外貨準備高の減少
以前に、「日本が海外にバラ撒いている外貨準備高(外貨準備金)とは」という内容で書いたことがある。
しかし、外貨準備金を日本が海外でバラ撒いている根拠について記載していなかったので今回、追加しておきたい。
財務省が公開している、「外貨準備等の状況 統計表一覧(時系列)データ(CSV)」というものがある。
その統計データを見ると、2022年9月時点の外貨準備高は1,238,056(百万ドル)2022年8月末と比べ、54,016百万ドル(約7.6兆円・・・140円/ドル換算)減少している。
これは9月22日に円安を止めるために為替介入する際の額だと思う。
そして、2013年~2016年にかけても外貨準備高が減少している。
民主党から自民党に政権が戻り、第二次安倍政権が誕生した頃で、アベノミクスだとか、3本の矢「アベノミクス」の全貌が明かされた頃になる。
2013年12月:1,266,815百万ドル(98円/ドル)
2014年12月:1,260,548百万ドル(106円/ドル)
2015年12月:1,233,214百万ドル(121円/ドル)
2016年12月:1,216,903百万ドル(109円/ドル)
2017年12月:1,264,283百万ドル(112円/ドル)
2018年12月:1,270,975百万ドル(110円/ドル)
2019年12月:1,323,750百万ドル(109円/ドル)
2020年12月:1,394,680百万ドル(107円/ドル)
2021年12月:1,405,750百万ドル(110円/ドル)
2022年 1月:1,385,932百万ドル
2022年 7月:1,323,034百万ドル
2022年 8月:1,292,072百万ドル
2022年 9月:1,238,056百万ドル
外貨準備高は減少しているのに為替介入は行っていない
2021年までで、米ドル売り円買いが行われたのは、1998年6月17日が最後で、その後は米ドル買い・ユーロ買いが2003年3月16日まで繰り返されていた。
しかし、その後、2010年9月15日~2011年11月4日まで米ドル買い円売りが行われただけで、2022年6月までは為替介入の実績は全くない。
【出典】統計表一覧(外国為替平衡操作の実施状況)過去の介入実績全データ
つまり、ざっくりと日本円に換算すると、2013年から2016年にかけて、5.4兆円(109円/ドル(4年平均値) )が為替介入以外で使用されていることになる。
では、この間、外貨準備高は減少していったのだろうか?
ODAの予算より多いバラ撒き
ODAというのは、政府資金で行われる、開発途上国などに対する援助・協力。政府開発援助のこと。
この間の、ODAの予算は約5500億円。
そして、安倍元総理は、海外では景気よくODA、融資、支援、円借款、対日債務免除といったことを積極的に各国で行なった。
その額はODAの毎年の予算を遥かに超える額になる。
円借款は発展途上国に対して低い金利で長期の資金を貸し付けることなので、本来は返してもらうことになるが、実際には債務を免除する場合が少なくない。
円借款といっても結局、債務免除を行うのだからODAと同じだと思うが、一応、貸付なので、下記の数字からは除外した。
2013年
2014年
- モザンビークに700億円
- アメリカに5000億円
- アフリカに5年間で3兆2000億円
- インドに5年間で3兆5000億円
- 気候変動サミットで途上国に1兆7400億円
- エボラ出血熱対策で国連に49億円
- 中東の治安安定化で55億円
- ガザ復興支援22億円
- 緑の気候基金に1800億円
- ヨルダンの気候変動対策に24億4000万円
- パプアニューギニアに3年間で200億円(約66億円)
2015年
- イスラム国対策等で3000億円
- フィリピンに2400億円
- ヨルダンの難民対策に147億円
- エジプトの小児病院増設15億円
- チェルノブイリ支援で3億5000万円
- 気候変動サミットで途上国に1兆3000億円
- シリアの難民対策に7億円
- アジアのインフラ整備に5年間で13兆2000億円
- パラオなどに550億円
- キルギスに136億円
- 中国の民間団体に100億円
2016年
- エジプトに411+500億円
- 東南アジア・メコン地域諸国に3年間で7500億円
- 東ティモールに50億円
- ウクライナに2000億円
- 中東13か国等に7800億円
- タイに10億円
- 伊勢志摩サミットで途上国に20兆円
- パナマに3000億円
- ベトナムに219億円
- アフリカに3年間で3兆円
- ケニアに10億円
- 国連サミットで難民支援に2850億円
- キューバに12億円
- ミャンマーに5年間で8000億円
- 途上国に3500億円
- イギリスの原発(日立製作所が受注)に1兆円
- ロシアに3000億円
【出典】日本社会を打ち出の小槌にするな ーバラマキ外交の原資はどこから?ー | 長周新聞
どうだろうか?単位は億や兆であり、千や万ではない。
これだけの金額をどこから捻出しているのだろうか?
外貨準備高の使用明細等については、公には、されていないようだが外貨準備高を為替平衡操作以外のことに使用していることは財務省の統計データーから理解できる。
そして、何に使われたのかも、ODAの予算を考えれば容易に想像できるのではないだろうか?