全国学力テストの結果が発表された
2023年4月18日に実施された、全国学力・学習状況調査の結果が、2023年7月31日に発表された。
算数の問題の中に以下のものがあった。
テープを直線で切って下のような「お」と「か」二つの三角形を作ります。
上の「お」と「か」の三角形の面積について、どのようなことがわかりますか?
下の1から4までの中から一つ選んで、その番号を書きましょう。
また、その番号を選んだわけを、言葉や数を使って書きましょう。
- 「お」の面積の方が大きい
- 「か」の面積の方が大きい
- 「お」と「か」の面積は等しい
- 「お」と「か」の面積は、このままでは比べることができない
正解率は21.1%
衝撃的な問題文
この問題、三角形の高さについて記載されてないないことから4と解答した子供が16.8%もいたことが衝撃的だったという記事があった。
しかし、自分には、この問題文こそが衝撃的だった。
まず、問題の「テープを直線で切る」という文章がおかしい。
テープを「直線」で切るというのはどういうことなのか?
ハサミやカッターで切るのでないか?
テープをハサミで切って、図のような「お」と「か」のような三角形を作るということだろうか?
最初、二つの三角形の三辺から面積をそれぞれ求めて答えるのか?と思ってしまった。
しかし、小学6年生で、ヘロンの公式や三角関数はまだ、教わっていないはず。
これらの知識なしで、二つの三角形のどちらが大きいかを考えろという問題のようだ。
テープで三角形を作るなんてことが、どうにも現実離れしていたので、考える時にはテープのことは頭から完全に抜けて、三角形の面積を求めないといけないということだけが残っていた。
問題では、高さが記載されてない。
このため、三角形の面積🟰底辺✖️高さ➗2では求められない。
この考えに陥ると、この問題は答えられなくなる。
しかし、逆に高さが書いてないことがポイントになっているはず。
図の数字を再度、確認した。
二つの三角形は、底辺が共に3.2で同じ。
あとは、高さ・・・
あれ?これ二つの三角形は、高さも同じだ。
よく見ると、テープの幅が二つの三角形の高さになっていた。
不自然なテープが登場させたのは、このためだったのか。
そうすると、面積は計算するまでもなく同じになる。
なぜテープなのか?
答えが分かっても、なぜテープなのか?に疑問が残る。
出題者は、おそらく幅が同じもの=テープが頭に浮かんだのだろう。
そこから、無理やりテープに三角形という現実にはあり得ないことを、当たり前のように問題にしてしまった。
実際に三角形を作る可能性がある、同じ幅の木材や厚紙は頭に浮かばなかったのだろうか?
現実には起こり得ないような状況を持ち出してきて、混乱させて、幅=高さに、気付かないようにしたのだろうか?
だとすれば、本来の目的から逸脱しているので問題としては失格だと思う。
三角形の面積について、どのようなことがわかりますか?と問われても、その前に、問題について確認したいことがあるというのは、酷い問題文だと言わざる得ない。
子どもの学力が落ちているのだとすれば、それは、指導する側の学力が低下しているからとも言える。
今回の算数の問題は、酷すぎるので、まずは問題を考える側が、しっかりしてもらわないと、本来答えられる問題が間違えられてしまう結果になる。
今回、正解率が低かった要因の半分以上は、問題にあると言える。