seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

行動経済学が面白い

ノーベル経済学賞受賞者が多い行動経済学

人との接触を8割減らす「10のポイント」でも使用されている、「ナッジ」について前回、書きました。

seege.hatenablog.com

ナッジは行動経済学における手法の一つです。そして、ここ15年で3件のノーベル経済学賞行動経済学の分野で受賞しているのです。

そして、以下は、3件のノーベル賞を受賞した内容になります。

2002年:行動経済学と実験経済学という新研究分野の開拓への貢献

2013年:資産価格の実証分析に関する功績

2017年:行動経済学に関する功績

diamond.jp

セイラー氏の功績というのは、行動経済学を一般の人たちに広めたということだと思います。その中でも、一般の人が理解しやすいレベルにまで噛み砕いて説明した著書が重要な役割を果たしていると思います。

経済学と行動経済学の違い

経済学では、「人は合理的な行動をする」という前提で成り立っている学問ですが、実際には矛盾する行動もあります。

たとえば、100万円の買い物するときに、1,000円の手数料が発生しますと言われた場合と、1万円の買い物をする時に同じように1000円の手数料が発生しますと言われた場合、どう感じますか?100万円に対して1000円なら仕方ないと考えてしまいますが、1万円で1000円だと高すぎると思うのではないでしょうか?

しかし、100万円でも1万円でも、1000円の価値に変わりはありません。

このように、「人は合理的に行動をする」どころか「合理的ではない行動をする」ことがあるというのが行動経済学になります。

合理的でない行動を人がするのは感情に左右されるからだと言われています。特に損をしたくないという感情の影響を強く受けます。

たとえば、先日、地元の本屋が閉店になるため、文房具が30~80%引き、雑貨が50%引きのセールが行われていました。

閉店になってしまう店なので、これまで商品が売れなかったから今回の結果になったことが予想できます。

しかし、セールが行われると聞いて、開店前から沢山の方が店に来ていたのです。

これまで、こんなことは店が初めてオープンした時、以来です。

閉店セールなので商品自体はずっと、置いてあったもので新たに仕入れることはしていないはずです。しかし1000円の文房具が、200円~700円で買えるとなると、今は特に必要ないけど、とりあえず買っておこうとか、これまで欲しかったけど、高かったので買わなかったけど、安くなるなら買おうといういうことだと思います。

でも考えてください、どうしても必要なものであれば買っていたはずです。

外に出る際に天気予報の降水確率が10%だったので傘を持たずに家を出てきました。しかし、会社を出ようとすると外は雨が降っています。この後、大学の友人と食事の約束をしています。ずぶ濡れで食事に行く訳にはいきません。

会社の1階には丁度、コンビニがありビニール傘を500円で販売しています。

f:id:seege:20200621163158p:plain

傘は家にもあるので、本来は買わなくても良いものですが、今は濡れてしまうわけにはいきませんから傘が必要です。500円ならタクシーで行くより安いと考えて傘を買うという人が多いかと思います。

つまり一時的でも必要があれば人は購入するんですね。

何故、セールで買ってしまうのか?

 

なぜ、閉店セールだからといって買ってしまうのでしょうか?

買ったとしても必要ないのであれば、使うことがありません。

もしかすると、買ったのを忘れて結局、そんなに安くない価格でもう一度買ってしまうかもしれません。

人は安い、つまり得をするという感情が芽生えると合理的な考えを捨てても買ってしまうんですね。しかし、人には更に強い感情があります。

それは、「損をしたくない」という感情です。

仮に閉店セールで80%引きで買えたものを買わなかった翌日に、同じものを買う必要が生じた場合のことを考えてみてください。

昨日買っておけば、200円で買えたのに、昨日買わなかったばっかりに、1,000円で買わないといけなくなってしまった。これって凄く損した気持ちになりますよね。

こんな気持ちになりたくないから、必要かどうかもわからないものを、あとから損をしたくないからという気持ちで買ってしまうのも人です。

人は1000円得した時の感情を1だとすると、1000円損をした時の感情は2.5に跳ね上がるそうです。

同じ1000円のことですが、損をした時の感情の方が強いということです。

株を売りたくなる時と売りたくない時

新型コロナで日本の株価が一時期、凄く下がりました。

安い時に優良企業の株を買っておけば、新型コロナが収束した時に株価が元に戻り儲けられると考えた方が多いかと思います。

株を買う時の動機は、今は株価が安いので、とりあえず買っておいて、元に戻って来たら売ろうと思っているのに、いざ株を買うと自分が買った株の価格は気になるもので、最初は、ついつい毎日のように見てしまうものです。

