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渋谷の宮下公園がミヤシタパークへ

渋谷の再開発はドンドン進んでいきます。

あの、渋谷宮下公園が、ミヤシタパークとして再開発されたそうです。

宮下公園

宮下公園というと、僕の中では、ホームレスの住宅街のイメージしかありません。

渋谷に公園があるということで、宮下公園に向かい、入った瞬間、異臭と段ボール・ベニヤ板の上にビニールシート広げられた光景が、まるで住宅街のように見えて驚きました。同時に、恐怖を感じました。

一刻も早くこの場から立ち去らないといけないということで来た道を戻りました。

それ以後、僕は宮下公園には行ってません。

そんな宮下公園から、大晦日間近の2013年12月29日それも深夜に突然、宮下公園から強制退去させられたのです。退去までの猶予は2時間。

なぜ、寒さが辛い年末の昼間でなく深夜だったのでしょうか?

これには色々な、いきさつがあるようです。

宮下公園の歴史

  • 1930年(昭和5年)頃に東京市都市計画による公園として開設
  • 1964年(昭和39年)頃に公園を高架の人工地盤として東京初の空中公園となった。その下の地上部分には駐車場を設置
  • 2006年(平成18年)にはフットサルコートを新設
  • 2009年(平成21年)6月公園の命名権をナイキ・ジャパンに売却するとともに公園の改修費用の全額を同社の負担とし有料公園として改修する方針を渋谷区が公表
  • 2010年(平成22年)9月15日に渋谷区が公園を全面閉鎖
  • 2010年(平成22年)9月24日に渋谷区は公園内で生活するホームレスの人のテントなどを撤去すべく「行政代執行」を実施
    その後、再整備のため公園を一時閉鎖
  • 2011年(平成23年)4月に公園を再開(以後、夜間は施錠するようになった)
  • 2011年(平成23年)4月 2010年の行政代執行の際に公園内で野宿していた男性や支援団体などが裁判をおこした。
1:渋谷区による元宮下公園野宿者への強制退去は違法
2:以下の内容が違法
  • 渋谷区による元宮下公園野宿者への所有物の除却命令
  • 渋谷区が所有物の除却を命令する際に各種団体への弁明機会の付与通知の手続き
3:区議会の議決を経ていないので違法
4:ナイキジャパンとの契約は一般競争入札の原則に反する随意契約であり違法
  • 2013年(平成25年)12月 渋谷区が宮下公園12月30日から2015年1月3日まで終日閉鎖を実施 
  • 2014年(平成26年)7月 宮下公園等整備事業に関する公募型プロポーザル実施を公表
  • 2014年(平成26年)8月 渋谷区は宮下公園等整備事業の事業者として三井不動産を選定
  • 2014年(平成26年)12月 渋谷区が宮下公園12月26日から2015年1月3日まで終日閉鎖を実施
  • 2014年(平成26年) ナイキが)ネーミングライツを行使できず契約違反だと渋谷区に対して主張
  • 2015年(平成27年)3月 裁判で原告側が勝訴
  • 2016年(平成28年)3月 ナイキが渋谷区との宮下公園命名権契約を解除
  • 2017年(平成29年)8月 宮下公園の解体工事が始まる
  • 2020年(令和2年)7月 ミヤシタパークオープン

公園の命名権をナイキに売却

宮下公園の大きな分岐点は公園の命名権の売却からだと思います。

渋谷区は、2009年8月、年間1700万円の10年契約で公園の命名権をナイキに売却しました。ナイキは、「宮下ナイキパーク」としてスケートボード場などを設置したりスポーツ公園にする計画で、工事は同年秋から10年春までを予定していました。

しかし公園内の路上生活者の立ち退きが進まず、渋谷区は、2010年9月中旬に路上生活者への説明を行なったのち、2010年9月24日に野宿者たちのテントなどを強制撤去する「行政代執行」を実施しました。

ナイキが名称は変更しないことを表明

この時に、けが人が発生したことで、野宿者や支援者らは東京地方裁判所に渋谷区を提訴します。(この提訴については2015年、東京高等裁判所は代執行そのものは適法としたものの、強制撤去の手法と程度が「やり過ぎ」だったとして、公園から排除された男性への11万円の損害賠償を渋谷区に命じられました。)

