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ピーチ航空の「マスク着用拒否による緊急着陸」報道の誤解

安全阻害行為で緊急着陸

ピーチ航空の、釧路空港発、関西空港行きMM126便でマスク着用を拒否した乗客が新潟空港で降ろされたという報道をテレビのニュースで知りました。

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こんな場面に遭遇してしまった他の乗客の方は迷惑だったろうなぁと思います。

出発の時間になっても、まだ搭乗していない乗客がいるからと出発が遅れるだけでも、到着時刻に余裕がないときなどは内心、イライラします。

それが出発が45分遅れ、更に到着時間が2時間以上も遅れたのでは、たまったものではありません。

緊急着陸だけで終わらない

降ろされた乗客ですが、どうしても納得できなかったようで、2020年9月9日にツイッターのアカウントを開設し、「事前にマスク着用推奨や例外申請の案内のアナウンスはなかった」と投稿するなど、ピーチ側の問題点を指摘しているのです。

以下は、その乗客が夕刊フジの取材に応じた時の記事です。

男性は9日にツイッターのアカウントを開設し、「事前にマスク着用推奨や例外申請の案内のアナウンスはなかった」と投稿するなど、ピーチ側の問題点を指摘した。夕刊フジの取材に「乗務員からマスク着用の『お願い』を受けたが、『答えはノーです』と返答した。あくまで任意のお願いが、食い下がる形で複数回行われたことは妥当な対応ではない」と説明した。

www.zakzak.co.jp

降ろされた乗客に同調する人

そして、なんと降ろされた乗客に同調するような人も少なくないようで、堀江貴文氏も航空会社の対応を批判しています。

雑誌の記事では、降ろされた乗客にエールを送りたいというものもあります。

  • 感染してないんだし、別に日本ではコロナは流行もしていない(政府見解も出ていない)のでマスクなんてする必要はない
  • そもそも日本人にとっては大したウイルスではない
  • 現在、飲食店の客でマスクをしている者なんてほぼ見かけない。外に出る時にいそいそとマスクをつける。要するに「皆がつけているからつけているだけ」の同調圧力なのである
  • ただし、周囲が恐怖におびえているのであれば、多少の配慮をあなたはしてもいいのでは
  • マスクで鼻を出していても「一応マスクはつけている」と見られるため、それでいいではないか
  • 悔しいけど日本って「空気」「世間に吹く風」が支配するから、とりあえずそれに従っておけば波風は立たないものなんだよね
  • オレもマスクはバカらしいと思うけど、この「空気」が変わるまでは仕方なくマスクはつけようと思う
  • あなたの気持ちは分かるが、ここから無駄に裁判を起こされたりするリスクは面倒ではないか?
  • とはいっても、マスクをしていない人間を「反社会的存在」認定するこの日本社会ってどーよ? 狂ってない? とは思う

president.jp

どちらも、マスクを拒否したことで、飛行機から降ろされたような意見のように感じます。では、機内ではどのような、やり取りがあったのでしょうか?

僕は、以下のようなやりとりがあったと認識しています。

  1. CAがマスク着用を求める
  2. 乗客は拒否
  3. 席の移動を求める
  4. 乗客は拒否
  5. 近くの乗客を他の席へ移動
  6. 乗客が大声で威嚇
  7. 安全を阻害する行為と判断し警告書を出して緊急着陸を行い、新潟空港で警察に引き渡し

そもそも、「マスク着用」に関しては、求めているだけで、それを拒否されたということで、次は、席の移動を求めています。

しかし、それも拒否されたので、他の近くの乗客の方に席を移動して頂いています。

この時点でもまだ、安全阻害行為という判断をピーチ航空は行っていないのです。

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その後、乗客が大声で威嚇するような態度をとったために、機長が安全阻害行為と判断し、CAを通して警告書を出して乗客を警察に引き渡す判断に至ったわけです。

ピーチ航空は「マスク着用」も「席の移動」も強制していません。

適切な対応だったと思います。

航空法でも以下のように定められています。

航空法

  • 第七十三条の三 航空機内にある者は、当該航空機の安全を害し、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産に危害を及ぼし、当該航空機内の秩序を乱し、又は当該航空機内の規律に違反する行為(以下「安全阻害行為等」という。)をしてはならない。
  • 第七十三条の四 機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる。

【出典】e-Gov法令検索

降ろされた乗客の反論 

これに対し、降ろされた乗客は以下のように反論しています。

マスクを着用しなかった理由

  • 事前にマスク着用推奨や例外申請の案内のアナウンスはなかった。
    個人のプライバシーに関わる健康上の理由の詳細な開示は、当事者にとって大変な負担を強いると述べるにとどめた。乗務員には「理由の提示などが必要であれば書面で一筆書く」と付け加えていた。

威圧的と判断された態度

  • 「耳の聞こえが悪く、人より声が大きい時がある」と男性。威圧的とされた態度については「近くの乗客から不適切な発言を受け、正当な手段として第三者の客室乗務員に抗議した。『コックピットに詰め寄っている』との報道もあったが、乗務員の待機場所とコックピットの距離が近く、マスク越しの声が聞き取りにくいため距離が近づいた」と説明した。

健康上の理由でマスクが出来ないというのは、百歩譲って仕方ないと判断しても、席を移動して欲しいという要求に対して移動しない正当な理由はなさそうです。

そもそも、公共交通機関を利用しているのですから、公共マナーというのは必要なことです。現在、マスクをしていない人がいると不安を感じる人が少なくなく、事前にマスク着用のアナウンスや例外申請の案内がなかったというのではなく、今の時期であれば、マスクができないという事情があるのであれば、当然、事前に調べることも公共マナーの一つだと思います。

それを搭乗してから要請されてもマスク着用の義務はないとか、席を移動して欲しいと言われても移動の義務もないというのは、他の乗客の気持ちは全く考えていないことになります。公共の場でマスクができないのであれば、人にうつさないように別の方法を考えるべきです。公共のマナーを守りたくないら、公共交通機関は使用せずに個人の移動手段を利用するべきです。

2時間以上も遅らせたことで、約120人の時間損失だけではなく、機会損失、もしかすると予定した時間に間に合わなくて移動したことが無駄になってしまったという場合もあるかもしれません。

降ろされた乗客にすれば、これが全てピーチ航空の対応に問題があるというのでしょうが、そのようにしか考えられない人は、公共交通機関を使う資格がないと僕は思います。

北海道エアシステム(HAC)の対応は権利の濫用

しかし、9月12日に、北海道エアシステム(HAC)でマスク着用をめぐり降機させられたという内容については航空会社の判断に問題がある気がします。

www.msn.com

航空会社はマスク着用拒否の理由を明確に答えてもらえなかったため、安全が確認できなかったと言ってます。

しかし、マスク着用が義務でないなら、拒否する理由を明確にする理由もありません。以上から、そんな判断をした機長に関しては権利の濫用のように感じられました。

今後、このようなケースは増えていくかもしれません。航空会社は、安全阻害行為を適切に判断し対処しないと、逆に世間から叩かれることにもなりかねません。

チケット購入時にマスクを着用して頂かない場合には搭乗できませんと同意を取るなどの処置が必要になってくるかと思います。