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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

定跡

将棋

定跡という言葉を初めて知ったのは「将棋」の漫画だった。

攻め、守りの基本的な指し方。

先人の人達が、攻める時には、駒の要である飛車角を、こんな風に使って、王を守るにはこういう布陣にすると良いといったパターンのことになる。

「5五の龍」という漫画で中学生の主人公が、小学3年生に2枚落ちというハンデをつけられて負けてしまった。

その時に小学3年生の子に将棋が強くなるためには「定跡」を研究するのが大切だということを最初に教えられる。

世の中は定跡で溢れている

定跡とは漢字が異なる定石というのは囲碁での最善の打ち方になる。

早く将棋や囲碁が強くなるためには定跡、定石を覚えて研究することが大切になる。

一般的には「定跡」より「定石」という言葉の方が使われている気がするが自分は囲碁は馴染みがないので、今回は将棋の「定跡」という用語に統一したい。

考えてみれば、世の中は、定跡で溢れている。

野球だとランナーが出れば送りバントで塁を進める、投手だとツーストライクまで追い込んだら、わざとボール球を投げて打者に手を出させる。

投資だと、有事のドル買い、経済危機の円買い。

ジグソーパズルだと外枠部分から完成させていく。

料理だと吹きこぼれ防止のために菜箸を鍋の上に置いておくといった具合だ。

日本での人生の定跡はというと、一流の大企業に採用、国家公務員から官僚になるために一流大学に合格する。

一流大学に合格するために一流の高校、中学、小学校に入学しないといけない。

しかし、本当に一流企業に採用されたり、官僚になることが人生の定跡で良いのだろうか?

人生の目標

将棋では「王将(オウ)」または「玉将(ギョク)」を相手より先に取る遊戯になる。王将と玉将の2種類書くとややこしいので、ここも「王将」に統一したい。

余談になるが、将棋では棋力(将棋の実力)が上の上手(うわて)が「王将」で、棋力が下の下手(したて)が「玉将」を持つ。

つまり将棋での目標は、相手の王将を取ることだけになる。

しかし、人生の目標は、人それぞれ。

大企業のエリートや官僚になりたいという人ばかりではないし、また、全員が同じ目標を持ったのでは社会は成立しない。

野球やサッカーでプロ選手になって世界で活躍したいという人もいるし、医者になって人の命を救いたい、弁護士になって法律弱者を救いたいといった人もいる。

野球で一流になるために一流大学を目指すというのは定跡にはならない。

むしろ、子供のころからレベルの高い選手がいるチームで鍛えられて実績を積んで、高校野球で甲子園に出場できるような学校に入学してプロ野球チームから注目されるだけの実力を持つ選手になることが定跡だと言える。

 

人生の定跡とは、目標を決めるところから始まる。

定跡は早く上達するためのものであり、手順が書かれたマニュアルだと言える。

名人に定跡なしと言われるように、名人レベルになると定跡を超える手順が思いつくようになるのだと思う。

定跡が越えられて終えば、越えた手順が新たな定跡に変化していく。

つまり、定跡は絶対普遍のものではなく日々進化するものになる。

当然、将棋の定跡も10年前と今では随分、違っている。

矢倉囲いから雁木囲いへ

王将を守る定跡といえば、居飛車(飛車か最初の位置から横に移動しない)の場合は矢倉囲いが定番だった。

しかし矢倉は、王将の下に位置する桂馬が歩と銀により動けなくなってしまうので、王将を守るためだけの存在になってしまう。

また、他にも矢倉が完成するまでに手数が必要といった課題もあった。

このため、矢倉の欠点を解消しようと雁木(かんぎ)という古くからあった駒組が見直されている。

しかし、これが新たな定跡になり得るのかは、時間が要するはず。

雁木にも欠点はあるので、矢倉が主流になっているので、多少良い結果が出たからと簡単に定跡が変わるものではない。

ただ、定跡を見直そうという姿勢がなければ、定跡は進化しないので必要なことではある。

人生の定跡

子供の頃、良い大学に入って大企業や公務員になるというのが間違いなく定跡だった。

今は更にその定跡が強化されたのか、2023年に小学校を卒業した子供に将来就きたい職業のアンケートを取ったところ男女総合の10位に「会社員」が入っていた。

何年か前に人気だった、YouTuberはランク外で、教員、医師、看護師、研究者、建築家、IT関係と安定した職業が目立っている。

驚いたのは弁護士もランク外だったこと。

小学生といっても、YouTuberでも稼げるのは一部の人で、それも長くは続かないし、社会的信用もないので家を借りる時でも苦労するといったことが、しっかり認識されているのだと思う。

また、弁護士が不人気なのは、司法試験制度改革により多くの合格者が排出され、就職難や価格競争による年収低下や今は、かなり勉強しても司法試験に合格するのが難しいということを親などから聞いているからだろう。

今の子は、夢だけでは生きていけないことも十分、理解していて、その上でのアンケート結果ということなのだろう。

人生目標を決める定跡

これは子供達なりに人生の目標を決めるための定跡ができているようにさえ感じられる。

しかし、経営者や投資家といった分野に関してはランク外だというのは残念だ。

これは、親も、学校も経営者や投資家といった分野については正確な情報がないので、子供に選択肢として教えることができていないのだろう。

日本の教育は労働者か専門家を養成するためのもので、経営者や投資家といった類に関しては仕組みが出来ていない。

身の回りを見ても、経営者や投資家は見当たらない。

このため、経営者や投資家が身近に感じられない。

結果、自分とは縁のない遠い存在に思えてしまう。

日本は会社員が圧倒的に多い状態での税制になっているので経営者や投資家が主流になってしまうと国の財政に影響が出ると考えている。

だから日本は会社員や専門家を育成するような教育システムになっている。

これは、日本の税制の定跡になるのだろう。