司法統計
司法統計の中に、民事・刑事・少年事件に加えて、もう一つ家事という分類があった。
具体的にはどんな事件があるのだろうか?
気になったので、調べてみると、裁判所のホームページで「家事事件とは」というタイトルのページが見つかった。
家庭内の紛争などの家庭に関する事件は,家族の感情的な対立が背景にあることが多いので,これを解決するには,法律的な観点からの判断をするばかりでなく,相互の感情的な対立を解消することが求められています。また,家庭に関する事件を解決するに当たっては,その性質上,個人のプライバシーに配慮する必要がありますし,裁判所が後見的な見地から関与する必要があります。
【出典】家事事件とは | 裁判所
家事事件が、どのような事件なのかは一切、書かれておらず、家事事件に対する裁判所の立場について書かれているだけで、どんな事件があるのかは、わからない。
多分、離婚問題を中心に、遺産相続といったことなのだろう。
家事事件は1ヶ月に9万件超
司法統計資料によれば、家事事件は全国で、1か月当たり9.3万件も発生している。
ちなみに、家事以外の事件件数は以下の通りで民事・行政についで、2番目に多い事件になる。
- 民事・行政事件:11.1万件
- 刑事事件:6万件
- 少年事件:3千件
【出典】司法統計情報 | 裁判所 - Courts in Japan
全て合わせると毎月、約30万件も事件が起きていることになる。
1日だと約1万件。
裁判官は判事、判事補を含めて約3000人。
1人1日3件以上処理しないと溜まっていくことになる。
ドラマ、「女神の教室」で裁判官に効率を求めていた理由がよくわかった。
しかし、効率よく裁判を行う必要もあるが、それ以前に事件が起きないようにする仕組みも作る必要があると思う。
遺産分割事件は、高齢化の影響もあって、長期的には増加の傾向にあるようだ。
審理期間は短縮されてきているが、それでも約12月、つまり1年要している。
では、どのような問題が起きているのか?
遺産分割では相続人全ての合意が必要になるので、相続人が多くなればなるほど全員の合意を得るのが難しくなる。
最初は、それで、いいですよって簡単に合意しても、その後、色んな人の話を聞いていると損をするのではないか?と思ってしまい、いざ、ハンコを押す時になって合意できないと言ってくる場合が多いそうだ。
そして、それが不動産になると一つしかないものを分割しないといけないが、被相続人と一緒に住んでいた者にとっては、家を出ないといけなくなるので、大事になる。
最初は、理解を示してくれていても、第三者の話を聞いて相続を放棄する必要がないとしると、手のひらを返してくる。
このため、遺産分割で、スンナリといくことの方が少ないという話も聞いたりする。
では遺言書を書いてもらっておけば、トラブルにならないか?というと法定相続人なのに遺産が贈与されないといった内容で書かれていると裁判になったりする。
被相続人から早々に離れていった人だと法定相続人であっても心情的には渡したくない気持ちはわかる。
しかし、離れていくような人なので、自分にとって都合の悪い道徳的な言い分は無視して、法律を持ち出してくるものだ。
だったら、遺言書ではなく、生前贈与で渡してしまうと、遺産相続の話になった時に、もっと遺産はあったはずだと問題になってしまう。
遺産分割のトラブルが多く、裁判になって判例も増えているはずなので、過去に学んでトラブルが起きないように法律を整備してもよいのではないか?と思う。
特に生前贈与は、法律でも認められている契約なので、被相続人が物事を判断する能力があると見てめられた状態のものなら、法定相続に贈与が全くなくても何ら問題はないはず。
財産の多い人に関しては、国が弁護士を雇ってでも財産分与について事前に考えるように薦めることもできるのではないだろうか?
離婚問題
これは、現在、離婚が両者の合意が必要な法律になっているからで、結婚の時とは異なり一方が婚姻関係を継続できないと判断してしまえは、継続は実質無理なので、離婚は一方が希望すればできるようにすることで、離婚するしないについては、スムーズに処理できるようになるはず。
問題は、離婚原因による慰謝料、子供の親権といった話だと思う。
特に親権については、どちらが引き取った方が子供にとっては幸せなのか?といった、子供の将来に影響する話になる。
これは、ケースバイケースで簡単に型に当てはめて判断するというのは難しい。
だからと言って結婚の際に事前に問題がないか確認するということも難しいので、現時点で正直、解決策は、結婚の前にあらかじめ、離婚する場合のことを決めておくくらいしか思いつかない。
裁判の件数をもっと減らす、判決までに必要以上に時間を費やさないように、未然に裁判にならないようにする努力が必要だと思う。