偶々、頂いた「たい焼き」
何年か前に食べきれないので、食べて欲しいと言われて頂いた「たい焼き」
包み紙には、以下の内容が書かれている。
- 北海道産の小豆を使用し、能登の塩と大野の醤油で味を調え、和菓子職人の腕により炊き上げたこだわりの「あん」そんな本格的なたい焼きをぜひ一度味わってみてください。(店主)
正直「たい焼き」は苦手だった。
たい「焼き」と書いてあるのに焼いたというよりは、熱くて蒸しただけの皮。このため、皮には水分が含まれてしまう。そして小豆の渋みが抜き取られて旨味が感じられない餡子。
シットリというよりも、ジメっとした皮で甘ったるいだけの餡子を包んだものが、たい焼きだと思っていた。
作り手が、たい焼きに愛情を持っていないからこのような、たい焼きができるのだと思う。
正確には「たい焼き」が嫌いなのではなく、愛情が込められていない、たい焼きが世の中には多すぎるということだ。
食べたこともないのに失礼なことだが、たい焼きの老舗、名店と言われる店であっても大差はないのではないかと思っていた。
それくらい、たい焼きには良い思い出がない。
たい焼きから美味しい香り
それなのに、なぜ食べようと思ったのかというと、せっかく頂いたのに食べないのは失礼だという気持ちは当然あった。
しかし、それ以上に紙袋から漂ってくる、たい焼きの香ばしい香りが、食べたいと感じさせてくれた。
これは今までのたい焼きとは間違いなく違うと思った。
たい焼きを紙袋から取り出そうとすると、たい焼きに耳というか羽根付餃子のような羽根が付いていた。
羽根の部分を一口食べると皮の香ばしい香りと味が口の中で広がった。
皮が実に美味しい。
羽根があることで一口では餡子が入ってる部分まで到達しないので、皮だけを自然と口に入れることになる。
もう一口食べると、餡子まで到達した。
餡子は粒あん。
皮の若干感じる苦味と共に職人がしっかりと炊き上げたという餡子の甘みが口の中で広がっていく。
餡子は単に甘いだけでなく小豆の渋みが若干残したことによる旨味が感じられた。
高級和菓子の餡子のような風格さえ感じられる。皮にピッタリの餡子だと思う。
羽根付きのたい焼きは皮に自信がないと、できないと思う。
自分が思っていた、たい焼きの皮、餡子のイメージとは全く違っていた。
皮にも、餡子にも作り手の愛情がしっかり感じることができた。
そして「たい焼き」にもこんなに美味しいものがあるのかと驚いた。
なぜ羽根つき?
羽根付きたい焼きで有名な神田達磨によると、餡子の美味しさを際立つようにすると共に皮そのものの美味しさも楽しめるようにとあるので、やはり皮の美味しさを味合うための羽根のようだ。
たい焼き工房土九
どこの店のたい焼きかと包み紙を見ると、「たい焼き工房土九」と書かれてある。
ドキュウ?ツチキュウ?読み方がわからない。
調べてみると、「ツチク」と読むらしい。
どういう意味なのか?
店の創業者の名前が「土屋九兵衛」で姓の最初の一文字と名前の最初の一文字を取り「土九」としたと、書かれてあった。
一度、1976年に14代続いた店を閉め、その後、2014年に金沢で復活した。
金沢で復活してくれたおかげで、自分のたい焼きに関するイメージを変えてくれた。
名店、老舗と言われる、たい焼き店は更に美味しいのかもしれない。
そう考えると、機会を作ってでも食べに行きたくなったが、その後、コロナ渦となってしまい、行けないままになっている。
残念な点が一つ
一つ残念だったのは、残念なのは見た目だった。
ガタガタなフォルムでは、美味しいものも美味しくなくなる。
食べ物というのは見た目が重要だ。
このまま出されたのでは食欲はなくなる。
見た目に関しては、これまで自分が食べてきたどのたい焼きよりも酷い。
最低の出来栄えと言っても過言ではない。
ここまで見た目が酷いと味に関する愛情はあっても、見た目に関しては愛情の欠片も感じさせない。
この点だけは是非、改善して欲しいと思う。
「土九」は金沢では有名店
土九は金沢では有名な「たい焼き店」のようで、石川県内に3店舗ある。
本店が「野々市市(ののいちし)」、「小松市(こまつし)」、そして金沢駅構内の「あんと西」
たい焼きの見た目は悪いが、美味しいので金沢駅で少し時間がある時には、是非、一度、土九に足を運んでみてはいかがだろうか?