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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

新薬の認可までが遅い日本が早くなる?

11月に入り寒くなってきました。気温が20度を下回ると、インフルエンザ・ウイルスの活動が活発になるそうです。

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実際、僕の周囲でも、お子さんがインフルエンザで休んでいるという話を聞いています。インフルエンザの治療薬というと、タミフルが有名ですが、「普段と違うとっぴな行動をとる、幻覚が見える」という症状が出る事例があるということで心配です。そして2018年にはソフルーザという1回の服用で治療可能と言われた新薬が登場しました。
タミフルなどは最低でも5日間服用しないといけないため、ソフルーザは画期的な薬だと注目されました。

www.fnn.jp

ソフルーザが画期的なのは、効用だけではないのです。
2017年10月25日に承認申請を行い、わずか5カ月足らずで認可されているのです。 
日本の医薬品といえば、新薬の販売まで世界から4年は遅れているといわれています。

以下は、2008年7月28日、10年以上前の記事です。

toyokeizai.net

海外では認められている薬が日本では認められていないということで、個人負担で海外では認可されている薬を個人輸入し専門医の治療を受けていた時の治療費が1ヵ月40万円でした。それが承認されると1ヵ月8万円で、個人負担は5分の1になりました。

海外では実際に使用されているにも関わらず日本では検査に時間がかり承認が遅れているという理由だけで効果のある薬が使用できないというのは、誰もが、おかしいと感じるはずです。

そんな日本で、新薬がどうして5か月足らずで販売されたのでしょうか?
その理由は、2015年に創設した「先駆け審査指定制度」です。

answers.ten-navi.com 

以下の要件を満たす品目で企業から応募があれば、厚生労働省が認めれば、優先審査が適用される上、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による事前評価で実質的に審査が前倒しされ、医薬品の場合、通常なら12カ月程度かかる審査期間を半分の6カ月に短縮。薬価算定の際には「先駆け審査指定制度加算」が適用され、10~20%の範囲で薬価が上乗せされるというものです。

  • 新規作用機序を持つ▽対象疾患が重篤である
  • 対象疾患に対して極めて高い有効性がある
  • 世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思がある

ソフルーザは、「先駆け審査指定制度」に適合したということですね。

先駆け審査指定制度は以下を参照願います。 

www.mhlw.go.jp

でも、これって世界に先駆けたものでないとダメなので、既に海外で認可され使用されているものには適用されないってことです。更に調べていくと、2017年10月20日厚生労働省が新薬の臨床試験を一部省略するなどして、今までより数年早く発売できるようになる特例制度をつくったという内容が見つかりました。

患者数が少ないなどの理由で臨床第3相(P3)試験などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品・医療機器・再生医療等製品について、発売後に有効性・安全性を評価することを条件に承認する制度です。

answers.ten-navi.com

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定めた条件に該当する場合には、承認審査の過程を以下のように短縮することができるというものです。

通常の承認審査

条件付き承認審査

  • 探索的臨床試験(2~3年)→審査(1年)→承認→製造販売後調査

法改正が行われたわけではないので、本制度の実施により、これまでの医薬品の製造販売承認申請に必要な申請資料等の取扱いを変更するものではないということです。これにより対象となる医薬品については最大で7年要していたものが、2~3年早く使えるようになるということになります。

【引用元】

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 同様に、医療機器についても2017年7月31日から実施されているようです。

www.pmda.go.jp

【引用元】

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

医薬品、医療機器共に、日本での販売までに時間がかかるということは認識されているようですが、根本的に申請から販売までの期間が短くなったわけではありません。なぜ、日本では医薬品の販売までに時間がかかるのでしょうか?

厚生労働省やその関係法人の情報だけでは、真実が見えない可能性もありますので、別の視点の情報も確認したいと思います。

以下は、日本製薬工業協会からの情報です。

他国で販売された薬が自国で販売されるまでの平均期間をみると、米国は1.2年、欧州各国では、ほぼ2年以内ですが、日本では4.7年もかかっています。

その原因には、製薬企業における開発着手自体の遅れ、行政機関における新薬承認審査等にかかる時間、臨床試験の実施体制等の基準整備に不十分な面があることのほかに、臨床治験に参加する患者さんの数が十分に集まらない、など様々な問題があります。

【引用元】 

ソフルーザは、5か月足らずで販売できていますし、欧州各国では2年以内だというのですから日本でも方法を見直すことで改善は可能だと思います。半面、以前問題になった降圧剤である「ディオバン」のデータ操作問題があります。

この問題の詳細を書いてしまうと長くなってしまうので別記事にしたいと思いますが、簡単に言うと、ディオバンの製薬会社が大学の教授に巨額の資金を渡して薬効を調べる臨床研究を依頼し、その論文のデータを製薬会社の社員が操作したというものです。

seege.hatenablog.com

この事件をきっかけに「臨床研究法」が改正され、製薬会社が関わる臨床研究は監視と報告の義務が強化され罰則も定められています。
不正により縛りが設けられ、真面目に行っている人達まで試験に時間がかかるようになる。何のために新薬を開発しているんだ?と言いたくなります。

新薬の販売までのリードタイムを短縮することで、データの不正操作などが発見できなくなる可能性もあるので不正ができないような仕組みも必要になります。

国立大学を研究施設とする国営の製薬会社を作るという方法もあるのではないかと思います。安価に薬が販売できれば医療費の負担も減るはずです。

審査に時間がかかるような国で新薬を開発したいと考える製薬会社はないはずです。審査時間が短くなれば海外の製薬会社が日本に参入してくれることにもなります。