蘭奢待
何のことだろうか?とWikipediaで調べてみた。
蘭奢待/蘭麝待(らんじゃたい)は、正倉院に収蔵されている香木。
天下第一の名香と謳われる。正倉院宝物目録での名は黄熟香(おうじゅくこう)で、「蘭奢待」という名は、その文字の中に"東・大・寺"の名を隠した雅称である。
その香は「古めきしずか」と言われる。全浅香(紅沈香)と並び、権力者にとって重宝された。
【出典】蘭奢待 - Wikipedia
蘭奢待(らんじゃたい)は仏教伝来と共に、仏に供える香として日本にもたらされたと考えられている。
木の名前は黄熟香(おうじゅくこう)で、木の表面ににじみ出た黄褐色の樹脂の色から来ている。
そして樹脂が香りの元になる。
長さは1m56㎝、重さは11.6Kg
では、なぜ、蘭奢待という名前になったのだろうか?
黄熟香は東大寺の創建者である聖武天皇(701-756年)の所有物だった。
聖武天皇が崩御され、光明皇后により東大寺に奉献されたのではないかと言われている。
蘭奢待と呼ばれるようになったのは、足利義満の時代からで「猛々しく奢った侍が必ず欲しがる」ためだといわれている。
もう一つ、古代日本では、名前や言葉に暗号や謎を込めることがあった。
これは、特別な意味を持つものや重要な物品に対して、より一層の尊敬や神秘性を持たせるための手法として使われた。
「蘭奢待」という名前に東大寺の文字を隠すことで、この香木の特別さや神秘性を強調し、人々の関心や尊敬を引き寄せる意図があったかもしれない。
そのため、名前に「東大寺」という文字を隠されているとも言われている。
どんな香りがするのか?
蘭奢待はラオスやベトナムの山岳地帯から伝来したと言われている。
そして奈良時代からの香木なので、現在は既に香りが弱くなっているので、奈良時代当時の香りはわからないが、古香徴説(ここうちょうせつ)によると蘭奢待の香りについて以下のように書かれている
- 初めの聞き杏仁なり
- 此(これ)五味出るを一返として九度まで
※古香徴説:美しい香りや古いものを称賛する修辞法や表現を指す言葉
※五味:香道で伝えられてきた香りの表現で甘い・苦い・辛い・酸っぱい・塩辛い
香木の種類やその評価基準について書かれている、名香聞書(めいこうききがき)では、奇気(上等な伽羅(香木)に存在する香り)に杏仁の香りが含まれると書かれてある。
つまり、奇気の香りに、杏仁の香りが含まれているということなので、上等な伽羅には杏仁の香りが含まれていることになる。
上等な伽羅として一木四銘(一つの香木に四つの違った銘が付けられた伽羅)がある。
上記の4つの中でも「白菊」は最上級とされているので、白菊を除いた、一木三銘とも呼ばれている。
- 白菊
- 柴船
- 蘭(藤袴)
- 初音
初音の中には、杏仁の香りと一致する以下の成分が含まれていた。
これらの成分は揮発性が高く、熱を加えた時に早い段階で立ち上ってくる成分になる。
名香聞書に書かれている、最初に、杏仁の香りがするという内容と一致する。
蘭奢待の本当の香りはわからないが、その香りの中には、杏仁の香りが含まれているかもしれないということになる。