。

確かにご飯にみそ汁をかけた姿は美しいとは感じないので、自分自身も罪悪感を感じるようになったのだと思う。

個人的には、鍋のあとの締めだといって、鍋の残りで雑炊を作ることの方が、見た目的にも中身的にも美しいとは感じられない。

f:id:seege:20210808181616p:plain

芳飯(ほうはん)

汁かけご飯が認可されない理由を調べていくうちに、「芳飯(ほうはん)」という「汁かけご飯」を上品にした食べ方があることがわかった。

ご飯の上に陰陽五行で五色の具(野菜や魚を細かく刻んだもの)を乗せ、その上から、にぬき(水、みそ、鰹節)を煮てこした汁をぶっかけて食べる。

五色の具材が加わることで見た目も良くなり、みそ、鰹節といった出汁もあるので、美味しかったことだろう。

f:id:seege:20210808165731p:plain

食べやすくて見た目も良いということから室町時代には上流階級で流行したということだ。

芳飯は室町時代に肉類を食べることができない僧侶たちが野菜のみを具とした精進料理として食べ始めた「法飯」が起源らしい。

法飯(野菜飯)→芳飯となったのだろうか?

芳飯は、丼飯、お茶漬けの起源だとも言われている。

汁かけ飯は由緒正しい食べ方

このように、汁かけ飯は、古くから食されている伝統的なものになる。

それを証明するのが「」という漢字だ。

「サン」と読む。

実は、この漢字1文字で「しるかけめし」という意味があるそうだ。

【出典】「説文解字」より

「鑽」が誕生したのは、紀元100年頃(日本では弥生時代)の中国だということなので、汁かけ飯は紀元100年頃からあった事になる。

日本での最初の汁かけ飯は平安時代になる。

熱いご飯に冷たい水をかけただけの「水飯(すいはん)」というものがあって源氏物語(常夏)の冒頭にも登場する。

いと暑き日、東の釣殿に出でたまひて涼みたまふ。中将の君もさぶらひたまふ。親しき殿上人あまたさぶらひて、西川よりたてまつれる鮎、近き川のいしぶしやうのもの、御前にて調じて参らす。例の大殿の君達、中将の御あたり尋ねて参りたまへり。「さうざうしくねぶたかりつる、をりよくものしたまへるかな」とて、大御酒(おほみき)参り、氷水(ひみづ)召して、水飯など、とりどりにさうどきつつ食ふ。

【出典】源氏物語(常夏)より

これより、平安時代の貴族が水飯(汁かけ飯)を食べていたことになる。

やはり、夏場は暑いので、熱いご飯は食べにくいので、冷たい水をかけることで食べやすくしたのだろう。

冬には「湯漬(ゆづけ)」と言って、玄米を乾燥させた干飯(ほしいい)にお湯をかけたものを食していたようだ。

【出典】大鏡より

その後、室町時代に芳飯が流行する。

江戸時代になると、ご飯に蒟蒻をあえた温かいご飯にだし汁をかけた「蒟蒻飯(こんにゃくめし)」が流行している。

こうして、歴史を調べてみると、日本はご飯に汁をかける文化がずっと続いていることになる。

f:id:seege:20210808192209p:plain

そう考えると、汁かけご飯は、行儀が悪いどころか、日本古来の由緒正しい食べ方だと言えるのではないだろうか?