チロチロリン
2022年8月4日は朝からエリアメール(災害・避難情報)の「チロチロリン・チロチロリン」音が断続的に鳴り響いていた。
小松市では午前中から梯川が氾濫の危険性がある警戒レベル4相当まで到達した。
災害の危険が切迫しているとして、午前11時半に小松市西尾校下の196世帯、434人に、正午に最高の警戒レベル5に相当する避難情報「緊急安全確保」を市内全域に発令した。
そして午後2時30分、梯川が氾濫したとのことで、再度、エリアメール(河川氾濫発生情報)が発表された。
避難指示は出された地域もあるが、浸水の危険があるというのに、避難場所は平屋建てだというので、2階建ての自分の家の方が安全だと避難場所には避難しない人もいた。
「避難指示」は市町村が発令することになっている。
警戒レベル4では危険な場所から全員避難(立ち退き避難または屋内安全確保)になる。
立ち退き避難
- 災害リスクのある場所にいるかたが、そこにいては命が脅かされるおそれがあることから、その場を離れ安全な場所に移動すること。
屋内安全避難
- 浸水、家屋倒壊・流失、土砂災害の危険がない場所または影響が少ない場所で、屋外に避難する方がかえって危険と判断される場合は、自宅などその場に留まり、安全を確保します。
避難は「難」を「避ける」行為
避難指示というのは必ず避難場所に避難するということではなく、「難」を「避ける」ことを考えないといけない。
つまり、状況に応じて安全な状態を確保することが「避難」ということで、安全な場所に身を置くことになる。
このため、その場に留まる方が安全な場合は、その場に留まることも避難に該当することになる。
このため、平屋の避難場所より2階建ての自宅の方が安全だと判断できる場合は、自宅で安全確保も避難指示に従っていることになる。
避難指示が出された地域に住んでいる人、川が氾濫したから家に戻りたいというのは「避難」とは逆の行動になるので、職場で安全な場所にいるのに、家に帰すというのは適切な判断なのかどうか今回は随分と悩んだ。
例えば、浸水している地域だと、車で向かえば水没して故障して身動きが取れなくなる危険もある。
車が水没して身動きが取れなければ命に関わることになる。
梯川の整備計画は平成20年から策定されて、平成28年3月にようやく決定した。
計画では、更に20年かけて全長約12Kmを整備していくというのだから30年以上かかったのでは遅いとしか言いようがない。
この間も自然災害は待ってくれない。
想定しているのは戦後最大規模の洪水である昭和34年8月洪水と同程度の降雨量だという。
60年前と今では環境は大きくことなる。
更に今後を考えれば60年前を想定していたのでは不十分と言わざる得ない。
今回の大雨では2022年8月4日午後3時10分までの6時間降水量が観測史上最大の162ミリを記録している。
今後も今回以上の雨が予想されるので8年もかけて計画し20年後に整備が完了しても、その頃には想定を超えた雨量が当たり前の時代になっているかもしれない。
これからは過去最大を越えることが繰り返されていくはずなので、過去最大を想定しても意味がない。
今後、どれだけの雨量になっていくのかを予測した上で、それを超えることを想定した上で整備が必要なのではないだろうか?
避難指示には法的拘束力はない
また、避難指示には法的拘束力はないので、避難するかどうかは、個人に任せることになる。
仮に勤務先が避難指示が出されて、住まいのある場所も避難指示が出された場合、どちらにも逃げようとしても避難指示が出されているので判断に困るはず。
無理に帰宅しても、周囲が水浸しになって閉じ込められたりすれば家から出られなくなる。
勤務先も安全配慮義務はあっても、避難指示に関しては法的拘束力がないので、結局は個人で判断するしかない。
通常は、勤務先のある場所で避難指示が出されれば、業務を終了させて、情報を提供すれば、あとの判断は個人に任せるしかないと思う。
それ以上の判断を上司などが行なったとしても、強制力はない。
最後は個人の判断
最終判断は、本人しかできない。
仮に本人が避難指示が出ている場所に戻ると言った場合、明らかに危険だとわかっている場合以外は、尊重するしかないというのが自分の意見になる。
避難指示が出されている場合だと、安全を優先するなら避難指示が出されていない場所にいる親戚、知り合いの家に向かうのがマニュアルに書かれている内容になるが、避難指示が出された場所に家族がいると思うと、帰らずにはいられない当人の気持ちを尊重するしかなかった。
今回は、結果的に戻ってよかったということだったが、今後、同じようなことが繰り返された時に、同じ結果になるとは限らない。
自然を相手に、結果を予測するなんてことは無理があるので、正直、二度と起きないで欲しいと強く思っている。