最近、「マネジメント業務を行う事が困難になった」という理由で芸能人との契約を終了するということを聞くようになりました。
マネジメント業務ってどういうことをしているんでしょうか?
PDCAを回す
芸能活動の「PDCA」を回すということだと思います。
PDCAというのは以下のことになります。
- P:Plan(計画)
- D:Do(行動)
- C:Check(評価)
- A:Act(改善)
これを芸能事務所のマネジメント業務に置き換えると以下のような感じになります。
- P:戦略を立てる
- D:交渉・日程調整・契約・準備・出演
- C:結果を評価する
- A:問題点を修正する
この作業を繰り返すことを、PDCAを回すと言います。
一言でいうと、芸能事務所がレールを敷いてタレントが機関車となって走る。タレントが芸能活動に集中できるようにするのがマネジメント業務だと思います。
名前も顔も知られていない人が、自分でテレビ局に売り込むなんてことはできませんし、仮に売り込むことが、できたとしても、出演交渉もありますし、契約書を交わしたり、スケージュールの調整、打ち合わせとやることは沢山あります。
実際には教科書通りの内容ばかりではなく、えっ?こんなことまで?ということを行っている場合もあります。
細かい事務作業などをやりつつ、芸能活動を行うというのは、余程のベテランさんで仕事が選べるような立場にならないと難しいのではないかと思います。
何より芸能活動というのは、テレビ局等とのコネクションが大切なので、名もないタレントが売り込むより、日頃から付き合いのある芸能事務所が売り込んだ方が効果的なのは容易に想像がつくはずです。
契約したら自由がなくなる
芸能事務所と契約を行うとスケジュールは芸能事務所が一元管理します。
プライベートも把握しておく必要があります。
マネジメント業務で重要なのが顧客のスケジュールに穴をあけないことです。
番組制作は大勢の人が関わって共通のスケジュールで動いているわけです。
このため、スケジュールは絶対です。
一人でもスケジュール通りに動けないことがあったりすると大勢の方に迷惑をかけることになります。
大勢のタレントが出演している番組で、収録が1時間遅れると他のタレントにも影響し、そのタレントさんが収録語に次の予定が入っている時などは、次の仕事の関係者にまで迷惑がかかることになります。
このため、タレントの判断で、ロケに断りもなく行かないことは、絶対にやってはいけないことです。ロケだと許可を色々と取っているはずなのでロケが中止になれば、それまでの作業が全て台無しです。
先日、元女子アナの方が「ロケに行かなかった」ということを発言されていましたが、他の人を考えていないのでしょうね。
守秘義務
番組の放送前、映画の公開前、雑誌の発売前に、内容を関係者以外に話したり、SNSなどで公開することは行ってはいけません。
まだ発表していないのに、
- 「あの人気ドラマxxxの続編の出演が決まりました。」
- 「映画yyyで、連日、aaa公園で撮影してます。」
- 「雑誌zzzの企画で新しくオープンするカフェに行ってきました。」
なんて、ことを話したりすると守秘義務違反になってしまいます。
以前、テレビ番組も最近はデジタルデータ化されるので放送前にデータが流出してしまう心配があるからということを話されていました。
それまでは?という疑問があるかもしれませんが、高額な機械でしか再生できないようなテープを使っていましたので、仮に流出したとしても一般の方が再生するのは難しかったということです。
放送前の番組の映像が流出するようなことは、あってはならないことです。
特に報道番組などで、インタービューを行った方にモザイクをかけたり、音声を変換したりする前のものが流出すると大変なことになります。
何より、拡散されたりした場合には、番組放送時に見てくれる人が減るので、スポンサーとしては面白くありません。
データのデジタル化により流出防止策が重要になります。
盗聴されないような映像専用の回線を利用したり、暗号化したりとか工夫をしているそうです。(もう、随分前に聞いた話なので今は進化していることでしょう)
地方のテレビ局で制作している番組などは、放送前の確認用に普通にDVDにコピーして関係者に渡していたりするので、キー局よりはゆるい感じですね。
映画だと、大ヒット上映中のアニメのパイロット版がネットに流出ていたという話も聞いたことあります。
パイロット版ということは、間違いなく関係者が関与しているので、大きな問題になったはずです。
元女子アナの契約解除について
元女子アナのフリーアナウンサーが、芸能事務所との契約が打ち切られたという報道の話ですが、番組内でMCがコメントした内容を元女子アナが批判する発言をしました。更に旦那さんが番組MCを酷い言葉で批判する動画を上げたのですから、番組の制作側としては悪い評判になりスポンサーにも迷惑がかかります。
そのあげく元女子アナの人は、いじめが嫌でロケに行かなかったというのですから、芸能事務所と契約している者としては、タブーとされていることを2つも行ってしまったことになります。
