今週のお題「怖い話」
誰もいないはずの階段から足音
昔は、深夜まで仕事をするのが当たり前でした。
夜の9時頃は沢山の人が残っていますが、0時を過ぎると自分だけになっているということもよくありました。
僕の前に帰る人は、これで最終なので戸締りをよろしくということで伝えるのが暗黙のルールになっていました。
その日も、もうすぐ、日が変わりそうな時間に1名がやってきました。
「これで最終なので、あとはよろしく」
丁度良かったということで、その人と仕事の話をしていました。
すると、階段を大きな足音でバタバタと走って降りていく音が聞こえました。
「他に誰かいたんですか?」と聞くと、
「いや、俺だけだ」という回答でした。
「えっ?」冗談でしょう?他に誰かいますよね?
「いや全てのフロアを確認してきたが真っ暗だった。」
「・・・」
扉を開けて音がした階段を確認すると確かに真っ暗です。
4階建ての建物で、4階にいたので各フロアを3階から2人で確認しに行きました。
階段の電灯をつけて「誰かいるか?」と叫びましたが、返事はありません。
3階の扉を開けます。
真っ暗です。
倒れていたりしているといけないので、電灯をつけて「誰かいるかぁ」と確認をしながらフロアを確認しましたが誰もいません。
また、足音が・・・
3階を出ようとすると、また階段を大きな音を立ててバタバタと走って降りていく音が聞こえてきました・・・
この時は、正直、ドキッとしました・・・
内心、怖かったのですが、直ぐに階段を確認しました。
音は何もしません。誰かいる様子もありません。
階段を降りていき2階、1階と確認しましたが、フロアは真っ暗で誰もいません。
1階まで降りてしまったのでフロアの確認のために、1階のフロアを3階と同様に確認しました。
風は吹いていないのに風の音が・・・
最後に2階のフロアに入り、丁度フロアの中央の位置まで来ると「ヒューーーゥ」という風が鳴るような音が聞こえてきました。
とても穏やかな夜で天候も悪くなく風も吹いていません。
二人で顔を見合わせて、窓から外を見ましたが強風というわけではなさそうです。
2階の確認も終わり、4階に戻りました。
「じゃあ、俺は帰る」と言って帰りました。これで、この建屋には自分ひとりです。
しかし、どうしても明日までに仕上げないといけなかったので、帰るわけにはいきません。
誰もいないのにエレベータの扉が開いた!
もう少しで終わるという時です。
僕の席から見えるエレベータの扉が開いたのです。
エレベータの中からは真っ黒な服、ヘルメットをかぶった人が一人出てきました。
その瞬間、心臓が止まるかと思いました。
幽霊とかではなく、強盗か何かが来たと思ったのです。
- 「SECOMです」
そうなんです、AM0:00を過ぎる場合にはSECOMに警備セット忘れではないことを電話で伝えておく必要があったのですが、階段の足音騒動で、スッカリ飛んでしまっていました。
AM0:00を過ぎても警備セットにならなかったので電話をしたそうですが、これも階段騒動で電話の着信音が聞こえませんでした。2階は電話がないので、2階にいた時に電話をしたのでしょう。
SECOMの方は建物に入ったということで報告書を作成して僕は受領のサインを行いました。
「すみません、あと少しで終わりますので、帰る前に連絡します」とSECOMの警備員の方に伝えました。
正直言って、階段の音よりも、エレベータの扉が開いて全身真っ黒な人が現れた時の方がビックリしました。
しかし、階段を降りて行った音、風のような音については解決しないままだったので最後に帰る時は怖かったですね。
フロアを真っ黒にしたらまた、音が聞こえるのでは?誰か泥棒でも潜んでいたのかもしれない・・・と色んなことを考えながら、SECOMへこれで帰ることを伝え、警備セットを行いました。
以上が、これまでで、一番怖かった話です。