米軍がアフガニスタンから逃げた
米軍がアフガニスタンから9月11日を期限として撤退するという発表が2021年4月にあった。
米軍がアフガニスタンに駐留するようになったのは2001年9月11日のアメリカ同時多発テロからでテロリストのアルカイダを匿っているとしてタリバン政権を空爆し崩壊させたが、その後も戦いは継続し、これまでに米兵2400人、民間人4.5万人が死亡している。
バイデン大統領は9.11から20年の節目として完全撤退を決めた。
米軍は撤退の条件としてタリバンに対してアルカイダとの縁を切ることを出していたが、回答を待っていたら、いつまで経っても撤退できないということから無条件撤退に踏み切った。
そして2021年7月2日には全ての米兵が撤退したと発表した。
現地には米大使館の警備要員として100人程度を残すだけとなっていた。
この時点でバイデン大統領はアフガン政府は政権を維持する能力があるとの見解を示していたが、タリバン勢力は米軍が撤退すると共に支配地域を急速に拡げていき、支配地区は全土の約40%と政府の約23%を既に上まわっている。
タリバンは州都を取り囲む地域だけを制圧し州都へは米軍が撤退を完了した時点で一斉攻撃をしかける戦略を取った。
バイデン大統領が政権を維持する能力があると言っていたアフガン政府は米軍の後ろ盾がなくなると、タリバンと戦うことなく降伏している。
他国の対応
オーストラリアは、2021年5月28日には首都カブールの大使館を閉鎖、インドは、2021年7月10日夜に外交官や警備員が退避、フランスは、2021年7月13日にはアフガンからの退避を勧告を行なっているが日本は何も起こっていないかのように外交活動を続けていた。
タリバンの州都制圧は2021年8月初から始まった。
当初、タリバンによる完全制圧までに半年は要すると見られていたが、実際には8月16日には政権が崩壊した。
アフガニスタン政府の対応
アフガニスタンのガニ大統領は、2021年8月16日早々に国民を置き去りにして大量の現金を持ってヘリコプターでアラブ首長国連邦に逃亡した。
持ってきた現金がヘリコプターに入り切らなかったので、滑走路に置いて逃げたというのだから、もうアフガニスタンには戻ってくる気はないのだろう。
戦わずに降伏する政府、現金を持てるだけ持って逃亡する大統領。
国民は、そんな政府の姿を見てしまったのだから、パニックにもなるだろう。
それは、飛び立とうとする米軍の飛行機にしがみつくしかないと考えてしまったアフガニスタン国民の姿からも伺える。
日本政府の対応
日本が大使館を閉鎖したのは2021年8月15日、その後、2021年8月23日に、ようやく、自衛隊派遣命令を出している。
岸信夫防衛大臣が、派遣命令を出した約6時間後、航空自衛隊入間基地をC2輸送機が飛び立った。
大使館の館員12名は、2021年8月17日に、友好国の軍用機によりカブール国際空港から出国しアラブ首長国連邦のドバイに退避している。
オーストラリアは5月、フランス・インドは7月の時点で大使館を閉鎖したり、アフガニスタンからの退避を指示しているにも関わらず、日本は、ガニ大統領が国外に逃亡しているにも関わらず、何の指示も出さず、7日以上経過した8月末になってようやく自衛隊を派遣している。
7月の時点で指示を出していれば、危険を冒してまで自衛隊を派遣する必要もなかった。
全ては日本政府の危機感のなさによるもので、「致命的な凡ミス」だ。
責任を問われるべきバイデン大統領
それ以上に責任を問われるのは、アメリカのバイデン大統領だ。
アフガン政府は政権を維持する能力があるとしていたが、だったら、20年も米軍がアフガニスタンに駐在する必要はなく、もっと早い時期に撤退していたはずだ。
今になって、アフガニスタンから撤退したことで結果的にアフガニスタンの国民を恐怖に陥れることになり、言葉にしたくないようなことをタリバンから受ける者も出てしまった。
この結果は、多くの国が予想していた以上に悪い結果になってしまった。
バイデン大統領の判断は「愚か」だったと言わざる得ない。
バイデンの愚行を誰も止める者がいなかったのだろうか?
アフガンからの米軍の撤退は、日本の未来と重なってしまった。
老兵は去れ
ちなみに、アフガニスタンの国民を捨てて自分だけ逃げたガニ大統領も72歳。
三人共に、一国の長として正しい判断を下せる年齢ではないはずだ。
バイデン大統領については、良く知らないが、今回の対応を見る限り、菅総理と同レベルのように感じる。
日本は72歳の老人により不幸になり、アフガニスタンは78歳と72歳の老人により不幸になった。
政治家にはなぜ、定年がないのだろうか?
公務員に定年があるのだから、国家公務員である国会議員、つまり総理にも定年が適用されるべきではないだろうか?
人は年齢ではなく、中身で評価されるべきだという意見もあるかもしれないが、菅総理、バイデン大統領共に、年齢だけではなく中身も評価できないので、どちらも不適応ということになる。