全銀システムが停止した
金融機関同士で資金のやり取りを担う全銀システムに、2023年10月10日午前8時30分頃から不具合が発生して、10月10日21時の時点で140万件の取引に影響が出ている。
10日の時点で「ハードウェアの問題ではなく、内国為替手数料の処理のソフトウェア部分」と事象だと原因はわかっていたようだが、復旧の目処は立っておらず11日の取引については別の手段で対応するとこと。
10月7日〜10月9日の連休中に新しい中継コンピューターに更新する作業を行なっていたということなので、この作業により何らかの不具合が発生しているのだろう。
その後、(その2)ということで、以下のような内容が公開されている。
本日、全国銀行データ通信システムにおいてシステムの不具合が発生しており、一部銀行(三菱UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、日本カストディ銀行、JPモルガン・チェース銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫)において、他行宛の振込取引ができない状況でございましたが、現在、バックアップ手段を用いて、振込取引の処理を実施しております。 原因調査中であり、詳細が判明次第、改めてお知らせ申しあげます。 なお、夜間の振込に対応する「モアタイムシステム」については、通常どおり稼動しておりますので、申し添えます。 皆様には多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを 深くお詫び申しあげます。
長年続いた努力が・・・
上記の内容を確認するために、全国銀行資金決済ネットワーク (以下、全銀システムと記述)のホームページにアクセスした際に、トップ画面の最初に表示される画像に「24時間365日あなたのお金を安心のネットワークでつなぐ」という表示がされている。
これは、全銀システムが、1973年に稼働を開始してからこれまでの50年間、運用期間中にオンライン取引を停止したことがなかったからだ。
しかし、今回のトラブルで、この表示は改めないといけなくなるのだろう。
全銀システムは、1973年の稼動開始以来、運用時間中にオンライン取引を停止したことがない安全性・信頼性、国内のほぼ全ての金融機関が参加している広範なネットワークにもとづく利便性、稼動開始当初から世界に先駆けて即時入金を実現した先進性が挙げられます。
50年間といえば、半世紀。
最低でも二世代の人達が運営管理に関わってきたはず。
システムの世代としては2019年11月から第7次全銀システムが稼働を開始しているとのこと。
概ね8年毎にシステムの更改を行なってきたということなので7世代とも言える。
銀行取引が止まると、一日中一生懸命に止めないように頑張って方のだと思う。
長年、止めずに頑張ってきた関係者の方にすれば、残念で仕方ないはずだ。
ただ、長年使い続けてきたシステムということで、まだコアシステムはメインフレームで動作していてプログラミング言語も「COBOL」だそうだ。
メインフレームというのは、一般的にはホストコンピュータと呼ばれる、大型汎用コンピュータのことで、OSもメーカー独自のものになっている。
メインフレームは自分も使った経験がないくらい、古い時代のもの。
気持ちを切り替えて
いつまでも、そんな大昔のハードウェアの部品の供給は無理だと思うので、どこかで、メインフレームからオープン系(技術的な仕様やソースコードが公開されているソフトウェア・ハードウェアを組み合わせて構築・開発されたサーバー)への切替が必要になるはず。
これまで、50年間止まらずに来たということから、切替の踏ん切りができなかったかもしれないが、今回の件で、気持ちをリセットして次に向けて、メインフレームとの決別を決断するべきだと思う。
同じタイミングで、ゆうちょ銀行も?
ゆうちょ銀行も、同じタイミングでネット取引やスマホアプリが利用できない状態になっていた。原因は社内サーバーと外部を接続する機器の不調だということなので、全銀システムの不具合とは関係がないということだ。