報道されなくなった森友問題
森友問題は安倍前総理が亡くなったことで、話題性がないということでテレビでは報道されることはなくなった。
テレビはもっぱら、ジャニーズとBIGモーター関係の報道で他のことには目に入らない感じだ。
また野党も、この問題を追及することはしなくなった。
「忖度」という言葉が流行語のように使われるようになったが、野党にとっての森友問題は結局、自民党下ろしのための案件の一つであり、利用価値がなくなってしまえば、取り上げることはしなくなる・・・
しかし、森友問題は何も終わっていない。
森友学園の問題(国有地の払い下げ価格の不正)が発覚し、学園理事長と妻を提訴。
この件に、当時の総理が関与していたのではないか?と国会で問題にされた。
その時の決済文書、改ざん、財務局と森友学園との交渉記録、面会記録といったものを要求したものの、交渉記録は存在しない。
また面会等の記録は保管期限が過ぎていたので文書管理規則により廃棄されていると回答した。
ところが、この後で決済文書の改ざんが指示されたり、添付文書の抜き取り、保管期間が過ぎた文書の廃棄が行われたことが発覚し財務省は改ざんを認めた。
そして、決裁文書の改ざんを命じられた近畿財務局の元職員が、これを苦にして自殺した。
改ざんを命じたとされた、財務省元理財局長を始めとした3人を、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで告発したが、嫌疑不十分で不起訴となった。
改ざん文書の開示請求
これを不服とした元職員の妻(以下、原告と記載)らが国に対して改ざん文書等の開示請求した。
これに対し国は、「特定事件の捜査機関の活動を明らかにすることになる」として文書が存在するかどうかの存否も含めて不開示とした。
納得できない原告は、不開示決定の取り消しを求めて提訴した。
その判決が2023年9月14日に出され、請求は棄却された。
棄却の理由は以下の通り。
- 開示決定はもとより不開示決定でも文書のタイトルが明らかになることから捜査手法や対象などが推知される証拠隠滅が容易になるなど、将来の事件捜査に支障が及ぶ恐れがあるとして、国側の判断は妥当だとしたうえで、不開示決定は適法とした。
将来の事件捜査で証拠隠滅が容易になるとの理由で棄却しているが、行政である財務省が改ざんだの、廃棄などを行なって証拠隠滅をしたことによって、今回の訴訟になっているのであって、そもそも、改ざんや破棄を職員に指示しなければ、この訴訟自体が起きていなかった。
裁判所は、原告がなぜ開示請求をしているのかを考えていないのだろうか?
原告の夫は、改ざんを苦にしていたのだから、まず、なぜ、改ざんが必要だったのか?そして、誰が改ざんを指示したのか?
原告は、この2点が不明確なので明確にするために開示請求を行っているのだから、この点を明確にすることが、できれば開示は不要になる。
これを財務省は、真摯に受け止めずに、回答しないからこのようなことになっていることをしっかりと認識するべきだと思う。
認識していない証拠が、前日の2023年9月13日には原告が財務省元理財局長に対して起こしていた損害賠償請求訴訟の控訴審での尋問も却下していることではないだろうか?
原告は財務省元理財局長らへの尋問を要求していたが、本訴訟における主張立証の内容、双方から提出された人証調べに対する意見書の内容をふまえ合議した結果、尋問を実施する必要性はないと却下されている。
もっと、論理的な理由を述べることができなかったのか?
そもそも、尋問を認めるつもりがなかったのか?
どちらにしても、裁判所として適切な対応だとは受け取れなかった。
日本の一元制三権分立
これが日本の三権分立ということなのだろう。
行政と立法は実質、与党が実権を握っている。
そして、最後の望みの綱である司法も立法、つまり与党に都合よく改正された法律に基づき判決を下すことになる。
裁判官は内閣が任命するので、これまた与党の力の及ぶところになる。
つまり、国を相手に訴訟するということは、三権全てを敵に回すのと同じことになる。
これは、敵に都合の良いルールで審判も敵側の環境で戦うのと同じといえる。
最初から大きなハンディキャップを背負って戦うのだから、勝つためには相当、有利な証拠などがなければ勝てるはずがない。
行政の都合のよい法律を立法で成立させ、司法がそれを使って判決をくだす。
これで、公平な裁判が成立するはずはない。
森友問題は、このことを国民に知らしめた事件だと言える。