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アビガンは、なぜ承認されないのか?

アビガンはどうなったの?

新型コロナウイルスの治療薬として「アビガン」が期待されています。

2020年5月4日に安倍晋三首相が「有効性が確認されれば5月中の承認をめざす」と述べていましたが、5月どころか7月になっても承認されたという発表はありません。

厚生労働省は2020年5月12日の時点で「アビガン」を早期承認したいということで、治験の成績について薬事承認を受けた後に提出することも可能としていたはずです。

しかし、何故か未だに承認されていません。

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アビガンとは?

ウイルスは自己増殖ができない。宿主の細胞に入り込みRNAを放出、そのRNA核酸)が細胞内で複製され、複製されたものが細胞外へと放出(遊離)されることで増殖していく。
タミフルリレンザが遊離を抑えるのに対し、アビガンは複製を抑える「RNAポリメラーゼ阻害薬」。インフルエンザウイルスと、今回の新型コロナウイルスはどちらも「RNAウイルス」であり、同様の増殖プロセスをたどるとの考えから、神奈川県をはじめとした各方面からアビガン使用提言がなされていた。
さらに3月17日には中国科学技術省が中国国内での臨床研究の結果を発表、アビガンの新型コロナウイルスによる肺炎などへの有効性を認め、政府の治療方針に採用する考えを明らかにしていた。

jihiken.jp

新型コロナウイルスRNAウイルスと言われていますが、RNAというのは、DNAと同じ核酸です。DNAは親から子へ性質を伝える遺伝子本体です。そして、RNAはDNAの情報に基づいてタンパク質を合成する働きを担っています。アビガンは、RNAの複製を抑える作用があります。タンパク質の合成に影響するためなのかアビガンは胎児に奇形が生じる副作用が指摘されていました。
他にも副作用が見つかったのでしょうか?

承認が遅れているのは意外な理由

承認が遅れている理由は意外なものでした。

緊急事態宣言が出されたこともあって、感染者数自体が減り、治験の対象となる軽症・中等症の患者が少なく参加者を集められなくなったというのです。

www.nikkei.com

治験では投薬後に28日間の観察期間が必要なので、参加人数を集められたとしても完了するのは7月以降です。

治験というのはどのようなことを行うのでしょうか?

  1. 薬の候補を選定
    化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質の中から、試験管の中での実験や動物実験により、病気に 効果があり、人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。
  2. 効果と安全性の確認
    「くすりの候補」の開発の最終段階では、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べることが必要です。
  3. の審査
    こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。

人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。

【出典】厚生労働省

 実際には以下のような内容で実施しています。

対象

  • 重篤な肺炎を合併したCOVID-19の患者。20歳から74歳で、RT-PCR検査で新型コロナウイルスSARS-CoV-2)陽性となり、胸部画像での肺病変、37.5℃以上の発熱、治験薬投与開始前の妊娠検査で陰性を認める入院患者を組み入れる。酸素吸入が必要な患者は組み入れず、労作時のみ呼吸困難を呈する肺炎の患者のみを対象とする。

効果・安全性の確認

  • 被験者を、抗菌薬や輸液などの標準治療にファビピラビルを上乗せする群または標準療法にプラセボ(偽薬)を上乗せする群に割り付け(割り付け割合は非公表)、観察期間である28日間、ファビピラビルの有効性、安全性を評価する。目標症例数は96例。ただし、「数十例を登録後に見直しを行い、必要に応じて症例数を増やすアダプティブデザインとする」

臨床試験の用法・用量

  • 1日目のみ1回1800mg×2回、2日目以降は1回800mg×2回で、最長14日間、経口投与する。

主要評価項目

  • 体温、酸素飽和度、胸部画像所見の軽快、SARS-CoV-2が陰性化するまでの期間。具体的には、症状軽快後、48時間後に一定の間隔で2回のRT-PCR検査を実施し、2回とも陰性だった患者を抽出して、投与開始から1回目のRT-PCR検査で陰性が出るまでの期間をファビピラビル群とプラセボ群で比較する。副次評価項目は、有害事象と7ポイントスケールによる患者状態推移とする。

bio.nikkeibp.co.jp

日本以外での治療薬の状況は?

米国でレムデシビルが承認されたことで日本でも承認されました。
レムデシベル1回の投与で390ドルだということです。レムデシビルは5日間で6回投与するということなので合計すると2340ドルで、日本円だと約25万円という凄い金額です。

アビガンはまだ承認されていないため、薬価(薬の定価)が定められていません。

日本の薬なので、レムデシビルのような法外な価格になることはないと思いますが、

 

そんな中、WHOは、2020年7月4日に新型コロナウイルスの治療薬の臨床試験について、2週間以内に暫定的な結果が出る見通しだと発表しています。

しかし、アビガンは早くても7月以降だというのです。

まだ日本では承認されていないのですが、富士フイルムは2020年7月1日に「アビガン」(一般名・ファビピラビル)の海外展開に向けインドとアラブ首長国連邦の2社と提携すると発表しています。まだ、日本での承認が終わっていないのにライセンス契約だけはしっかり行っている富士フイルムって信用できるのでしょうか?

早期承認よりも契約一時金と販売ロイヤリティの方が大切だということなのでしょうか?

感染者が減少すると治験ができないということになるようなので、何とも皮肉なものです。特にワクチンは感染しないことを確認しないといけませんので大変だと思います。