ナイキは、行政代執行によるイメージダウンを懸念したのだと思いますが、2010年、当初予定していた「宮下ナイキパーク」への名称変更はしないと表明しました。

渋谷区役所は、自立支援、住居支援を行い、更には地下駐車場で寝泊まりできるようにしたり、2011年には渋谷区が宮下公園の隣にあったバイク等の駐輪場の空きスペースに小屋を建てて野宿者が引っ越せるようにしています。

2010年(平成22年)9月24日以降、公園は一時閉鎖となり、再整備工事が行われました。再整備ではバリアフリー化(エレベータ等を設置)、有料のクライミング用ウォールやスケート場が新設。人工芝2面のフットサル場も改修されました。

再整備工事が完了し、2011年4月に公園を再開したのですが、その際に、開園時間を毎日正午から午後10時半とし深夜から午前中にかけては閉鎖される形態となりました。

ここで新たな問題が出ています。

2008年に宮下公園下の駐車場管理会社が行なった耐震診断調査で、「耐震性に疑問あり」という診断が出ています。しかし渋谷区は耐震調査をしないまま2009年にナイキと公園の命名権契約を締結しています。更に、ナイキは公園をそのままリニューアル工事しています。

宮下公園は渋谷区の一時避難場所として指定されていますが、夜間は閉鎖するというのもおかしな話で、夜間に災害等が起きた時に施錠されていたのでは避難することができません。公園が高い場所にあるので逃げる際に大変だという意見もあるようですが、僕は洪水の場合を考えると高い場所の方が安全のように思います。

ナイキから三井不動産

渋谷区は2014年7月に宮下公園の公募型プロポーザルを開始し、同年8月には、宮下公園等整備事業の事業者として、三井不動産が選定されました。

2014年12月には、年末年始に公園内でホームレスに対して炊き出しを実施させないために公園を12月26日から翌年1月3日まで公園を閉鎖しました。

2013年9月に2020年の東京オリンピックが決まり、沢山の外国人が集まる渋谷からホームレスを排除しなさいという何らかの圧力があったのだと思います。

このため、2013年12月29日夜にも公園内からの退去を求めています。

ナイキも宮下公園の整備で公園が閉鎖されれば、ネーミングライツの行使ができなくなります。当然、契約違反だと主張しました。2016年には「整備に要した約4億5200万円を損失した」と、代理人の弁護士を通じて損失補償を求め裁判一歩手前まで発展していますが、2017年3月31日にナイキが妥協する形で和解が成立しています。

2017年8月1日から宮下公園の解体工事は始まり、2020年7月28日ミヤシタパークとしてオープンしました。

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現在も、ミヤシタパーク屋上にある、宮下公園は渋谷区の一時避難場所になっているはずですが、公園の開園時間はAM8:00~PM11:00までになっています。

開園時間外に宮下公園に逃げ込もうとした際に、公園の施錠は解除されるようになっているのか気になります。

健康で文化的な最低限度の生活

みんなの宮下公園だというのはわかりますが、路上生活者が公園に大勢いた頃は、やはり不気味で怖かったので、僕にはみんなの宮下公園というよりは、路上生活者の公園になっていたように思います。

地元の人は慣れているので、上手く公園を共有できていたのかもしれませんが、公園は住居ではないのでやはり、路上生活者が住んでいるというのはおかしいと思います。

これは、職を失い、住む家が無くなった場合にどうするのか?ということについて国、都道府県といった行政が対策を考えていないことに問題があるのです。

東京都に限らず、今でも駅の通路などで寝泊まりをしているところもあるようです。

公務員が民間企業に委託しているような業務を一時的に行ってもらって、その間に職を探してもらうという支援制度は国の責任で準備しないといけないはずです。

日本国憲法でも以下のように定められています。

第二十五条 

  • すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  • 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

【出典】e-Gov法令検索

健康で文化的な最低限度というのが、公園でテントや段ボールの家に住むというものではないはずです。そして国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないのです。