2023年3つめの冬ドラマ
2023年冬ドラマは個人的に豊作だった。
フジテレビの「女神の教室」、TBSの「夕暮れに手をつなぐ」はブログで既に紹介したが、実はもう一つ日本テレビの「リハーサルオーケストラ」を毎週見ていた。
舞台は埼玉県のはずれにある、西さいたま市。
主人公の初音は、西さいたま市役所の広報広聴課の職員として勤めている。
市役所では地味な存在だったが、実は彼女は子供の頃、天才の名を、ほしいままにしたバイオリニスト。
3歳でヴァイオリンをはじめ、5歳でジュニアコンクール日本1位、7歳でオーケストラと初共演、11歳で国際コンクール初優勝、その後、国内外を含め50のコンクールを総ナメ。ベルリンフィル、ニューヨークフィルとも共演を果たしてきた。
そして、10年前に初音は日本屈指のオーケストラである高階フィル交響楽団とのクリスマスコンサートを行なうことになった。
しかし、その日に妹が心臓の病で倒れた。
連絡を受けた両親は初音だけを残して病院に向かった。
舞台に立った初音だったが、妹が、死んでしまったらどうしようと怖くなり舞台を降りて病院に向かってコンサートに穴を開けてしまった。
病室に着くと両親は初音の公演に付きっきりで病気のことに気がついていなかったことを悔やんでいた。
妹も家族に気を使って病気のことを誰にも言ってなかったようだ。
自分のために、妹の病気に気がつくことができなかったことを悔やんで、この日から舞台に立たなくなり音楽の表舞台から姿を消した。
西さいたま市では音楽での地域活性化を図るべく、市長の旗振りでシンフォニーホールを建設していた。
完璧な音響設備、座席数は2000。
玉響の出会い
ホールのこけら落としは4月で、初音は、その告知を行うポスターを配布するために市民センターにやってきた。
ポスターを渡したので帰ろうとすると、地元のオーケストラ「児玉交響楽団」通称「玉響」が子供に向けた演奏会のポスターが張られていた。
開催日は今日、しかも演奏の真っ最中。
初音は演奏会を覗いてみたくなった。
客はまばらで、ホール内は子供が走り回り、鳴き声が歓声のように鳴り響いていた。
演奏のフレーズはバラバラ、リズムはズレている、プロオケとは思えないような、お粗末なものだった。
しかし、音は悪くなかった。
初音は、仕事を終えると、自宅のレッスン室を「ボランティア」の音楽教室として子供達にバイオリンを教えていた。
ボランティアで行っているのは公務員は副業が禁止されているためだ。
バイオリンコンクール
西さいたま こどもバイオリンコンクールに、初音の教え子が出場することになった。
コンクールの審査員の中に、市長の長男で国際的マエストラの朝陽がいた。
朝陽は、母親が倒れたということでドイツから呼び戻されていた。
しかし倒れたというのは嘘だった。
新しいシンフォニーホールの、こけら落としを市長が玉響にすると言うと、知名度が足りないのでは?と反市長派の議員達が言い出した。
それが悔しくて、絶対に玉響で満席にすると市長は言ってしまったのだ。
そして、満席にできなかったら市長を辞めるとも勢いで言ってしまった。
そんなことから、絶対に玉響でホールを満席にする必要があった。
そんな理由で、国際的マエストラである朝陽を呼び戻した。
既に市長の策略で、朝陽のヨーロッパでの公演といった予定は春までキャンセルされ、ドイツの部屋も引き払われていた。
朝陽には戻る場所がなくなっていた。
仕方なく、朝陽は玉響のマエストロを務めることになった。
そして、今は、こどもコンクールの審査員として会場に来ていた。
しかし、コンクールにも関わらず、レベルの低い演奏ばかりで、レベルが低いと嘆いていた。
そんな中、心から楽しそうに、まるで初音の子供の頃のように演奏する少女がいた。
朝陽は、どこの音楽教室の子供か慌てて確認した。
すると初音の音楽教室だった。
朝陽だけでは、玉響の演奏をレベルアップするのは難しい。
どうしても要となる演奏者が必要だった。
天才バイオリニストの初音がいれば何とかなると考えたのだ。
コンマスの依頼
後日、朝陽が初音の職場に現れた。
そして、玉響のコンマスを依頼された。
第一バイオリン主席で、プレイヤー達を導いて、演奏を取りまとめる、第二の指揮者になる。
しかし初音は、もう舞台には立たないと決めているので断った。
すると朝陽は初音が自宅でバイオリン教室を開き、報酬を得ている件について市長に報告すると脅してきた。
初音は、音楽教室はボランティアで行っていることを告げたが、実は同居している妹に毎月8千円の月謝を支払っていると生徒の母親から聞いているので、妹に確認してくださいと言われた。
妹は公務員の副業が違法だとは知らなかったので、姉が演奏者として復帰した時のために手をつけずにずっと貯めていた。
生徒は5人なので毎月4万円。8年続けているので、384万円の報酬を得ていたことになる。
初音は、報酬を全額、返金し上司にも報告した。
玉響での初練習
後日、市長に呼び出された。
市長室のソファーには朝陽が既に座っていた。
そして、市長からコンマスの依頼をされるのかと思っていたが、朝陽はオーケストラ専属の広報として初音を配属して欲しいと依頼していた。
市長に頭を下げられると初音も断ることができず、思わず「承知します」と受けてしまった。
初音は早速、広報として玉響に参加したが、練習場に入ると朝陽からバイオリンを渡された。
そして、好きな時に入ってきてくださいと言われた。
しかし、初音は演奏できずにいた。
初音がなかなか、演奏に入ってこないので、バイオリンソロのパートで初音を指差した。
条件反射で初音は演奏を始めた。
それは、10年のブランクがある演奏ではなく、ずっと練習を続けていたレベルだった。
初音がコンマスとして演奏すると、バラバラのフレーズ、ズレたリズムは見事に合わされて素晴らしい演奏になった。
メンバー1人1人が成長していくことで玉響も成長していく。
そんな姿を描いたのが、リハーサルオーケストラ。
こちらも残念ながら、視聴率は6%台ということで、今回も高視聴率ドラマではないドラマが面白かったことになる。(笑)