トリチウムの海洋放出
福島第1原子力発電所のトリチウム汚染水(処理済)を海洋放出すると日本政府が発表しました。
福島の漁業に携わる方にとっては、大きなダメージになるのは間違いありません。
トリチウム汚染水とは?
福島第一原発の原子炉の内部には、まだ燃料デブリ(溶けて固まった燃料)が残っています。
そして現在も燃料デブリを冷却するために水をかけ続けています。
福島第一原発の事故の際に「メルトダウン」という言葉が良く使われていたと思います。原発には、セシウム137などの放射性同位元素が詰まっている燃料棒があります。放射性同位元素は放射線(エネルギー)を発散するので温度が上がります。
冷やさなければ、自分が発する熱で溶けてしまいます。
これがメルトダウンです。
放射性同位元素による発熱は90年経過しても元の8分の1のエネルギーを放射し続けると言われています。
つまり現在の技術では、90年経過しても冷却を続けていないといけません。
冷却に使用した水以外にも、福島第一原発敷地内に流れる大量の地下水や雨水が原子炉建屋に流れ込み、建屋内の放射性物質に触れることによっても発生しています。
これらの溜まった水はセシウム吸着装置吸着装置(キュリオンやサリー)で放射性物質のセシウムやストロンチウムを除去します。
次に「淡水化装置」で塩分を取り除き、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」で62種類の放射性物質を除去します。しかし、これだけの装置を経由しても、トリチウムだけは取り除くことができずに残ってしまいます。
トリチウムは、三重水素とも呼ばれていて水素と同じ性質なので「水」に混ざっている、放射性物質だそうです。「水」に混ざってしまっているので分離するのが難しいのです。
【出典】汚染水処理で発生する廃棄物「スラリー」とは?なぜ発生する?どのように保管されている?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
韓国ではまた、「放射能水の放出反対」ということで韓国ソウルの日本大使館付近でデモが行われています。中国も日本に対して報復措置を取るとか言っています。
ところが、このトリチウムですが、日本以外でも自国の原子力施設から、放射性物質トリチウムを海洋や大気中に放出しています。
いずれも各国の規制基準に基づいた放出量で、施設周辺で人体や環境などへの重大な影響は確認されていないそうです。
【出典】海外でもトリチウム放出 韓国原発は年間136兆 仏再処理施設は1・3京 - 産経ニュース
日本以外も放出している
日本でも震災前は全国の原発で毎年計350兆ベクレル前後が海に放出されていました。
日本の放出基準は1リットルあたり6万ベクレルです。
この水を70歳になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝は年間1ミリシーベルト以下におさまるというのが日本の見解です。
放出反対と騒いでいる韓国も年間136兆ベクレル(液体約17兆、気体約119兆)を放出しています。
フランスに至っては1.3京ベクレルなので桁が違います。
【出典】海外でもトリチウム放出、韓国原発は年間136兆 仏再処理施設は1.3京 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
中国については放出しているということですが具体的にどれだけの量を放出しているのか?という発表が見つかりません。
放出量を発表していない時点で怪しさを感じます。
まぁ日本の場合は、原発事故を発生させてしまったあとの海への放出なので、放射能汚染が本当にないのか?と周辺の国々が心配になる気持ちはわかります。