seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

石川県の方が芥川賞を受賞?(その1)

第170回 芥川賞

今回、芥川賞を受賞した作家さんが、石川県にメッセージを送られているとの報道がされていた。

石川県に芥川賞を受賞できるような作家さんがいたんだと見ていると出身は埼玉県で石川県に一時的に移住していたことがあるという方だった。

それでも、石川県にゆかりがある方が、芥川賞を受賞したと思うと石川県出身の人が受賞したように感じられた。

第170回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた。芥川賞は九段理江さん(33)の「東京都同情塔」(「新潮」12月号)が、直木賞は河崎秋子さん(44)の「ともぐい」(新潮社)と万城目学さん(47)の「八月の御所グラウンド」(文芸春秋)が、それぞれ選ばれた。

 

選考委員の吉田修一さんは「欠点を探すのが難しい完成度の高い作品だった。架空の東京という舞台にリアリティーがあり、多くの読者に届く」と講評。純文学でありながらエンターテインメント性も備えていると指摘し「これまでの芥川賞の中でも希有(けう)な作品」と高く評価した。

 

かつて住んでいた石川県が地震の被害に遭ったことを問われると「新人賞に応募して最終候補に残った作品は石川が舞台。今回の受賞で少しでも明るい気持ちになってもらえたらうれしい」と話した。

【出典】https://www.tokyo-np.co.jp/article/303449

受賞者記者会見より

以下は、受賞が決まったあとに行われた、記者会見の中で記者から九段さんに対して質問された内容とその回答になる。

質問に関しては、一部省略させて頂いているが、回答に関しては、できるだけ忠実に再現したつもりだ。

まずは、そのままを読んで頂き、次回以降のブログで個人の見解を書きたいと思う。

質問1:

さきほど、選評の中で、完成度が非常に高くて欠点を探すのが難しい作品ということと、近年の芥川賞の作品の中ではエンタメ性が極めて高くて色んな人に届く作品だという評価がありました。その点について、どう思われるか、お聞かせください。

回答1:

完成度が高いとなんて評価を頂けるなんて、ほんとに夢にも思っていませんで、全然、謙遜ではなく、東京都同情塔という作品は、アンビルトをモチーフにした作品で、アンビルトに、もしかしたらなってしまうのではないか?と自分でも思いながら、おそるおそる、書き上げられたかどうかもわからない、本当に完成するのか?アンビルトになってしまうのか?と不安な思いで書いておりましたので完成してからは自分なりに納得できる部分もありますけれども、それでも、グラグラとしている、そういう小説だと、わたくし自身は考えておりまして、グラグラしている今にも崩壊してしまいそうな危うさ、不安定な部分がこの小説の魅力なんじゃないかな?と自分では思っておりますのでそういった面も含めての完成度という風に、おっしゃって頂けたのであれば、うれしく思います。吉田修一先生からの講評ということで、吉田修一先生は、わたくしが文学界新人賞で最終候補に残った時にご選考していただいた先生なんですけれども、その時、吉田先生が最初はわたくしの作品に〇をつけてくださったんですが、そのあとの選考の過程で、やはり△か×に点数を下げたって風に書いてらっしゃったのが、とても印象に残っておりまして、ですので吉田先生に今回、ご好評頂けたという・・・評価を頂けたってことは、本当にうれしく、自分でも少し当時よりも成長できたのかな?と思い、本当にうれしく思っております。

 

質問2-1:

時代が変わって今、AIが文書を書いたりという状況になりましたけれども、
これから先、小説の中でもAI、触れられていますが、これから先のAI時代に小説を書くということについてどのように考えていらっしゃいますか?

回答2-1:

AI時代に小説を書くということを・・・私が今感じていること・・・ですか・・・

今回の小説に関しては、だいぶAI・・・つまりChatGPTのような文書生成AIを
駆使して書いた小説でして大体、全体の5%ぐらいは、おそらく生成AIの文章をそのまま
使っているところがあるので、うまくこれからも利用しながら、そしてかつ利用しながらも自分の想像性を発揮できるような小説を・・・うまく付き合っていきたいという風に考えています。

質問2-2:

批評性とエンタメ性を意識して書かれているのか?

