3億円で保釈
東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサーの選定などで有利になるよう組織委員会・元理事の高橋治之容疑者に依頼し、現金2800万円を賄賂として渡した罪に問われていた人が3億円で保釈されたとの報道があった。
今回のように、お金を持っている人が何億というお金を出して保釈されたとなれば、お金があれば、悪いことをしても刑務所から出ることができるんだなぁと思ってしまう。
報道では保釈金で釈放という内容しか言ってくれないので、このような勘違いしている人もいるのではないだろうか?
拘置所と刑務所
まず、拘置所と刑務所の違いをまとめる。
- 拘置所:刑が決まる前に拘置される場所
- 刑務所:刑が決まって服役する場所
ちなみに、留置場というのは警察が取り調べをする間、留置される場所になる。
検察に渡されると拘置所に入ることになり、刑が確定するまでは拘置所に拘置される。
保釈というのは、拘置所に拘置される場合に、条件に応じて適用される制度になる。
つまり、刑が確定してしまうと保釈はなくなる(服役状況により仮釈放はある)
保釈金制度
保釈とは、保釈金を納付することで、刑事裁判までの間の身柄を解放する制度。
保釈金の正式名称は、保釈保証金という。
証拠隠滅の疑いがなければ、保釈請求を行うことができて、認められれば、保釈金を支払って保釈される。
この保釈金は、途中で逃亡したり、証拠隠滅を図ったりすることを防ぐためのもので、裁判所に一旦預けるものになる。
このため、被告人が刑事裁判に出廷し、判決(有罪・無罪に関わらず)を受けた時点で全額返還される。
拘置されている間は、裁判で判決が出るまでは有罪・無罪の判断ができない。
日本では推定無罪の原則がある。
つまり、刑が確定するまでは、無罪と推定しないといけないことから保釈制度がある。
ただし、殺人などの凶悪犯罪の場合には保釈が認められないことが多い。
保釈の条件は以下の通り。
- 住居が指定(原則自宅)
- 裁判の際には必ず出頭すること
- 事件関係者との接触を禁止する
- 3日以上の旅行を禁止する(旅行は裁判所に申請して必要性が認められた場合)
保釈金の額は?
保釈金の額は一般的には150万円~300万円だと言われている。(年収400万円とした場合)
しかし、人によっては、300万円を安いと感じる人もいる。
そんな人にとって、300万円の保釈金だと没収されてもよいと考えて海外等に逃亡してしまうかもしれない。
実際、保釈されたら逃亡した者も過去にいるので、保釈金の額は、犯罪の性質や財産状況により変わる。
このため、7000万円の人もいれば、3億円だったり、過去には20億円の保釈金を請求されたものもいる。
今回、報道された人は、3億円の保釈金ということなので、それくらいの財産を所有しているものと思われる。
しかし、保釈金を支払うことができない者もいる。
この場合、日本保釈支援協会という保釈金を立て替えてくれる団体がある。
保釈制度は必要か?
近年では保釈制度を悪用して、カルロスゴーンが海外に逃亡した事件がある。
その時の保釈金は10億円。
カルロスゴーンの年収額なので、保釈金の額としては少ないように思う。
海外逃亡できないくらいの、保釈金額を設定していないとカルロスゴーンのような者は多く出てくると思う。
場合によっては財産が全て没収されても逃亡したいという者もいると思う。
カルロスゴーンのことを考えると、彼はずっと罪を認めていなかったので、逃亡の危険性は十分にあった。
推定無罪の原則は大切なことだと思うが、その結果が、逃亡されたままなので、まだまだ不十分な制度だと言えることになる。
コインロッカーの中には、預ける時に100円を投入しないといけないが鍵を戻せば100円が戻って来るコインリターン式ロッカーがある。
このロッカーが、どうしても保釈制度とダブってしまう。
保釈金(100円)を入れるとコインロッカーに鍵をかけることができて、
鍵を返せば100円が戻って来る。
ロッカーに入れた荷物ではなく、鍵が拘置された人ということになる。