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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

うつ病だから特別扱いですか?(その2)

前回、深田恭子さんが「適応障害」と診断されたことから暫く休業するということで、「適応障害」について書こうと思ったのですが、僕の得意の脱線で、うつ病で休職していたA君が僕のところに異動になった時の体験談に変わってしまいました。

思った以上に長くなってしまったので、話を分けることにしました。

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今回は、その2回目となります。

ジョブコーチとの面談

A君は、うつ病の治療でお世話になったジョブコーチとは復職しても定期的に面談を行うことになっています。

その面談で、新しい職場での不満などをジョブコーチに逐次報告しているような感じです。

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過呼吸になったのは僕にも責任があって、A君は僕の暗黙のプレッシャーのようなものを感じ取っているので、もっと笑って褒めてあげてくださいと、ジョブコーチは言います。

A君のうつ病治療が僕の仕事なら、それも良いでしょう。

しかし僕の仕事は、うつ病治療では、ありません。

正直、納期とうつ病に挟まれて、もう笑う気にもなれません。

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想像していたのを遥かに超えています。

正直、どう対処しようかと悩みました。

何とか復帰してくれたらという思いはありました。

環境を変えた方が良い

ジョブコーチによると「うつ病」というのは環境によるものが大きいので、治療後の復帰という意味では本来は環境(会社)を変えた方がうまくいく場合が多いようです。

同じ環境だと、同じことの繰り返しになってしまい、どうしても再発しやすいので、ジョブコーチは環境を変えることを勧めたようです。

しかし、本人の希望は、今の会社で働きたいというものでした。

会社を辞めないなら、せめて職場を変えるということになったのですが、会社としては職場を変えて欲しいと言われても、何をしてもらえば良いのかわからず、今のままでは本人のためにもならないし、正直、辞めると思っていたので会社に復帰すると聞いて驚いたようです。(会社から辞めて欲しいということは絶対に言えません)

会社の本音は辞めた方が双方のため

新しく異動してくる者がいるという話をした時に、会社としては辞めた方が双方のためだというスタンスだと聞きました。

このため、ダメならダメで仕方ないという言い方でした。

そういう話も聞いていたので可愛そうだという思いが正直ありましたが、納期のある仕事は依頼できない、突然、1週間くらいは平気で休まれたのでは負担でしかありません。

「うつ」について知ろうとする

会社は辞めて欲しい、ジョブコーチは褒めて育てて欲しい。

そうすると僕の思いが、どっち側に傾くかで一人の人生が変わるわけです。

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僕も「うつ」について知ろうと思って、A君との面談の際に、どんな治療を受けたのか?今、どんなリハビリを行っているのか?ということを聞いてみました。

自分が行ったことがないことを聞けば自然と「褒める」というか「認める」ことができると 思いました。

何より、後ろ向きに対応していたのでは、自分自身の精神がおかしくなりそうだったので前向きなことをやりたいという気持ちが強かったのです。

ざっと、以下のような内容でした。

面談というのは、今も行っているような内容でした。

薬物療法は、心療内科から処方されたもので決められた時間に決められた薬を決められた量を服用するというものです。

そして、規則正しい生活は既に聞いていた内容で、決まった時間に決まったことをするというものです。

時間通りにできないと逆に焦ってしまうのではないか?と聞いてみたのですが、この質問はあまりよくなかったようで、また心が閉ざされた感じがしました。

今、自分が行っていることを否定されたように取られたのだと思います。

規則正しい生活のメリットは今は僕も理解できます。

食事をして、薬を飲み、寝て、起きてといった行動を習慣化するには、決まった時刻に行うというのが一番だと思います。

確かに時間通りにできないと焦ってしまうかもしれませんが、それは習慣化されるまでの話であり、習慣化されてしまえば、時間通りにできないということはなくなるはずです。

最後が認知療法です。

A君が行なっていたのは、自分自身の物事の受け止め方、考え方の癖を知るために、記録を行うというもので、朝起きた時の不安度をパーセントで書いたり、感情が変化した時の出来事を具体的に書いて、どんな気持ちになったのかを記録するというものです。

そうやって記録していくと自分はどういう時に不安になるのか?といったことが、わかるようになるということでした。

それ以後、面接のときだけではなく、毎朝、A君が記録している不安度を確認するようにしました。

これで好転していくはずだと思っていました。

簡単なことではなかった

しかし、そんな簡単なものではありませんでした。

A君は相変わらず、体調が悪いので休ませてくださいというメールを送ってくると、数日から1週間休みます。

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A君が会社に来なければ、ジョブコーチも来る必要がありませんので僕とジョブコーチとの面接も不要になります。

