ドリームマッチ
ドリームマッチと言われていた、那須川天心 vs 武尊戦が2022年6月19日に東京ドームで行われ、那須川天心の判定勝ちで決着した。
正直な感想として、ドリームマッチではあったが試合内容は期待はずれの内容だった。
天心のジャブが武尊にやたらとヒットしていた。
武尊は天心のジャブに反応できていない感じで、ラウンドが進むに連れて武尊の顔が赤くなっていった。
1ラウンドが残り10秒となった時に天心が左フックをヒットさせて武尊はダウンした。
天心が武尊からダウンを奪ったことで会場は一気に盛り上がった。
しかし、武尊が立ち上がると同時に1ラウンドが終了。
2ラウンドか始まり、1分を過ぎた時に武尊の頭が天心の右目に当たり試合が中断した。
武尊のバッティング?
嫌な感じがした。
2ラウンド残り1分となった時に、武尊が首投げで天心を投げた。
嫌な感じは確信に変わった。
つまらない試合へ
この瞬間、ドリームマッチは、つまらない試合になってしまった。
偶然だと信じたかった武尊のバッティングは故意だったと確信した。
試合後、天心は頭が右目に当たってから試合中は視力が回復しなかったと語っていた。
結果的には、世紀の一戦、ドリームマッチと言われていた試合を武尊は台無しにしてしまった。
武尊自身が1ラウンドにダウンを奪われ、その後も、2ラウンドになっても天心のジャブに反応できず、天心との力の差を感じて、勝てないと試合を諦めてしまった。
しかし、世紀の一戦で負けたら、おしまいで全てを失う。
KO負けなんて絶対に許されない。
武尊はバッティングで怪我をさせてドクターストップで試合をできなくする選択をしたのか?
残念ながら、ドクターストップにはならず、負けを確信し、どうしようもない焦りや苛立ちから首投げを行なってしまった。
300万円を払って見るような試合ではなくなった。
「負けられない」から「力」が出せない
武尊戦の前にRISEラストマッチで天心と戦った風音の方が武尊より強いと感じさせるほど、本当の力が出ていなかった。
それほど、武尊にとって「負けられない」という気持ちが強かったのだと思う。
負けたらおしまいだと感じていたのは武尊だけではなく、天心も同じで試合後のインタビューで負けたら死んでいたと発言していた。
それほど、2人にとって、この試合は「負けなれない」一戦だったので、2人のプレッシャー想像を絶するものだったはずだ。
結果的にはドリームマッチは凡戦となってしまったが、ドリームマッチだったがゆえに周囲から騒がれて2人共に「負けられない」という気持ちが強くなっていった。
そして、「負けられない」という気持ちに打ち勝って、いつも通りに近い力を出せた方が勝利した。
将棋大会の思い出
自分も規模は比較にならないほど、些細なことだが、子供の頃に将棋大会に出場したことがある。
近所のショッピングセンターで行われたものなので町内会レベルになる。
その頃、将棋には自信を持っていて、周囲の将棋好きの大人に負けることはなくなり、師匠だった祖父にも自然と勝てるようになっていた。
このため、その辺の子供には負けることはないと思っていたので、優勝できると信じていた。
初戦の相手は年下の男子だった。
楽勝だと考えていた。
しかし、たくさんの人が見ている前で将棋を指すという経験がなかったので、必要以上に人目が気になり、頭の中が混乱していた。
恥ずかしい手は指したら笑われる。
万が一年下の子に負けたら、どうしよう?
負けたら2度と将棋は指せない。
こんなことばかりを考えていた。
そうすると、目の前の手しか見えなくなり、先を読むなんてことができなくなった。
その結果、普段なら指さないような手を連発した。
最悪だったのは王手飛車取りの角の場所に相手の桂馬が効いているのを見落として角をあっさりと取られた手だった。
相手はタダで角が取れたので大喜びだ。
この相手なら角落ちでも勝てるはずだと気持ちを切り替えようとしたが、桂馬を見落として角を取られたショックは大きく、その後も悪手を連発してあっさりと、負けてしまった。
相手は大喜びで席を立ったが自分は暫く恥ずかしくて顔をあげることさえできなかった。
余計なことは考えない
この時に、余計なことを考えていると、普段の力が出せなくなる。
このことを学んだ。
将棋大会とは比較にならない観客、レベルの試合で日本中が期待している。
試合が決まるまでに6年以上、試合が決まってから約半年。
体重オーバーなんて許されない。
食べたいものも我慢しての練習。
この間、他にも色んなことと戦っていたのだから試合当日にはヘトヘトだったはずだ。
今回のドリームマッチは、天心の方が実力を出すことができたので勝利したのだと思う。
パンチ力に関しては、武尊の方が勝っているので、大振りをせずに、コンパクトに当ててから、渾身の一撃を見舞うといった戦略で挑んでいれば、違った結果になっていたかもしれない。
天心にとっては会心の試合だったが、武尊にとっては悔やんでも悔やみきれない程、悔しい試合だったと思う。