テレビ局としては、スポンサーに迷惑がかからないようにしないといけませんし、局内でいじめがあったと言われたのでは、テレビ局のイメージが悪くなります。
勿論、いじめの事実があったのであれば、別ですが、事実確認を行ってなかったということで、番組を降板してもらうことになったのでしょう。
芸能事務所にしても頭を下げて番組に出演させてもらったのに、逆に迷惑をかけるようなことをしてしまうとテレビ局との信頼関係も無くなってしまいます。
テレビ局に悪く思われたのでは、他のタレントにも影響します。
本人だけでなく、旦那さんまでが問題発言を動画で行ってしまったり、スケジュールを簡単に放棄してしまう面を見てしまうと、芸能事務所としてはマネジメントはできないと判断せざる得ません。
その結果が、契約解除ということです。
今は、芸能事務所も新型コロナの影響で経営的には厳しいので、問題児と契約している余裕はありません。
いや、問題児でなくても利益を出してくれる人でないと契約を継続することが厳しいはずです。
ジャニーズ事務所は特殊な芸能事務所
ジャニーズ事務所は、資本金1,000万円、従業員130名と思っているより小規模な事務所です。
ジャニーズ事務所に入所したい場合には、ジャニーズファミリークラブに履歴書といった必要書類を送ることになります。そして応募者が集まったところでオーディションが開催されます。
ジャーニー喜多川さんがいた頃は、ジャニーさんが履歴書に全て目を通していたので、応募してから1年後にオーディションの案内が届いて、オーディションを行って更に1年後に採用通知が来るというのんびりしたものでした。
オーディションを含めて採用に関してはジャニーさんが1人で行っていたので、社員の方でさえよく知らないそうです。
ジャニーさんが企画を思いつくと過去に見た履歴書の中から選んでジャニーさんのスケジュールが空いた時にオーディションを開催するわけです。このため、オーディションの通知の電話、会場設営も一人で行っていたそうです、
通知の電話を自分で行うのも応募者の反応を見る場の一つになっていたようです。
ジャーニーさんが考える、アーティストとして必要なものは「魅力のある人」だったのではないかと思います。
魅力というのは、人を引き付けて夢中にさせる力のことです。
いくら、歌やダンスが上手でも人として魅力がなければ人は集まってきません。
ジャニー喜多川さんは、「魅力のある人」というか磨けば光るダイヤの原石のような人を見つけて輝かせる能力がある方だったと思います。
ダイヤの原石を見つけることって難しいですし、更に光り輝くようにするということは更に難しいことです。
ダイヤの原石を見つけ、ジャニーズジュニアに入れて、レッスンで磨くわけです。ジャニーズの場合は、レッスン料はなんと無料です。そしてレッスンを強要したりしません。
しかし、踊りが上手でなければジャニーさんの目に留まらないので仕事の声もかからないことになります。
誰も磨いてくれないので自分で磨くしかないので、自然と努力するようになりプロとしての自覚も芽生えてきます。
そしてCDデビューというのが大きな目標になっていました。
CDランキング1位を取るために音楽配信を行ってこなかったという話がありますが、それも確かにあるのかもしれませんが、ジャニーさんの頃って所属アーティストに関する映像や画像が凄く限定されていたんですね。
雑誌の表紙にジャニーズ所属アーティストが掲載されている画像でさえ、公開を許可せずインターネット上にある所属アーティストの画像も徹底的に排除、アーティストのSNS、Youtubuチャンネルの禁止と情報を徹底的に絞ることで、ファンにとってはアーティストを特別な存在になったのだと思います。
その結果、ファンの購買意欲が高まり、ファンクラブへ入会するファンが増え、年商1000億円企業にまで昇りつめたのです。
しかし、ジャニーさんがいなくなり、音楽配信を行うようになりました。
その結果、音楽配信の売り上げは好調のようです。
音楽配信だとデータで無形なのでコレクションの欲求というのがなくなるんですよね。
CDだと形のあるものとして提供されるので全部揃えたいとという欲求が生じるのでファンを定着させるということにもつながるはずです。
ジャニーズ事務所は新体制となり変わろうと努力していますが、その気持ちが強くなりすぎると、ジャニーズ事務所の「残しておくべき」ことまで変えてしまうことになってファンが離れていったり、「魅力のある人」というのが育たなくなってしまう可能性もあります。離れていくのはファンだけではなく、ジャニーさんのような親のような存在がいなくなると、家庭的な感じから事務的な感じに事務所が変わってしまわないかと心配になります。そうすると稼ぎ頭が退所していき、ジャニーズ事務所の業界での地位というのも落ちていくことになります。
相次ぐ、退所、嵐が今年で活動を休止とジャニーズ事務所にはプラスの要因が見えてきません。ジャニーズJrへの応募も減っているようですし、負のスパイラル状態だと言えます。