憲法改正手続きに関する国民投票法改正案が2021年5月6日に衆院憲法審査会で可決されました。
その頃は、新型コロナウイルスの感染者が全国的に増えていたので、マスコミでは大きくは報道されていなかったように思います。
憲法改正にも反対していた野党(共産党以外)が、この法案には賛成したのは何かあるのでしょうか?
まず、今回の修正案は、立憲民主党が提出したということです。
更に、修正案について与野党で議論されることもなく採決されています。
このため、日本維新の会は、改正の原案に賛成しましたが、立憲民主党の修正部分には反対しています。
立憲民主党にすれば、10月までには行われる衆院選挙に向けて何らかの実績が欲しかっただけかもしれませんね。
特に立憲民主党は、批判するだけのイメージが強く、嫌ってる人は少なくありません。
国民投票法とは?
野党のことは、さておき、まずは、「国民投票法」とは何か?というところから確認したいと思います。
憲法を改正するための内容が日本国憲法 第96条に記述されています。
日本国憲法第96条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
憲法を改正するためには以下の2つによる承認が必要ということです。
上記にある「特別の国民投票」に関する法律が、「国民投票法」になります。
【引用】https://www.gov-online.go.jp/useful/article/200802/img/c_02b.gif
投票権は、「満18歳以上の日本国民」にあり、海外在住であっても国政選挙と同様に、「在外公館投票」、「郵便等投票」、「日本国内における投票」が可能です。
国民投票での、過半数の賛成というのは、「賛成投票の数が投票総数の2分の1を超えた場合」となっています。
今回は、更に、以下の内容を追加するというものです。
- 「選挙人名簿の閲覧制度」への一本化
- 「出国時申請制度」の創設
- 「共通投票所制度」の創設
- 「期日前投票」の事由追加・弾力化
- 「洋上投票」の対象拡大
- 「繰延投票」の期日の告示期限見直し
- 投票所へ入場可能な子供の範囲拡大
これだけだと何のことか分からないので補足していきます。
選挙人名簿の閲覧制度一本化
選挙人名簿というのは、選挙権がある人の一覧のことです。を見る場合に、縦覧と閲覧という方法がありましたが、縦覧は期間と場所を決めて権利のある人へ公開、閲覧は申し出があれば権利のある人に開示するというものです。
今は個人情報に対して厳しくなっているので、権利があれば誰でも見れてしまう縦覧は好ましくないということから、閲覧に一本化するということです。
出国時申請制度の創設
海外で住む人等は出国時に市町村で在外選挙人名簿への登録を申請できますが、投票日の50日前だと在外選挙人名簿に反映されない場合があるため、法整備を行うということです。
共通投票所制度」の創設
これまで、投票日当日に関しては、指定された投票所でしか投票できませんが、期日前投票の様に駅前やショッピングセンターに共通投票所を設けて投票できるようにするものです。
期日前投票の事由追加・弾力化
期日前投票の事由として、天災、悪天候で投票所に到達することが困難な場合を追加すると共に、投票時間の繰上、繰下を可能にするというものです。
洋上投票の対象拡大
洋上からファクシミリ等で投票できる海上投票制度の対象者に、便宜置籍船の乗員、実習で乗船する学生を追加
繰延投票の期日の告示期限見直し
天災等で投票ができない場合の繰延投票の期日の告示を5日前から2日前までに行えば良いようにすることです。
投票所へ入場可能な子供の範囲拡大
保護者の人が実際に投票している姿を同伴している子供に見せることで早い段階から一票の大切さを学んでもらうというものです。
以上が追加の7項目になりますが、確かに特に問題となる内容はなさそうです。
最低投票率も定めるべき
日本では、最低投票率が定められていないので、仮に賛成2票、反対1票であっても過半数の賛成となり承認されます。
最低投票率についても「50%を超える」場合とし、下回った場合は否認とすという条件が必要だと思います。
3人の意見だけでも承認できるなんて、どう考えてもおかしいですよね?
賛成意見の多くの方は投票に行くと思いますが、反対意見の多くの方は投票に行かないように思いますので、今の国民投票は賛成有利に作られているように感じます。