警察に言っても起訴してくれないから、検察審査会という制度があるんですよね。
では、検察審査会とは?
- 11人の検察審査員で構成されます。
地域(全国に165カ所)ごとに選ばれ、任期は6か月です。 - 20歳以上で選挙権を有する国民からくじで選ばれます。
- 検察官が被疑者を裁判にかけなかったことの是非を審査します。
不起訴処分になった事件を全て審査するの?
- 犯罪の被害者、犯罪を告訴・告発した人からの申立てがあったとき。
- 検察審査会が新聞記事などをきっかけに審査を始める
申し立てに費用は発生するの?
- 費用は発生しません。
審査方法は?
- 検察庁からの記録などを元に国民の視点で審査します。
審査(会議)は非公開で行われます。 - 審査補助員(弁護士)の助言を求めることもできます。
- 審査結果(議決)の種類
起訴相当:検察官の不起訴は間違っている(8人以上が賛成)
不起訴不当:検察官の不起訴は納得できない(6人以上が賛成)
不起訴相当:検察官の不起訴は相当である(6人以上が賛成)
審査後は?
- 審査の結果,不起訴不当又は起訴相当という議決の場合、検察官は事件の再検討を実施します。
- 再検討後も検察官が起訴しない場合
起訴相当の場合:
第二段階の審査として検察審査会議で再審査されます。その結果,起訴をすべきであるという議決の場合は裁判所が指定した弁護士により起訴の手続がとられます。第二段階の審査は法的拘束力があることから審査補助員を委嘱(いしょく)する必要があります。
不起訴不当の場合:
再検討後も不起訴と判断されればそれで終了。
では、検察審査会の議決により、不起訴から起訴に変わった事例はどれくらいあるのでしょうか?以下の集計データを見ると・・・
検察審査会の受理件数,議決件数等
以下は平成29年の内容です。(平成30年は速報のため)
- 申し立て件数:2507件
職権による件数:37件 - 起訴相当:1件
不起訴不当:67件
しかし、その後、起訴されたかどうかの件数が記載されていません。
起訴された件数が法務省にありました。
【引用元】
平成29年は、85件が措置済みとあり、5件が起訴になっています。年をまたぐ場合もあるでしょうから年毎に数字はだせないですよね。
では、他の年は?
平成25年~28年、起訴件数は13件~20件なので、1年あたりにすると多くても20件ということになります。
どのような協議が行われたのかは非公開ということなので、妥当なのかどうかの判断もできませんが、毎年、2000件以上も検察の判断が納得できないということで検察審査会に申し立てを行っているのに起訴されたのは、その内の20件程度なので、1%しか起訴されないというのは検察の判断に間違いがないと考えていいのでしょうか?
男性記者と女性ジャーナリストの件も、警察では起訴の方向になっていたのに、急遽、警視庁の刑事部長が登場して不起訴と判断されました。納得できないからと検察審査会に申し立てを行いましたが、そちらでも不起訴相当という判断になったようです。弁護士の立ち合いがなかったということなので、第二段階の審査にも至らなかったということになります。
状況を見る限りは、ジャーナリストの方に真実があるような気がします。にも拘わらず検察も検察審査会も起訴に値しない判断したのです。
検察審査会は起訴しなかった検察の記録がベースになるのでしょうから、同じ判断になるのは不思議ではありません。
議決件数の集計を見ても、検察審査会で「起訴相当」と判断されたものは数件の場合が大半です。更に検察審査会の決議通りに起訴された事件の判決は無罪となるものが多いということから判断しても検察の判断ミスというのは少ないと言えるはずです。
しかし、男性記者と女性ジャーナリストの民事裁判の結果と違っていることに対して逆に、疑問が生じます。
判断ミスの少ない検察なのに、誰がみても犯罪性が高いと思われる事件を起訴しなかったのです。
そんなことから、何らかの力が働いていたのかな?と考えてしまいます。