失業率が46.5%?
2024年2月29日、中国の国家統計局が「中華人民共和国2023年国民経済と社会発展公報」を発布した。
その中には、失業率やGDPについても記載されていた。
- 2023年の年間失業率平均は5.2%
- 中国の2023年GDPは5.2%増の126兆582億元
数字の真偽については疑問しかない。
実際、北京大学の副教授が実際の失業率を試算したところ46.5%の可能性もあるということで中国メディアに発表している。
直ぐに数字操作
2023年4~6月の若年層(16~24歳)の失業率が20%を超えているとの報道がされると即座に若年失業率や年齢別失業率の発表を中止した。
理由は、「統計の改善と最適化」のため。
印象操作のための数字の見せ方の検討ということだろう。
そして、印象操作の準備ができたことから、2024年1月17日、2023年12月の失業統計を発表した。
全体の失業率が、5.1%だったのに対して、16~24歳では14.9%。
※2024年2月は15.3%、同3月は19.6%と更に上昇している。
大学四年生が1000件以上の企業に連絡を取ったが就職先が決まらないということなので相当深刻な状態だと言える。
就職活動でインターシップの時間が取れず、インターシップ証明書がないと卒業できないことからインターンシップ証明書の偽造サイトまで登場し、利用する学生が増えているようだ。
では何が変わったのだろうか?
"改善後"は以下のように失業率を算出するようにした。
- アルバイトの求職をしている現役学生を統計から取り除き、卒業後に求職活動をしている若者だけを対象とする。
都市部における16~24歳人口のうち、2023年の各月平均で、60%以上(約6,200万人)が在学生、30%以上(約3,400万人)が既卒生という構成だったので、6割以上を対象から外したことになる。
それだけではない。
今回、卒業して実家に戻ってしまい、働かずにいる人はカウントされていないことになる。
そして、その数は1600万人と言われている。
どれだけ、失業対象から外せば気が済むんだ?こんなことをしてる暇があるなら対策を考えてくれよと言いたくなる。
どちらにしても現在も失業者は増えているのは間違いなさそうだ。
そんなことから"改善後"の若年失業率でも14.9%という数字なら実際には更に増えていることは間違いない。
また、「雇用と失業の全体像をより完全に反映させるため」として、これまで25~59歳でひとくくりにしていた失業率を、25~29歳と30~59歳に2つに分けて発表した。
結果は、都市部において25-29歳の失業率は6.1%、30-59歳は3.9%となっていた。
※25-29歳の失業率は6.4%、30-59歳は4.2%
中国政府は、失業率の年間目標「5.5%以下」を掲げているので、全体で5.5%は絶対に越えてはいけないラインになる。
中国で何が起きたのか?
イケイケドンドンの中国経済が、なぜ突然、こんなことになったのだろうか?
失業が増えた背景には中国当局による過剰な、「ゼロコロナ対策」にあったと言われている。
広範囲・長期間のロックダウンを行ったり、不必要な強引な隔離措置を多発したことで数百万社の中小零細企業が倒産したとされている。
外食業では、2023年1月から12月23日の間で廃業件数は126万5300件(前年比2.1倍)
供給が減ったので需要も減った。
北京市郊外のハイブランドが立ち並んでいたショッピングモールは、コロナ禍前は人で賑わっていたが今は人が去ったことでテナントも減っていき空の状態だ。
上海中心部でもテナントの空きが目立つ状態で、現在、人が殺到しているのは賞味期限切れ近くの食品を安価に提供してくれる臨機食品スーパー。
政治家が政治家のための政治をすると・・・
更には反スパイ法が2023年7月から施行されたこと。
これまではスパイ行為の対象が国家の秘密や情報だけだったのが、「国家の安全と利益に関わる文書やデータ」にまで拡大された。
この基準が曖昧なことから市場調査、分析を行うことが反スパイ法に問われかねなくなった。
中央、地方の政府関係者との関わり方も気をつけないといけなくなり、実質、政府関係者との打ち合わせが直接行えなくなり、第三者を介して行うことになったという。
そんなことから、外資系企業が中国から離れていき雇用を減らすという欧米企業は増えていることも、失業率が上がっている要因になっている。
中国も日本と同じで、「政治家が政治家のための政治」をすると国のためにはならない結果になってしまうということだ。