パートナーシップ?
同性カップルをパートナーシップとして多くの市区町が公認する方向だそうです。
同性カップルらを「パートナーシップ」として公認する制度を2020年度末までに少なくとも2府県と全国67市区町が導入し、総人口の3割超(計約4025万人)が住む自治体をカバーする見込みであることが22日、支援団体の調査で明らかになった。
制度導入済みの50以上の自治体では1000組超が認定を受けた。自治体は今後も増える見通しで家族の在り方の多様化が進む。菅義偉首相は同性婚の容認には慎重な姿勢だが、団体は「拡大は民意の表れ。同性婚法制化を後押ししていきたい」としている。
パートナーシップというのは、以下の通りです。
- 英米法において2名以上の者(パートナー)が金銭・役務などを出資して共同して事業を営む関係をいう。
なぜ、婚姻ではなくパートナーシップ?
これは憲法で婚姻について以下のように定められているからです。
第二十四条 第一項
- 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
【引用】e-Gov法令検索
両性というのは「男女」を示すので「同性」は対象にならないので、「同性」の結婚は認められないということになります。
結婚しなくても好き同士なら一緒に暮らせればそれで良いのでは?それに、子供がいないので結婚する必要もないのでは?事実婚という言葉もあるんだからという考え方では、不都合が生じることが沢山あります。
事実婚で言えば、例えば、パートナーが亡くなった場合に、亡くなった方名義の銀行口座からお金を引き出すことができなくなる場合があります。
これは、亡くなった瞬間から故人の財産は遺産分割が確定するまでは準共有の状態になるからです。このため亡くなった故人の銀行口座からお金を引き出そうとすると相続人全員の承諾が必要になります。また、配偶者・家族として認められないため医療行為の同意もカルテといった医療情報の開示も認められません。賃貸物件で故人名義の借家契約を行っていた場合、配偶者でないと承継ができないので退去を求められることもあります。養子を持ちたいと考えても共同親権が認められず、どちらか一方の養子という形しか認められません。
他にも事実婚では以下のようなことが認められません。(一部のみ記載)
- 医療保険の被扶養者として認められない(保険料を双方が支払う必要あり)
- 所得税の配偶者控除 ・配偶者特別控除
- 医療費控除の医療費の合算ができない
- 国民年金の死亡一時金が受給できない
- 生命保険の受取人は親族・配偶者でないと認めてもらえない
- 死亡退職金が受け取れない
結婚というのは「好き同士」だから行うということではなく、親族と同等の関係を結んで社会的に認めてもらうために必要な手続きです。
一緒に暮らしているだけでは認められないことが沢山ありますが、「同性」に関しては憲法で「婚姻」が認められていないので、「パートナーシップ」という親族・配偶者以外の新しい関係を認めてもらうことで上記のような不都合を解消しようというものです。
事実婚だと不利益なことが多いのに結婚しないというのは、様々な理由があると思います。
- 上記のような不利益があることを知らない
- 「姓」を変えたくない
- 離婚に労力を注ぎたくない
- 結婚に価値を見出せない
ここまで事実婚ということで書いてきましたが、同性婚に関する報道を見ていると、「同性」「差別」ということばかりが強調されているように感じられます。結婚しないと色々な不利益が生じる仕組みに問題があるんです。長年、一緒に暮らし介護を行い最後を看取る。亡くなるまで一度も顔を見せなかった人達が財産分与の話になると、どこからともなく現れて親族だという理由だけで権利を主張する。亡くなった人の気持ちは最後まで尽くしてくれたパートナーに財産を全て渡したいのに遺書が残っていないからとハイエナのような親族に財産分与し、尽くしてくれたパートナーには何も残せない。理不尽な仕組みに問題があるんです。一緒に暮らす時に社会的な手続きを行なった時のメリット、デメリットを伝えていないから手続きを行わず、いざとなった時に困ることになります。
親が子に教えることなのかもしれませんが、親も知らないことは教えることはできません。
公平でないことが問題
僕は義務教育で社会の仕組みを教えるべきだと思います。知らないから不利益を受けるというのは不公平です。行政というのは、お金を徴収することに関しては積極的に働きかけてくれますが、お金を支給するということに関しては、消極的です。
行政の関係者に知り合い等がいると情報として入ってきますが、そうでなければ基本的には自分から調べに行かないと教えてくれません。
憲法を作ったとき「結婚」は「両性」が行うものでした。
しかし、人の生活様式は日々変わります。
両性が一緒に暮らすだけではなく、同性が親族のように一緒に暮らす生活も多くなっているのです。
問題なのは同性が結婚できないことではなく、結婚と同様の権利を得られないことです。
結婚が両性でないとできないなら、同性の場合の結婚と同等の制度を用意するべきです。そして、制度については義務教育等でしっかりと伝えるべきです。
そういう意味で、「パートナーシップ」として公認する制度が拡がっていることは、とても良いことだと思います。