巨人ファンだった
プロ野球と言えば子供の頃から巨人ファンだった。
しかし、プロ野球で現在のクライマックスシリーズが始まってからは、徐々に見なくなった。
4月から1年を通して頑張って120試合以上も行なってを優勝したのに、クライマックスシリーズだと言って2位と3位のチームが3戦し2勝した方と6戦して4勝した方が日本シリーズに進める仕組みがどうにも納得できなかった。
それでも、試合結果と、日本シリーズのテレビ放送だけは何となく見ていた。
屈辱の日本シリーズ8連敗
しかし、去年のソフトバンク対巨人の日本シリーズを見ていて愛想が尽きた。
巨人は屈辱の4連敗でソフトバンクが日本一。
それだけではない、一昨年も日本シリーズで4連敗して日本一を逃しているので、日本シリーズで8連敗というのは巨人が史上初の最下位となった時より屈辱だった。
弱い巨人が最下位になるなら諦めもつくが、セリーグで二連覇するほどの強い巨人が日本シリーズでは、ソフトバンクに一回も勝てない。
試合内容は巨人が勝てるとは思えない程の実力差があったことが更に悔しかった。
プロ野球との決別
不条理なクライマックスシリーズに加えて去年の4連敗で完全に巨人とプロ野球に愛想が尽きた。
そして、今年は試合どころか、試合結果さえ気にならなくなった。
自分でも不思議な程、プロ野球に興味がなくなった。
見たいけど、見ないではなく、関心がなくなっているので、完全に気にならなくなっている。
更に自分が見ているニャース番組でもプロ野球に関しては報道していないので、プロ野球の情報はほぼ目に入ることがなくなった。
春から夏にかけて阪神の佐藤選手についての報道を見たのと、地元ニュースで元星稜高校の奥川投手がヤクルトに入団して今年はチームトップの勝ち数だという報道を見ただけだ。
このため、今年はセパ共にどの球団が優勝したのかも知らない。
巨人が優勝したのかもどうかさえ、興味の対象からは消えているので、どうでも良いというのが正直な感想だ。
日本ハム新庄監督が誕生
そんな時に、日本ハムの監督が新庄氏になるというので、記者会見?の様子が報道されていた。
普通、監督に就任すれば優勝を期待されていることから優勝の二文字が就任コメントには登場するものだ。
新庄氏のコメントにも当然、優勝の二文字は登場した。
しかし予想していた内容とは全く異なる「優勝なんか一切目指しません」という言葉だった。
現役時代から自由奔放な発想から野球を楽しませてくれた。
敬遠球を打った背景には周到な準備があった。
一番、印象的だったのは阪神時代に槇原投手が敬遠のために投げた一球を打ち返してサヨナラ打にしてしまったシーンだ。
一見、何も考えずに目立ちたいだけで敬遠球を当てに行ったように見えたが、用意周到な準備の上で行われたものだった。
敬遠球を打った3日前の広島戦でも新庄は敬遠をされていた。
その時、新庄は敬遠されるのをボーっと見ていた。
その時に、ショートがセカンドに入っていたので、投手の左に打てばサヨナラになると思った。
新庄は右打者なので敬遠球は新庄から見て外角を大きく外れた位置に投げる。
敬遠球を打つことは考えていないし、仮に打ったとしても外角を大きく外れた位置なのでライト方向にしか打球は飛ばないと考える。
このため、ショートは暴投や盗塁に備えて2塁に入るのが普通だ。
そこで終わらないのが新庄の凄いところで次の日の練習で5球だけでいいので捕手に立ってもらえませんか?と頼んで敬遠球を打つ練習をしていた。
結果は5球中3球を打つことに成功した。
それだけでない、1塁コーチボックスに入る当時の柏原打撃コーチに敬遠の場面が来たら打つのでサインを決めておきましょうと申し出た。その時に当時の野村監督に相談することを条件にサインを決めた。
「1回帽子を取ったら打っていいことにする」
そして3日後の巨人戦で敬遠の場面が来たので、柏原打撃コーチは野村監督に確認しに行った。
「新庄が打ちたいと言ってます」と伝えると、監督は「え?どういうことや?」といいつつ何かを考えていた。
野村監督は3日前に囲みの取材を受けながら新庄が敬遠球を打つ練習をしていたところを見ていた。
ここで、なぜあんなことをしていたのかに監督は気が付いた。
「勝手にせぇ」と柏原打撃コーチに伝え、慌てて、帽子を取るサインを送った。
敬遠球を打ったのは、新庄が目立ちたいだけで勝手に振ったのではなく、事前にしっかりと準備され、監督が認めた上で行われていたことになる。
敬遠球を打つなんてことはリスクの方が大きいので普通は認めない。
しかし、柏原打撃コーチ自身が敬遠球をホームランしている猛者であり、野村監督も信頼する選手の申し入れを受ける度量がある人だから成立したのだと思う。
努力家で戦略家
一見、チャランポランに見える新庄だが人知れず練習をしていて、礼儀といったことにも人一倍気を遣う選手であることを野村監督も理解していたはずだ。
そんな新庄からの申し入れだから信頼して敬遠球を打つことを認めたのだと思う。
その新庄が日本ハムの監督として帰って来る。
久々にプロ野球が楽しくなる予感がしているのは自分だけではないと思う。
最近、テレビを見ていてもプロ野球の結果よりメジャーの大谷選手のことを放送するようになった報道番組が多くなっている。
しかし、来シーズンから新庄が毎試合、何らかの話題を提供してくれれば、これまでプロ野球のことを報道しなかった番組でも取り上げるようになるのでプロ野球に注目されるようになる。
日本ハムが新庄を監督として迎え入れたのはプロ野球全体が注目されるということでも大きな意味を持った決断だと思う。
新庄のおかげで、来年のプロ野球が楽しみになった。