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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

社長1人で会社は「善」にも「悪」にも変わる。

1人目の社長

入社して初めての「社長」は、経営者というよりも、技術者という感じの方だった。

あまり口数は多くなく、寡黙な方ではあったが、普段はニコニコしており、怖いという感じはなかった。

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人前で話すのが苦手だったのか、社長の代わりに開発部長が代弁して話していることが多かった。

自分が入社した頃、「社長に直訴」はご法度で、直訴は「打ち首」だと言われていた。

入社して間もないことあり、その時の社長と話したのは面接の時だけで、あとは直接話すことは一度もなかった。

しかし2年ほどで社長が変わった。

その時は、なぜ辞めたのかは、知らなかったが、のちに会社を辞めて故郷で新会社を設立したことを知った。

2人目の新社長

次の社長は、何にでも厳しく、怖がられるようなタイプの方だった。

しかし、自分は、どこかその社長が憎めなかった。

そして口だけの人かどうか?という点をしっかり見てくれていた。

技術者というのは口下手なタイプが多いので、その頃は、アピール上手だというだけの人は評価されることなく、実力があり結果を残す人が評価されるようになった。

前任の社長は、あまり社員の声に耳を向けてくれる人ではなかったので、「社長に直訴」はご法度だったが、次の社長は、毎月、全員が作成する業務報告を社長にまで回すように指示を出して、全社員の業務報告に目を通していた。

それだけでなく、業務報告に書いた問題点に対して社長自ら動いてくれて、担当部門の責任者を毎朝、呼びつけて、指導を行ってくれた。

このため、社長室の前には毎朝、社長に呼ばれた責任者達で行列が出来ていた。

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業務報告に書いたことを社長が是正してくれるということが浸透していくと、一般社員だけではなく課長・部長クラスまでが、毎月の業務報告書に書くようになった。

社長は厳しくて怖い人で、近寄りがたい方ではあったが、やることは、やってくれる人だということを社員全員が周知するようになり、全社的に社長の指示には従わないといけないという風潮が強くなり、会社全体がうまく回るようになっていった。

その結果、前社長の時にはなかなか達成できなかった売上目標も達成できて会社の売り上げも右肩上がりで年々、大きくなっていった。

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その後、社長が定年を迎えて退任して新しい社長に変わった。

3人目の社長

新しい社長は前任者とは真逆のタイプで「人当たりの良い」方だった。

会社の輪を重視し、理論武装が必要だと色々な講師を呼んで社内セミナーを実施した。

会社の行事・福利厚生にも力を入れて、前任者が決めていた社員数の制限を廃止し積極的に採用活動を行うようになった。

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その結果どうなったか?

社長は教祖、社長を信じるものは信者のような関係になっていった。

社長を中心に会社の雰囲気が明るくなったと言われるようになった。

このため、社長の存在は信者にとって教祖というだけではなく「友人」のようでもあった。

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社長が変わったことで、社員の月度業務報告までは見る必要がないということで社長には回らなくなった。

社長には部門長が部員の業務報告を1枚にまとめて社長に提出するように変わった。

部門長は、自分にとって都合の悪い内容は社長に提出する報告書には記載しないで回すようになった。

その反面、会社の行事等を利用して社長へ直接話す者が増えて行った。

前任者の時代には評価されなかった、口だけの人間が社長と積極的に話すようになり、

自然と評価されるようになった。

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反面、口下手な技術者は評価されなくなり、年功序列は廃止、世代交代だと言って人格的に未熟な人間が部門長になった。

理論武装をしたアピール上手・口だけ人間が会社の管理職を占めるようになり、社長に認められているということで勘違いした人間が権力を行使するようになっていった。

当然、陰湿なセクハラ、パワハラが増えていった。

世の中がセクハラ、パワハラを問題視するようになり、世の流れに沿って、この会社も相談窓口を設置することになった。

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本来は相談されるべき立場の上司が、セクハラやパワハラを行なって加害者になっていたのでは部下は相談できる人がいない。

そういう意味では相談窓口を設置することは必要だと思う。

しかし、相談窓口を担当するのは誰なのか?と気になるのではないだろうか?

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最初は人事部門が窓口となり、「目安箱」なるものが設置されていた。

「目安箱」というのは徳川吉宗が庶民の要求や不満などを受けとるためにと設置した箱になる。

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この頃は既に人事部門も口だけ管理者に汚染されていたので、上司にセクハラを受けたと目安箱に投函しても、口だけ管理者の仲間である上司ではなく相談した本人が別の部署に異動になってしまった。

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広まるのは「噂」だけでなく本来は隠されるべき「事実」もなぜか広まってしまうものだ。

会社の犬こと「人事部」

この件で、人事部門は「会社の犬」という評判が定着してしまい、人事部門は信頼できない部門となり目安箱に投函するものはいなくなってしまった。

人事部門の口だけ管理者は自分の評価に関わると、次の手を打ってきた。

三者である、心理カウンセラーの先生を雇って窓口になってもらえば相談しやすいと考えた。

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社内には相談窓口開設の案内が出された。

案内には、以下の内容が追記されていた。

  • 相談するときは実名
  • 相談内容は会社の人事部門に伝える

これで、相談窓口の敷居は東京スカイツリー以上の高さに上がってしまった。

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結果は明白で、社長と交流のあるものはセクハラやパワハラを受ければ直訴されるので、ハラスメントを受けるようなことはない。

しかし、そうでないものは、ハラスメントを受けることになるが、口だけ管理者には相談できない、相談窓口に相談しても口だけ管理者に筒抜けになるのは、わかっているので、第三者の心理カウンセラーだと言われても、相談できるような雰囲気ではなかった。

仮に人事部を経由しないで社長に声が届いたとしても、親交のある口だけ管理者と一社員を天秤にかけるまでもないので、声をあげたものが悪者にされて終わったはずだ。

初めての「悪い社長」

社長は、一見すると人当たりが良いが表と裏の顔を持っている。

裏の顔は社長の信者となったものには見せることはないが、そうでない場合には、裏の顔を見せてくれることがある。

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実に執念深い性格のようで、何気ないことであっても自分が気に入らない発言などは言った本人が忘れているような内容でも覚えていて、過去にこんなことがあったと話すときがあった。

会社は社長の信者と、そうでない者に二分化された。

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採用活動を積極的に行ったが、社長の信者達が合否判断を行うので自分達がコントロールできるような人か、次の採用に繋げるために、とにかく良い大学卒であれば誰でも良いと採用していったので個性ある人材ではなく、社長のような表面的に人当たりの良い表の顔と裏の顔を持った学生か一流と言われるような大学卒の人だけが入社してきた。

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それでも、一度、軌道に乗った売り上げは簡単には下がらない。

しかし、仕入先からは不満の声が届くようになってきた。

ここでも、顧客には表の顔しか見せないが、仕入先には時折裏の顔を見せるので、顧客の要望を受けるために仕入先への無理な依頼をすることが増えていった。

これが、不満の声となって入ってくるようになった。

仕入れには直接関与しない社員に世間話の中で言ってくるようになった。

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顧客への愚痴を顧客の社員に対して言ってくるというのは、我慢の限界に達しているからだろう。

本当は取引を断りたいが背に腹は変えられずに我慢している。

社長が変わっただけで、会社がこれだけ変わるものなのか?と正直、驚いている。

まるで、日本昔話の現代版で、「良い社長と悪い社長」といった題名の話だと思う(笑)