金沢でも手続きミス
ニュースを見ていると、マイナンバーカードをめぐるトラブルが連日、報道されている中、金沢市でも事務手続きミスが6件あったとの報道が2023年6月24日にされていた。
金沢市でマイナンバーカードの顔写真を取り違えたり、別人にポイントを付与したりするなどのミスがあったことがわかりました。
金沢市によりますと、去年7月から今年5月にかけてマイナンバーカードに関する事務手続きであわせて6件のミスがあったということです。
内訳は顔写真の取り違いが3件、マイナポイントを別の人へ付与したものが1件、カードの誤った更新が1件、本人の同意をとらずに健康保険証機能を登録したものが1件です。
いずれも本人から申し出があり発覚し、原因はすべて職員のミスだということです。
【出典】全て職員が間違える…マイナカード巡り金沢市が6件のミス 写真取り違いや別人へのポイント付与等 | 石川テレビニュース | 石川テレビ放送 ishikawa-tv.com
社員証導入時の経験
自分も随分前に社員証を始めて導入するという場に関わった経験がある。
警備システム・入退室管理・食堂・複合機・と連動する
技術的なことは、また別の機会に譲るとして、今回は事務処理に限定して書いてみたい。
社員データベースの作成
事務的な処理で一番、気を遣ったのは写真と氏名を紐づけるところ。
今回、マイナンバーカードでも問題が一番多く発生している内容と共通する。
その頃は、写真付きの社員データベースがなく、社員証を作るタイミングで一緒に作りたいということだった。
そう考えると、人数の規模は小さいが、今のマイナンバーカードの登録と同じようなことをしたことになる。
手入力を行うと間違えてしまうということから手入力は極力行わないようにした。
コンピュータで処理するためには、写真はデータ化しないといけない。
その時は、人事部門が用意していた写真データがあったので、データ化に関しては、行っていない。
人事が所有している写真(画像データ)の保存場所一覧をデータ化した上で、社員名簿に、保存場所+ファイル名の欄を追加して紐づけを行った。
ファイル名は社員コード+姓名になっていたので、ファイル名から、社員CDと姓名を分離するソフトを作り、EXCELに入力されていた社員名簿と照合して社員データベースを作成した。
人事部門より、新たに姓名のローマ字(ヘボン式)表記を追加したいという要望があった。
ローマ字を手入力してもらうにしても、自分達で行うにしても誤入力は避けられない。
「ふりかな」は情報に含まれていたので、ふりかなから、ローマ字に変換するマクロを作成して自動生成するようにした。
最後に、社員証のICチップに書き出す情報を追加した。
こうして、何とか写真と社員名簿を紐づけた社員データベースが作成できた。
社員画像の変換
次は、データ化した画像を証明写真サイズに変換する処理があった。
これは、写真は人事部門が独自に撮影したものだったので、顔部分だけではなく上半身が全て撮影された状態だった。
このため、肩部分から上だけを切り取り、証明写真サイズに変換する必要がある。
しかし、この処理はデータベースから社員証を作成するソフトウェアが自動で行ってくれたので、読みこんだ画像をダブルクリックするだけで自動処理してくれた。
更には、美白モードというものをあって元の画像を補正して若干ではあるが、いい感じに仕上げてくれた。
本当は、写真と名前を照合する作業を行いたかったが、自分も人事部門も全社員の顔を名前が一致しているわけではないので一致しているかどうかの最終確認は本人に依頼するしかなかった。
このため、個人個人の社員証のイメージが完成したら、部署毎にまとめて本人に確認をしてもらうことにした。
ちなみに、金沢市でもマイナンバーカードを受け取る際には職員が2名で写真と本人の確認を行っていた。
このために、本人が受取りに来て欲しいということだったはず。
それでも、渡した後に、本人の顔とマイナンバーカードの写真が違っていたなんてことがあり得るのだろうか?
一つ、考えられるのは、市役所が自分がマイナンバーカードを受け取った時とは状況が全く違っていた点。
自分が受取りに行った時は、自分だけだったが、先月、市役所に行った時には凄い数の人達がマイナンバーカードの受け取りに来ていた。
そして、その時は、自分に関しても、本人確認は全くされていなかったので、マイナポイントで集中してマイナンバーカードを作成する人が増えてしまい市役所の負担が増えてしまったために、簡略化してしまったのかもしれない。
マイナンバーカードに至っては、ほぼ知らない人だと思うので、写真と情報の紐づけがわからなくなってしまったら、おしまいだろう。
本人確認作業
写真付きの社員データベースができればあとは、社員証作成システムに読み込ませて社員証のICチップに書き出すだけだったが、社員証作成ソフトの不具合で、ICチップへの書き込みエラーが多発して、解決までにかなりの時間を費やした。
明らかにソフトのバグだったが、ベンダーが頑として認めず、ソフトの修正を行ってくれなかった。
何とか、不具合を回避する方法を見つけて対応し、確認用の社員証を紙に印刷して本人確認を依頼した。
十分注意していた写真間違いはなかった。
しかし、想定外のことが起きた。
結婚した女性で戸籍上は苗字が変わっていたが、職場では旧姓のままでという人がいた。
これは人事部門が把握していたので、社員証は旧姓で作成するということで問題はなかったが、社員名簿に旧姓が記載されていなかったので、結婚後の苗字で社員証を作成してしまった人が1名ほどいた。
あと、中国人社員のローマ字表記が違うということで数名から指摘を受けた。
これは日本語読みと中国語読みで、ひらかなに違いが生じていたためだった。
もう一つ、写真が気に入らないので指定のものに差し替えて欲しいという内容もあった。
社員証の本発行
そんな感じで、本人確認後の修正も終わり、本発行を行った。
その時は、無事、完了したと思っていた。
しかし、写真を差し替えてもらったという話を聞いた別の社員が、自分も変えたいと言ってくる人もいたようだ。
驚いたのは、社員証の名前が旧姓になっているということを数か月以上経過してから連絡してきたこと。
なぜ?今更?という感じだった
理由を確認すると、結婚後、人事部門に確認された時に、旧姓のままにするかどうかを確認されたらしいが、その時は旧姓で良いと思ったので、旧姓でということになっていたが実は、新姓に変えたかったらしいが、ずっと言えなかったということ。
職場では、新姓で呼んでもらうようにしていたが、人事部門には伝えていなかった。
しかし、社員証に旧姓が記載されていると職場の人達からもどうして?と言われる。
そんなことが続いたため、新姓に変えたいと思うようになったとか・・・
社員証一つとってもこれだけの想定外のことが起きるのだから、人数的には何桁も違うマイナンバーカードなら更に色んなパターンがあったと思う。
このため、マイナンバーカードで苦労されている方達には、同情的になってしまう。
世間は、事務手続きミスを非難しているけど、仕方ない部分もあるんだよなぁとボソっと呟いている自分がいる(笑)