高校生のスマホ講習会
日本政府はマイナンバーカードを中心に行政のデジタル化を進めようとしている。
これが実現すると、スマホまたはパソコンが使えるようにならないと行政のサービスが受けられなくなる。
そんなことから、広島県福山市新市町の「しんいち学区まちづくり推進委員会」が主催し、戸手高の生徒が地域のお年寄りたちにスマートフォンの使い方を教える講習会が2022年11月に開催された。
町内でスマホ講習会を開いている同推進委と授業で地域課題の解決に取り組む同校を福山市がつないだということで、市・町・学校・住民が一つになった取り組みというのが凄いと思った。
町内の60~80代の住民12人が参加。3年生13人からQRコードの読み取りやマップの音声検索などを教わった。3月にスマホを購入した畝迫寿美枝さん(68)は「電話の機能を除いてほぼ使えてなかった。孫ぐらいの年頃に教えてもらい、わかりやすかった」と喜んでいた。
講習会は、2022年7月から実施されていて、今回で5回目。
「カタカナは、できるだけ使わず、タップは「押す」スライドは「寄せる」と言い換えることで理解してもらえた」そうだ。
確かにカタカナに限らず、初めて使う機器の取説に聞きなれない言葉が使われていたら読む気にならなくなる。
作ってる側にすれば日常的に使用されている言葉でも仕事に関わっている人しか知らないような言葉もある。
英語はカッコいい、日本語は古臭い
日本は英語はカッコいい、日本語は古臭いと感じる傾向がある。
しかし、多くの日本人にとっては「タップ」より「押す」、「スライド」より「寄せる」という表現の方がイメージしやすいはず。
カッコいいとか古臭いといったことは操作を覚えるときには関係のないことなので、最先端のものであっても使用する言葉まで最先端にする必要はない。
そう考えると、パソコン、スマホという言葉自体がカタカナで慣れしたんだ言葉ではないので親しみを感じられなくて使うのを躊躇している可能性もある。
カリキュレータータと言われると「えっ?」と思ってしまうが「電卓」と言われても何も感じないのではないだろうか?
マイナンバーカードは、「個人番号札」、パソコンは「自分用計算機」、スマホは、「賢い電話」と名前を変えれば、これだけでもかなりハードルが下がるのではないだろうか?
見た目より実用性
行政のデジタル化を進める上で、政府は見た目より実用性を重視するべきだと思う。
いくらカッコいい言葉を使用しても「興味をひく」内容が伝わってこなければ知ってもらえない。
その上、略語だったりすれば意味さえわからなくなる。
マイナンバーカード・マイナポイント・キャッシュレス決済・チャージ・・・
見事にカタカナばかりで漢字が使われているのは、「決済」のみ。
なぜ、こんなにカタカナを使いたがるのだろうか?
日本語以外の言葉は全てカタカナで対応できるのが日本語の良さと言えるが、それが逆に言葉を難しくしているように思う。
音だけを真似て意味だけを日本語にしようとするので、カタカナは日本語の様で日本語ではない。
このため、むやみやたらにカタカナにしないことが大切だと思う。
- BaseBall(ベースボール)ではなく「野球」
- Car(カー)ではなく、「自動車」
- Telephone(テレフォン)ではなく「電話」
- Kinetoscope(キネトスコープ)ではなく「映写機」
- cotton candy(コットンキャンディ)ではなく「綿あめ・綿菓子」
と昔は、簡単にカタカナにしないで、日本語として意味が伝わるように命名していた。
上のどれも、日本人にとっては、漢字・ひらかなで書かれている方が馴染みがあるのではないだろうか?
なぜ、ひらがなとカタカナ?
日本語にはなぜ、ひらがなとカタカナが存在するのだろうか?
ひらがなは、漢字だけでは全ての言葉を表わせなかったので、漢字を使って日本語の音を表した「当て字」を作った。
これが万葉仮名と呼ばれるようになった。
しかし、万葉仮名は、1つの音にいくつもの漢字を当てたため種類が多く、また形が複雑で書くのが難しいものもあり、画数が少なくなるように作られたものが、ひらがなになる。
- 安→あ
- 加→か
- 左→さ
- 太→た
- 奈→な
【出典】豆知識✏どうして「ひらがな」と「かたかな」が生まれたの?| エデュサプリ | 光村教育図書
しかし、カタカナはどうだろうか?
ひらがながあるのだから、ひらがなではダメだったのだろうか?
実は、ひらがなとカタカナは同時期に作られている。
僧侶の間で読まれていた経典は、全て漢文で書かれていたので、僧侶たちは行間に読み方などのメモを書き入れていた。
その際、形の複雑な万葉仮名では狭い行間に書き入れるのが難しいので、万葉仮名の一部だけが書かれるようになった。
- 阿→ア
- 加→カ
- 散→サ
- 多→タ
- 奈→ナ
【出典】豆知識✏どうして「ひらがな」と「かたかな」が生まれたの?| エデュサプリ | 光村教育図書
おそらく、ビデオテープのVHSとβマックスのような関係だったのだろう。
万葉仮名の困った点を「ひらかな」で解決しようとした人と、「カタカナ」で解決しようとした人がいた。
それが、今に至り、カタカナは、外国語や外来語と、擬音擬態語、動植物名などの特殊な語の場合のみに限られて使われるようになった。
しかし、今は、略語までカタカナが使われるようになっている。
このため、カタカナはむやみやたらに使うものではないと思う。
日本語の素晴らしさの見直し
漢字が海外で人気だという。
その理由の一つに文字が、絵のように見えるというものがある。
日本人は漢字より英語の方がカッコいいと思う人が多いが、文化が変わると日本語がカッコいいと感じる人も少なくないことになる。
実際、達人が筆で書いた漢字は素晴らしいと感じる。
日本人はもっと、自国の文字に対して誇りを持つべきだと思う。
そのためには、日本語の素晴らしさに気付く必要があるのだろう。
義務教育で、もっと日本語の素晴らしさを伝える内容に時間を割くとか、家庭でも親が漢字を子供に教えるといったことが必要だと思う。