回答2-2:

批評性とエンタメ性を意識して書かれたか?というご質問ですけれども、
あまり、そういったことは実は意識はしていませんでした。
エンタメ性・・・そうですね・・・ちょっとエンタメの意味合いが私自身、うまく、ちょっと掴めていないからかもしれないですけど・・・・自分が信じている文学を追求した結果、そのように偶々、評して頂いているということかなと思ってます。

 

質問3:

批評性のところで主人公の女性の建築家の元のその・・・例えば性暴力に関するような述懐であったり、あるいは物語の中の犯罪者を犯罪者と呼ばない社会というかですね、ある種の言葉の欺瞞みたいなものであるとか、あるいは理想と実想のくい違いであるとか、そういうことがかなり鋭利に書かれている作品だと思うのですが、書く前にモチベーションというか、何かしらご自身の中で今の社会に対して何か思っているようなことであるとか、反映をされた小説ということになるのでしょうか?

回答3:

今回の小説に関しては、割と、私自身が切実に考えている問題が色濃く反映されているんじゃないかなと思います。
近年、この小説にもありますけれども、言葉を無限に拡大したり無限に解釈するってことが許されているというか、許容されているような状況があると思います。
言葉っていうのは、大切に使っていきたいとは思うんですけども、言葉のポジティブな面とネガティブな面というのをどちらも考えていく必要があるなという風に結構・・・本当に・・・幼いころから考えている問題なんですね。
ですので、言語とかのコミュニケーションというテーマはデビュー前の作品からずっと
一貫して私自身が持ち続けているテーマではあるんですけども・・・新人賞に応募していた時に最初に最終候補に残った作品が言語をテーマにしていて、でもその時、選考委員の先生からは、やはり、少し言葉に対する認識が稚拙なんではないか?みたいな評価だったんですね。
でも、私の中では言語とか言葉っていう問題はずっと考えていこうと考えている、そういったテーマなので、やはりどんな小説を書いても最後には戻ってきてしまうテーマです。

質問4-1:

作品以外で生成AIを活用される場面はあるのでしょうか?

回答4-1:

ときどきありますね。
誰にも言えないような悩みだったり、そういったことを人工知能にだったら話せるかなと思うようなことを悩み相談したり、している時もあります。

 

質問4-2

そういったご経験というのは、今回の作品作りに生かされたりというような、ご感想はありますでしょうか?

回答4-2

あっそうですね。
AIがやはり、こちらの期待したことを言ってくれなかったりする場合に自分なりに思うことを少し、この主人公の建築家の人のセリフに反映させてみたりってことは、いくつも、いくつもありました。

質問4-3

どんどん身近になってきて、生活の中にも入ってきている生成AIということを作品の中にも活用して今回、芥川賞を受賞されたということに関しては九段さんご自身、どういう風な、ご感想をお持ちでしょうか?

回答4-3

みなさんが、今、ご関心をお持ちのテーマが、それを選ぶ日本文学振興会の方であったり、選考委員の先生方であったりみなさんが、共通して持っている、問題だったからダイレクトにこちらの書いたことが伝わったのかな?という風に考えています。

質問5:
小説を執筆され始めたのは石川県に住んでいた時だとうかがっております。
今回、震災欄でも石川の思いを語って頂きましたけど(※下記震災欄の記事参照)、今回、元日に能登半島地震がおきまして今も被災されている方、多いと思いますが、いい思い出がいっぱいある場所だと語っていらっしゃったんですけど今回、この場所で地震について一言頂ければと思います。

回答5:

まず、本当に、元日にあのようなことがあって、今も、苦しい・・・厳しい・・・状況にいらっしゃる方が沢山おられると思います。
ほんとうに、一日も早く・・・一日も早く・・・石川県のみなさまに穏やかな日常が戻りますようにと毎日、思っています。
石川県に住んでいた3年半くらいの時期に小説を書き始めて、それも石川県の皆様が本当に親切に接してくださったっていう思いがあって最初に新人賞に応募して最終候補に残して頂いた作品が石川県をテーマにした・・・舞台にした、そういった小説で・・・
今も書き続ける支えになっている小説でもありますし、書き続けるきっかけを下さったのが石川県にお住いの方々だったので何か今回の受賞でその時、お世話になった方に、今、辛い状況にいらっしゃる方に少しでも明るい気持ちになって頂けたら、ほんとうに
うれしいなと思ってます。