今日、株価が1,000円上がりました。全部で100株買っているので、10万円儲かっている計算になります。しかし、新型コロナの前の株価と比較すると現在は、まだ2,000円安い状態です。ここで、考えます。

もしかすると、このまま2,000円安い状態で落ち着いてしまうかもしれない・・・

いや、もしかすると新型コロナが長引いて優良企業といっても大きなダメージを受けて今よりも安い価格に下がって落ち着いてしまうかもしれない。

すると「損はしたくない・・・」という気持ちが芽生えます。

今でも、10万円儲かっているんだから、売って損はない。そう考えて10万円の儲けで売ってしまいます。しかし、長い目で見れば毎年、配当ももらえるかもしれません、株価も元の状態に戻っていくかもしれません。

もし、そうなった場合、10万円+配当分の損失になります。

逆に、自分が買った株価より更に1000円安くなってしまった場合はどうでしょうか?

今度は逆に10万円の損失です。

10万円損失している状態で抵抗なく売却できる人が、どれくらいいるでしょうか?

いつかは、戻るだろうと、このまま放置しておけば、株価が更に安くなっていき、損失を大きくする可能性だってあります。もしかすると業績が悪くて倒産する前兆かもしれません。

しかし、更に大きなリスクがあるにも関わらず、多くの人はこの状態で株を売る気になれないのです。

何故でしょう?「損をしたくない」からです。

得する場合には、1000円上がっただけでも売ってしまうのに、損をすると考えた場合には1000円下がっても売ろうという気持ちが弱まるんです。

これが感情を持つ人の「意思決定の不合理さ」ということです。

感情のないコンピュータであれば、1000円上がった時点では売らず元の株価に戻るのを待ちます。1000円以上下がった時には売却すると決めておけばコンピュータは1000円下がった時点で売却します。

どちらが、やる気になりますか?

目標を達成させる場合に、以下の2つの言い方だと、どちらが達成するよう努力してくれるでしょうか?

  1. 今年は目標を達成したらボーナスを30%アップします。
  2. 今年はボーナスを30%アップします。しかし目標を達成できなければ30%は返してもらいます。

どちらも結果は同じです。目標を達成すれば30%アップのボーナスが手に入るというものです。

目標を達成しなければ損をすると感じるような言い方にすることで、「損をしたくない」という気持ちを刺激します。

30%分がもらえないことより、30%分を返す方が、より強く損をしたと感じるんですね。自分のものになった30%分を返したくないという気持ちが、目標を達成しなければという気持ちを強くするんですね。

ゴルフでも、同じような難易度のパットで、ここで入れたらバーディだという場合とパーだという場合で結果が違ってくるそうです。

バーディの場合は、外したとしても±0ですが、パーの場合だと外すと+1でオーバーしてしまいます。つまり、パーの場合の方が損をすると感じて外す率が減るそうです。

これは実際に多くの動画を分析・解析した結果だということなので、統計結果ということになります。

経済学だけでは説明ができない人の行動に関する部分、つまり心理学を経済学と融合したものが行動経済学になります。

しかし、合理的でない選択をする仕組みが、まだ合理的に説明できないと言われています。それは、当然ですよね。合理的に説明できるのであれば、合理的な行動/選択ということになるので何の問題もなくなります(笑)

行動経済学のことを理解されている方でも、不合理な行動・選択を行うと言います。

これは、まだ、行動経済学についてわからないことが多いからなのかもしれません。

行動経済学に興味を持たれた方は、是非、以下の書籍から読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

 

セイラー教授の行動経済学入門

セイラー教授の行動経済学入門