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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

小林製薬は繰り返す。

小林製薬の紅麹問題

小林製薬が「史上初」という触れ込みで、紅麹を使用したサプリメント「紅麹コレステヘルプ」(※)を販売していた。

小林製薬の「ナイシンヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」も紅麹が使用されている。

何が、史上初なのか?というと、紅麹由来成分を機能性関与成分とした、LDL(悪玉)コレステロールを下げる機能性表示食品

しかし、腎疾患等が発生したとの報告を受けて製造・販売元の小林製薬は自主回収を行うと共に「ただちに使用中止してください」と呼び掛けている。

症状は、むくみが出る、尿が出にくくなる、一時的に透析が必要になった人(2名)もいるとのことなので、腎臓が機能しなくなる場合もあるということになる。

これまでに、5人が死亡、188人が入院、通院は848人とのこと(2024年4月3日現在)

【出典】紅麹関連製品に関して | 小林製薬株式会社

当初、本製品及びそれに使用している紅麹原料(自社製造)の成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明したという。

紅麹は「カビ毒(シトリニン)」を生み出すことが確認されていて、ヨーロッパではサプリ中の基準値を設定している。しかし、今回「シトリニン」は検出されておらず、「プベルル酸」が影響した可能性があるとか色々と指摘されてきたが、2024年4月4日時点では、これまでに報告された患者のほぼすべてで腎臓の機能障害の一種「ファンコニー症候群」という病気がみられたことがわかった。

ファンコニー症候群とは?

腎臓の尿細管という部分の機能が低下する病気で、筋力低下やけん怠感、脱水などを引き起こし放置すると、腎臓全体の機能が悪化し、慢性腎不全に至ることもあるという。

複数の原因があって遺伝的な要因のほか、鎮痛剤や抗生物質などの薬が原因でも起きることがあるとのこと。

紅麹とは?

紅麹というのは、米などの穀物を麹菌の一種である紅麹菌で発酵させたもの。

チーズなどに使われている「青かび」と同じ仲間に属する。

鮮やかな赤色の色素を作るので天然色素としてよく使われる。

古来から発酵食品として使われていた。

紅麹は米などの穀類にMonascus属糸状菌を繁殖させた鮮紅色の麹です。食品分野では、液体培養法で製造された紅麹色素が世界で広く利用されています。一方、中国・台湾では、伝統的な固体培養法により製造された紅麹が酒類醸造、着色着香料、滋養食・薬膳料理として利用されてきました。また、国内でも、沖縄において豆腐ようとして独自の食文化に利用されてきました。
本研究では、食品原料としての紅麹の機能性および品質確保を目的として、紅麹米の色や菌糸などの形態変化、機能性成分や色素成分などの代謝生成物の経時的分析を行いました。

【出典】紅麹菌の伝統発酵法における健康成分の変化を世界で初めて解明 ~古来から伝わる赤い麹菌の活用に進展~ | ニュースリリース | 小林製薬株式会社

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、2016年6月に紅麹事業をグンゼ株式会社から譲り受けて、国内唯一の固体発酵法により生産される紅麹の発酵過程における形態・色、機能性成分、色素成分等の変化を世界で初めて解明したとのことだが、それまで麹の製造経験はなかった。

またグンゼからの譲渡に際しグンゼから健康被害を引き起こすリスクがあるとは聞いていなかったとした。

小林製薬の対応がお粗末

小林製薬に腎疾患などの症状が最初に報告されたのは2024年1月11日、その後、社長に報告されたのが2024年2月6日だった。

そして、ホームページ上で公開したのは、2024年3月22日。

小林製薬は症状の報告があってから、2か月以上も発表していなかったことになる。

これに対しては、2024年3月22日に行われた記者会見にて、原因究明に時間を要し、紅麹が原因の可能性がかなり高いことがわかったのが、2024年3月17日だと説明している。

しかし、小林社長は記者会見の中で以下のような発言も行っている。

  • 2月6日に聞いた時点で、この案件については何らかの形で回収になるだろうという覚悟を持ちました。そこから本当は、早く止めなければいけない、早くロットを限定しないといけないという気持ちで取り組んでまいりまして、事実確認だとか、原因究明にかなり努力はしてもらっていたんですけど、結果としては時間がかかってしまって、大変申し訳なく思っておりますし、その点で判断が遅かったと言われれば、その通りだと感じております。

まず、最初に「回収になるだろうという覚悟を持った」と話している。

だったら、なぜ、早く止めなかったのか?ロットを限定できなくても、止めるという判断はできなかったのか?という疑問を誰もが持つはずだ。

記者が、即座に2月6日の段階でロットの指定は難しかった中でも、大きく輪をかけて一度止めてしまうということは難しかったのか?という質問をしてくれた。

社長は以下のように答えていた。

  • まだシトリニンなどの議論をしていて、どんなことが原因になっているか、わからない状況でありましたし、当該製品が本当に原因となっているか?どうか?もわからなかったところもございましたので、その判断はその時点ではできませんでした。

社長の発言からは当該製品が本当に原因なのか?ロットの限定だとか、「回収」の心配しかしていないように感じられ、健康被害の拡大を止めなければいけないという気持ちは微塵も感じられなかった。

その気持ちがあれば、回収云々よりも、一刻も早く、健康被害が出ているという事実を世間に公表する判断を行ったはずだ。

「回収」による損害を第一に考えていたために、自社製品に本当に問題があったのか?あったのであれば、少しでも回収する数を減らしたいのでロットを限定しようとした。その結果、2か月以上も「健康被害」という事実があるにも関わらず、事実を公表しなかったのは大きな問題であり、そのような判断を行った小林社長の責任は重い。

にも拘わらず、2024年3月28日に小林製薬の新体制が発表されたが、役員及び執行役員人事でも変わったのは、執行役員の2名だけ。

【出典】役員及び執行役員人事に関するお知らせ | ニュースリリース | 小林製薬株式会社(2023年)

【出典】役員及び執行役員人事に関するお知らせ | ニュースリリース | 小林製薬株式会社(2024年)

人が5人も亡くなるようなこと機能性表示食品を販売した上に、「回収の心配」を最優先するような対応を取り2か月も事実を公表しなかったような社長が何の責任も取らない。

社長だけではなく、取締役・監査役も一人も入れ替わりがない。

今は、問題の渦中なので、人事を刷新することで逆にトラブルが生じると考えているのかもしれないが、記者会見で、ほとんど話すことがなかった社長が変わっても何の影響もないはず。

むしろ、変わった方が客観的な判断ができるので、善い方向にむかうはずだ。

こんな役員人事では、同じことを繰り返すのは間違いない。

小林製薬」は「あったらいいなをカタチ」にするだけで、健康被害を起こしても自分たちの利益を最優先して事実を公表しないような無責任な会社だと言える。

今回の件で何の反省も感じられない姿勢では未来はない。