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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

保釈制度について

保釈って何?

著名人が逮捕されると保釈金300万円で保釈されましたみたいな場合が多いですよね。

海外に逃亡したカルロスゴーンの補償金は15億円。スノーボード國母和宏被告は300万円、女優の沢尻エリカ被告は500万円、小室哲哉氏は3000万円。

この金額の違いは何?って感じです。

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身柄が拘束され起訴されると裁判の判決が出るまで拘置所などに送られます。裁判の判決が出るまでには、早くて1ヵ月、長い場合は1年を超えることもあります。

日本は起訴されれば99.9%有罪になるということなので1000人に1人は無罪になる場合もあるということです。
無罪なのに1年も身柄を拘束され、不自由な拘置所での生活を強制されたのでは、たまったものではありません。仮に有罪になって懲役3年という判決が出た場合でも、拘束されていた期間が全て差し引かれることもありません。

つまり、身柄を拘束されている期間というのは無駄な時間になってしまいます。

だからといって、判決が確定するまで釈放してしまうとカルロスゴーンのように海外に逃亡したり、裁判で有利になるように証拠隠滅を行ったりする可能性があります。

そこで、逃亡や証拠隠滅のおそれがないのであれば、身柄を拘束する必要もありませんので、釈放するというのが保釈制度になります。釈放されれば、裁判に必ず出席すること、一定の条件に基づき外出は自由で、仕事もすることができます。
逃亡の危険性がないと判断されたとしても、逃亡しないとは限りませんので、保釈することによるリスク、経済力に応じた保釈金を用意してもらいます。

更に、逃亡や証拠隠滅を行わないよう監督する人、つまり身元引受人がいた方が保釈が認められやすくなります。

ちなみに、保釈金は、有罪・無罪に関係なく、保釈時の条件に違反していなければ最終的には戻ってきます。

保釈金が払える人は保釈制度を利用できて、払えない人は利用できない?
お金持ちが優遇されている制度のように感じられます。

お金がない場合には、保釈金立替業者と呼ばれる機関に借りて建て替えてもらうということが可能です。有名なのは、日本保釈支援協会です。

釈保証金に困っている方々の支援をすることを目的に集まった有志の団体です。

www.hosyaku.gr.jp

なぜ、カルロスゴーンは保釈された?

保釈で一番重要なのは、逃亡と証拠隠滅のおそれがないか?という点です。

カルロスゴーンは、そもそも罪を認めていないのですから、逃亡も証拠隠滅のおそれもあったはずです。

にも関わらず、何故、保釈されたのでしょうか?

カルロスゴーンに限らず、日本では今、保釈が増えているようです。
ここ10年前と比較すると2倍以上保釈される場合が増えているそうです。

これは、裁判所が「推定無罪の原則」に立ち返る流れが強くなっているからです。

つまり、有罪が確定するまでは犯罪者ではないということなのです。

10年前というと、「裁判員制度」が始まった年です。
市民にわかりやすい裁判のため、事前に裁判官と検察、弁護側が打ち合わせを行う仕組みが新たに導入されました。その結果、推定無罪の原則に立ち返り、被告が弁護士と十分に相談できるように「保釈」を認める傾向が強まったようです。

今は、保釈によるリスクよりも、被告の人権を重視する傾向が強くなっていることから、10年前と比較して保釈が認められやすくなったということです。

それにしても、カルロスゴーンの保釈については、逃亡・証拠隠滅のリスクが誰の目にも明らかだったはずなので認められたことに関しては疑問しかありません。

身元引受人には責任はない

保釈を訴えたのは弁護人です。逃亡や証拠隠滅を行わないように監視するべき身元引受人にも責任があるはずです。

しかし、日本の保釈制度では、身元引受人に責任や賠償を求めるようなことないのです。

保釈制度の課題

平成30年に勾留状を発付された被告人は51,833人です。そしてその内、保釈を認められたのは、 17,462人(33.69%)です。そして、保釈を取り消されたのは140人です。

拘留状を発付された被告人の数が平成30年と同じ程度の年は平成7年で 50,859人です。保釈を認められたのは、 9,017 (17.72%) 保釈を取り消されたのが54人なので、平成30年の方が2倍近く保釈された人が多くなっていることになります。

【出典】

カルロスゴーンをはじめ、保釈され逃亡したという事件が昨年は多かった気がします。もっと、保釈の条件を厳しくするべきだという気もしますが、推定無罪の原則なので罪が確定する前の拘留は極力避けなければいけないということも考慮する必要はあるのでしょう。

では、どうすれば良いのでしょうか?

現在は、身元引受人に責任がないため、機能していないように思えます。
このため、身元引受人を必ずたてること、そして身元引受人には責任を課すことが条件になると思います。

保釈中、責任をもって監督する人ということは、重要だと思います。海外では電子監視が逃亡防止策として取り入れられています。このため日本でもGPS機器を装着させるという方法もあるのでしょうが、僕は人による監督がやはり一番だと思います。

次に海外への逃亡を絶対にさせないため、パスポートは全て例外なく弁護士がする。
今回、カルロスゴーンのパスポートは弁護士が預かるということになっていました。しかし、フランス籍のパスポートは2通所有しており、1通が鍵がかかったケースに入っていたということで、鍵だけを弁護士が預かるような形でした。
鍵付きのケースに入っていても、壊したりすれば取り出せるはずなので、鍵だけを預かるというのが間違いです。なぜ中身を取り出し、弁護士が預からなかったのが疑問です。

今回のカルロスゴーンの逃亡を教訓に日本でも保釈制度の法整備は必須だと思います。