他のメンバーも、最初は協力的でしたが、これだけ休みが続くと怠けているようにしか感じられなくなります。

A君が出勤してきても話しかける人も減り、彼も職場にいるのが辛いのか喫煙室に行く時間が増えます。

そうすると周囲からは仕事もしないでタバコばかり吸っているという目で見られる、会社を休んでいるのも、怠け癖で休んでいるだけのように思われるので完全に悪循環です。

ジョブコーチとの面接の際に、ありのままを伝えました。

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ジョブコーチは、彼は真面目で責任感が強いのが原因で「うつ」になったということを話されていましたが、僕も職場のメンバーも今のA君の行動からは、真面目という部分も責任感という部分も感じられないことを伝えました。

ジョブコーチに「過呼吸」ことを伝えた時に、彼の部屋に缶酎ハイの空き缶がたくさんあったことは伝えていなかったのですが、伝えると意外な答えが返ってきました。

アルコールに関しては彼が服用している薬との相性が悪いこともあってタバコは仕方ないということにしていますが、アルコールについては許可はしていなかったようです。

その後、暫くするとA君は出社したのですが、面談の際に、辞表が提出されました。

本当にそれでいいのか?と気持ちを確認しましたが変わらないということなので、受理することにしました。

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A君は僕に認知療法のことを説明してくれた時には、自分が記録したものを見せてくれて、まるで先生のように語ってくれていました。

その時は、認知療法のことを、しっかりと理解していて、記録も毎日、付けられているので日々、行っているんだなぁという思いで聞いていました。

これなら復帰できるのでは?という気持ちもありました。

しかし、それでも、A君の普段の行動を見ていると自分は「うつ病」だから仕方ないと気持ちからの甘えが感じられました。

タバコは1時間に1回程度の頻度で吸いに行きます。

しかも、1度行くと30分は戻ってきません。

許可されていなかったアルコールを毎日のように飲むから病状が不安定になり休むことが増えていたのでしょう。 

周囲の人たちは何とか復帰して欲しいと思って協力してくれていたのに、本人は、それに反するようなことをしていたわけです。

うつ病」治療が褒めて育てるというのが基本で、「頑張れ」という言葉は禁句です。

そんな環境で1年もの間、暮らしていれば「甘え」体質になるのは当然なような気がします。

社会復帰に難しい状態で戻されても・・・

まずは精神を安定させないといけないので、不安定になるような発言はしてはいけないというのでしょうが、治療が終わったあと実社会に復帰しようとした場合には、とても治療していたような環境を続けるなんてことはできません。

精神的には安定した状態になったのかもしれませんが、「甘え体質」になっているので、ちょっとしたことで精神が不安定になったり、我慢することができません。

ジョブコーチや心療内科の先生は周囲に対して「うつ病」に対しての適切な対応を求めようと色々と要請をしてきます。

要請された方が余裕で仕事に取り組んでいるかというと、期限に追われ肉体的にも精神的にもギリギリのところで頑張っているんです。

明日は自分が「うつ病」になっても、おかしくないような人達です。

それでも、「うつ病」だからということで協力していました。

しかし、ジョブコーチも心療内科の先生も自分の患者のことしか見ておらず、周囲の人間のことなんて何も見てくれていません。

協力してくれている人たちは、患者のことだけを見ていればよいわけではないのです。

だから、社会に復帰した後のことは考えずに、とりあえず今を正常にしようと「甘え体質」になるような治療を施すのです。

これで、社会復帰できるとは僕には思えません。

治療する側はゴールを変えるべき

治療する側は甘え体質に仕上げておしまいではなく、その後、「甘え体質」を「通常の体質」に戻って初めて治療が完了するのではないでしょうか?

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うつ病」にしてしまったのは会社にも責任があるのは理解しています。

このため、「うつ病」になってしまう人がいなくなるようにということで、環境作りにも力を入れています。

それに加えて現状は「うつ病」患者を復帰させる仕組みも考えないといけません。

治療が終わった状態は、過保護で育てられた子供のようで、それを企業戦士に育てないといけないのです。

f:id:seege:20210606062926p:plainこれでは、会社は、まるで人を育てる学校であり、病人を治療する病院のようです。

そんなことが可能なら、心療内科でそこまでにしてくださいと言いたくなります。

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今の仕組みでは、うつ病から社会復帰するために、周囲の相当な努力や頑張りが必要になります。

しかし、そんなことが可能な職場というのは、多くはないと思います。

このため、「うつ病」から社会に復帰することは、とてもハードルが高いことだいうことが、その時のことで僕は痛感しました。