世の中には、名前に書かれている色と実際の色が違うというものがある。
一番、有名なのは、信号機ではないだろうか?
赤信号・黄信号・青信号。
そう、「青」信号だというのに、実際の色は緑という場合がないだろうか?
そもそも、青信号という言葉が間違っているというのが正解のようだ。
赤は止まれ、緑は進んでもよい。というのが世界共通だという。
つまり、日本だけが、緑信号を青信号と呼んでいることになる。
これは、なぜだろうか?
日本は緑を青と呼んでいるのは信号だけではない。
野菜も緑なのに、「青物野菜」と呼んでいる。
蝶の幼虫であるアオムシ(青虫)も緑だ。
極めつけは、青りんごだ。
まだまだ、ある。
青のり、青汁、八百屋のことを青果店(青=野菜、果=果物)と呼んでいる。
「青臭い」というのも「緑」から見たもので、緑のバナナ、トマト、リンゴは、熟していると言えるだろうか?熟していない=緑=青→青臭いという表現になっているのだろう。
元々、日本には緑色が存在しなかったのだろうか?
日本には、元々、色を表現する言葉が「黒・白・赤・青」の4色しかなかったということだ。
この4色、語尾に「い」をつける日本語が存在する。
黒い、白い、赤い、青い。
他の色には、「い」はついてない。
いやいや、「黄色い」は?
残念だが、「色」が付いているので「黄い」ではない。
このため、緑を日本では青と呼んでいた。
緑という言葉ができたのは、江戸時代以降で、語源は「瑞々しい」。
昔から緑を青と呼ぶ習慣があり、緑信号を青信号と呼んでいたように思う。
他にも色々と説はあるようで、色の三原色が赤・青・黄だとか、赤の反対(補色)が青だという説まである。
しかし、日本には緑という言葉がなかった時代が長ったからからというのが納得できる。
青春というのも、青が緑(熟していない)を表現していると考えると、イメージしやすい。
なぜ、青春が青なんだろうか?と思っていた時期がある。
黒板は緑
しかし、日本には、緑を青と呼ぶものばかりではない。
黒板は黒い板と書くのに、実際には濃い緑だ。
日本は、どこまで緑を、ないがしろにすれば気が済むのだろうか?
緑が青ならまだ、許せるが、緑を今度は黒だという。
しかし、黒板は、緑をないがしろにしたわけではなかった。
明治初期、日本で学校制度が始まるのと同時にアメリカから「ブラックボード」が持ち込まれた。
その後、日本でも「ブラックボード」の製造がはじまったが、墨汁を塗って上から防腐効果・補強効果のある柿渋を塗った簡単なものだった。
量産体制が強化される中、黒は長時間見ているには向かないことがわかり、昭和29年日本産業規格によってダークグリーンに替えられた。
飛行機のブラックボックスは黒でない
まだ、あった。
飛行機のブラックボックスというのがある。
フライトレコーダーのことで、中身が隠蔽・封印されていることからそう呼ばれている。
しかし、実際のフライトレコーダーの色はオレンジ色になる。
墜落現場で発見しやすいようにということからだ。
太陽の色と聞かれたら何色?
太陽の色を聞かれた時に何色と答えるだろうか?
日本人であれば、「赤」が多いのではないかと思う。
朝、夕は「橙」というイメージがあるが、昼は赤ではないだろうか?
これも、緑と同じで、昔は橙という色を表す言葉がなかったから、赤になったのではないかと思う。
こうやって、考えてみると、日本語には実際に使われている色を表す漢字を、そのままの色と受け取ると意味がわからなくなったりするので臨機応変に対応しないといけないことになる。