RCEP(アールセップ)って言葉をよく耳にするようになってきました。
RCEPとは?
RCEPって何?って感じですが、以下の略です。
- Regional Comprehensive Economic Partnership
日本語の正式な名称では、地域的な包括的経済連携となります。
テレビ等では、東アジア地域の包括的経済連携とも呼ばれていました
RECPを一言で説明すると、アジア、オセアニア地域の国々で自由な貿易を進めていこうというものです。
対象国は?
対象国にインドが含まれていません。
これは、中国から大量の安い製品が流入してインド国内の産業に大きなダメージを受けることを懸念したことから参加を見送りました。
自由な貿易とは?
農林水産品や工業製品にかけられていた関税の撤廃や引き下げ、それに輸出入の手続きの簡素化やサービスや投資のルールなど20の分野について合意しました。
ちなみに、日本の農産物重要5項目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料)の輸入時の関税については対象外となっています。
参加国全体での関税の撤廃率は品目数で見ると91%になります。
あと、企業が自由に活動できる環境を整えるためのルールも定められました
具体的には以下のような内容です。(一部のみ記載)
- 企業の海外進出の際に、その国が企業に技術移転を求めることを禁止する
- 工場や機器の稼働状況などのデジタル情報について、国境を越えて自由に流通できるようにする
誰が得をするのか?
インドが今回参加しなかったのは、中国から大量の安い製品が流入してインド国内の産業に大きなダメージを受けると判断したためです。
日本も、農産物重要5項目を安く輸入された外国産のものから守るために、対象から除外しました。
インドが参加を見送ると表明するまでは、安価な医薬品が手に入らなくなるかもしれないといった懸念がありました。
RCEPで、ジェネリック薬(後発医薬品)の製造・販売が妨げられるからです。
現在、インドはジェネリック薬を大量生産していることでしばしば「途上国の薬局」と呼ばれ、途上国の治療に必要な薬を手ごろな価格で供給しています。
日本と韓国が「データ保護の要請」と「特許期間延長の要請」の2つの条項についてインドに対して交渉項目として上げているです。
これらの条項が採択されれば、インドに、今より厳格で負担の重い知財制度が課され、ジェネリック薬の生産に歯止めがかかるので安価に薬が途上国等に提供できなくなります。
結局、各分野で力の強い国が有利になるような取り決めがされ、弱いものが泣きを見るという感じがします。
日本にとってのメリットは?
輸出中心の業種はメリットがあると言われています。
ただ、日本より物価の安い国が多いので、関税がなくなったとしても、日本のものが高くなるのは避けられないように思います。
- 中国:5分の4~4分の1
- 韓国:同等または高い
- インドネシア:3分の1
- カンボジア:3分の1
- シンガポール:同等または高い
- タイ:3分の1~5分の1
- フィリピン:2分の1~3分の1
- ブルネイ:3分の2~2分の1
- ベトナム:3分の1~5分の1
- マレーシア:3分の2
- ミャンマー:2分の1~8分の1
- ラオス:3分の2~2分の1
- オーストラリア:2.8倍~1.5倍
- ニュージーランド:2分の1~4分の1、2倍(物による)
日本への輸入では、関税が廃止されることで物価の安い海外から安いものが沢山入ってくることが予想されます。
しかし、同時に品質面で問題があるものも増えてくるでしょう。
RCEPでメリットが得られることもあると思いますが、日本にとっては必ずしも良い面ばかりではなさそうな気がします。