※震災欄の記事

以下は、質問5で記者の方が質問の中で、「震災欄でも石川の思いを語って頂いた」という記事の内容になる。

この原稿を書いている15日も大雪で、石川県輪島市の火災現場の捜索が中断されたとの報道を見ました。震災があってから、能登や輪島に行った時の写真を見返すことが多いのですが、いつも雪が降っている写真です。大雪の日の凍えるような寒さを思い出すと、今、地域にお住まいの皆さまがどれほど不安な思いでいらっしゃるだろうかと考え、胸が痛みます。
 私は金沢市に1年、能美市に2年半ほど住んでいただけで、「金沢ゆかりの」などと取り上げていただくのはなんだか厚かましいのですが、それでも個人的には第二の故郷のような思いが強くあります。10年前に東京での仕事をやめ、思いきって金沢へ移住した際には知り合いも一人しかいない状況でしたが、アルバイトをしていたオヨヨ書林さんをはじめ、地域のみなさまにとても親切にしていただきました。
 初めて関東以外で生活した土地で何もかもが新鮮で、誇張ではなく本当に、細胞から生まれ変わった感覚がしたのです。
 そして皆さまのやさしさに甘えるようにして、当初1年ほどで帰る予定が、結局居心地が良すぎて3年半も居ついてしまいました。初めて小説を書き、新人賞を応募するようになったのも石川県で生活している時で、また新人賞の最終候補に残ったという連絡を受けたのも、落選の連絡を受けたのもすべて石川県内でのできごとです。
 このときの小説は、石川県に住むある夫婦の物語で、石川県での3年間の感謝と思い出を詰め込むつもりで執筆しました。そのようなわけですので、もし石川県に住んでいなければ小説を書くこともなかったですし、書き続けるきっかけをつかむこともなかったのです。公式には2021年にデビューということになっていますが、私の作家としてのキャリアのスタートはもっと前、石川県でスタートしたと考えています。
 関東に戻ってからもう7年がたとうとしていますが、知らない土地を日ごとに知っていくよろこび、北陸の豊かな自然の中で、まっさらな気持ちで自分の進むべき道を考えながら、北陸先端科学技術大学院大学の図書館にこもって執筆していたころのことははっきりと覚えています。それは今も私を支えてくれる、何よりも美しい記憶です。
 去年の今ごろ、地元紙に寄せた掌編小説「彼と彼女の間に投げる短い小説」は、私が石川県の方々を思うときに真っ先に思いだす、石川県の方言をテーマに執筆しました。いつまでも耳に残る音楽のような「間投イントネーション」と呼ばれる魅力的な響きに、金沢に来た当時の私の耳はとても驚いたものです。
 なんとか私も石川県の方々のように話せないものかと、まねをしようとしたのですが、最後までうまくできませんでした。しかし、私がどんなにその方言にひきつけられてきたかを、北陸の皆さまに向けて小説の形で表現できたことがとてもうれしく、作家になってよかったと、心から思いました。
 しかしながら、このたびの震災により多くの方が被災され、多くの声が失われたことは、ただただ残念でなりません。今もつらい状況にいらっしゃる方々の中には、まだお気持ちを声にだしてお話することが、難しい方もたくさんおられるでしょう。一日も早く皆さまの豊かな声が戻りますこと、被災地の復興を、心より願っております。

【出典】https://www.chunichi.co.jp/article/839273

 

質問6-1:

恒例の質問になるのですが、「ニコニコ動画」はご存じでしょうか?

回答6-1:

はい、存じ上げています。

 

質問6-2:

今日、ユーザーの方から届いた質問を代わりに読ませて頂きます。

作品の中で、東京都同情塔というタワーの韻が固いと書かれていました。この作品のプレイリストではラッパーのKOHHが入っていました。前回の作品では太宰治をサンプリングしていました。九段さんはヒップホップがお好きなのでしょうか?東京都同情塔とシンパシータワー東京は、どちらを先に思いついたのか?これで最も韻の固い芥川賞受賞作になったと思いますが作品のタイトルはどうやって生まれたのでしょうか?

回答6-2:

まず、一つ目の質問、ヒップホップは・・・音楽全般が好きなので、その中にヒップホップも含まれています。

シンパシータワートーキョーは、元々、エンパシータワー東京・・・「共感」の方で考えていたんですね。最初に思いついたのが日本語の方のタイトルでなくて、エンパシータワートーキョーの方を先に思いついて、で、そのあと韻を揃えるために東京都同情塔、つまりシンパシータワー東京に変えたという、そういった経緯がございます。

最後に一言

この作品は、言葉で何かを解決しようとか、言葉で対話をするということを諦めたくないと思っている方、そういった方のために、書いた作品と思っております。言葉で解決できないことというのは、何によっても絶対に解決できないと私自身は考えております。言葉によって考え続けることをやめたくない、そういった気持ちが、この小説を書かせてくれましたし、そう感じていらっしゃる方にも届いたらいいなと思っていますので、ほんとうに今回の受賞をとてもうれしく思っております。ほんとうにどうもありがとうございました。