2021年衆議院議員選挙の結果
2021年10月31日の衆議院議員選挙は、自民党は単独での過半数はキープしたが、議席数は減少、そして立憲民主党と共産党も議席数を減らし痛み分けのような結果になった。
有権者全体における投票率は、小選挙区が55.93%、比例代表が55.92%と2017年の衆議院議員選挙の時を、わずかに上回ってはいるが、注目された割には投票率は低いように思う。
比例代表の仕組みを説明できるか?
衆議院議員選挙は、3つの投票が一緒に行われている。
- 小選挙区選挙
- 比例代表ブロック選挙
- 最高裁判所裁判官国民審査
この中で、通称、「比例代表」と言われている選挙のことを説明できる人がどれだけいるだろうか?
多くの人は、小選挙区=候補者、比例代表=政党に投票するという認識でいるように思う。
このため、「比例代表」と言われている選挙について今回は説明したい。
比例代表は1人が2票投じている
衆議院、参議院の議員選挙には小選挙区と日本を11ブロックに分けた比例代表ブロックの2つに投票することになる。
【出典】総務省|選挙の種類
清き一票と言われているが衆議院、参議院議員の選挙については、1人が2票投じていることを理解している有権者はどれくらいいるのだろうか?
そして、小選挙区、比例代表ブロックには重複立候補が認められている。
しかし、公職選挙法第87条では以下のように定めている。
一の選挙において公職の候補者となった者は、同時に、他の選挙における公職の候補者となることができない。
小選挙区と比例代表ブロックで2票投じているのだから、小選挙区と比例代表ブロックは「他の選挙」と言えるのではないだろうか?
更に、比例代表ブロックは、北海道と東京以外は複数の府県が一緒になっているので、一人の候補者が複数の選挙区で立候補しているように見えてしまう。
新潟では小選挙区で落選した4人が全員復活
実際、新潟県の小選挙区では4人の自民党候補者が新潟県民からNoを突き付けられているが、比例代表ブロックにも立候補していたので、4人全員が復活当選している。
北信越ブロックには、新潟、長野、富山、石川、福井の5県が含まれる。
新潟では反自民の民意が強かったと言えるが、富山、石川、福井は全ての小選挙区で自民党が勝利しており自民党が圧勝の状態だった。
当然、この3県では、比例代表ブロックでも「自民党」で投票しているはずなので、北信越ブロックでは自民党が多くの票を集めたことになる。
その結果、比例代表ブロックにも立候補していた候補者が、新潟で落選したにも関わらず、復活当選を果たしたということになる。
それだけではなく、新潟と同じブロックの長野県でも小選挙区でNOを突き付けられた自民党候補が比例代表で復活当選を果たし、北信越ブロックでは小選挙区で立候補した自民党候補、全員が小選挙区または比例代表ブロックで当選を果たしたことになる。
これは、富山、石川、福井の票が新潟の候補者に流れていったことと同じなので、複数の選挙区で立候補したことになるのではないか?ということで強い疑問を感じている。
比例代表制は、元々、候補者を多く立候補させることが困難な、中小政党のために追加された制度だと聞いている。
しかし、今回の北信越ブロックの結果を見る限り、大政党に有利になっているのは明らかだ。
これは、比例代表が中小政党でも候補者を立てやすい11ブロックに分けた結果の弊害だと思う。
比例代表も、新潟だけであれば、小選挙区と同じ結果になっていた。
しかし、これでは比例代表を採用する意味はなくなるが、復活当選の要因になっているのであれば、こんな制度は廃止にするべきだと思う。
比例代表制は大政党に有利な制度
一見すると、比例代表制では、47都道府県から11ブロックに絞られているので中小政党には候補者を立てやすいように見えるが、結局、票は大政党に集まる。
中小政党にとってメリットがあるのは、政党助成交付金だと思う。
政党助成交付金というのは、政党の活動を支援する目的で交付されるものになる。
政党を作れば必ず交付されるわけではなく、以下の条件のいずれかに該当する必要がある。
- 国会議員5人以上を有する政治団体
- 国会議員を有し、かつ、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区選挙若しくは比例代表選挙又は前回若しくは前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙若しくは比例代表選挙で得票率が2%以上の政治団体。
1票=約300円
今回、N党は衆議院選挙で11ブロック全てに候補者を立てたが、結局1人も当選者を出すことができなかった。
それでも、比例代表ブロックで約80万票を獲得している。
そして条件を満たした政党には1票につき決められた金額が支給される。
今回は、約300円とすると、80万票で2.4億円がN党に議員の国会任期である4年間分として、4期に分割されて支払われる。自民党クラスになれば、200億円近い額になるはずだ。
金額は有権者の数で総額が決められているので、投票総数が少なければ1票当たりの額は上がる。
自分の票が政党のための、お金になっていると考えると、無駄にはしたくなくなるはずだ。
投票しなければ、その分、投票した1票の額が上がるだけ。
比例代表について、もっと勉強して自分の票を無駄にしないようにして欲しい。