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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

無関心からお節介でV字回復

老舗クリーニング店

兵庫県の老舗クリーニング店(設立:1959年、従業員数:約130人)の記事が朝日新聞に掲載されていた。

2013年に息子が店の経営状態は良いと思い込んでいて家業を継いだ。

しかし、決算書を見ると、ずっと売り上げは右肩下がりで赤字。

何とかしないといけないと、ホームページを作り、客から衣類を送ってもらい仕上げて送り返す宅配クリーニングサービスを始めるが、1か月経っても注文は2件・・・

自社の強み

コンサルタントに相談したところ、最初に「自社の強みを100個書き出して」と言われた。

書き出してみたところ20個位で止まった・・・

考えている内に思い出したのが、母親が、明日必要だという取り忘れの衣類を深夜に配達したり、社員は売り上げにならないような、無料でボタンをつけたり、ほつれを直したりしていたこと。

「お節介」という言葉が頭に浮かんできた。

2015年から「おせっかいクリーニング」と銘打ったサービスを開始した。

ボタン付け、染み抜きや毛玉取り、1年間の保管といった無料サービスだ。

周知してもらうために、ネット広告や、自分でもクリーニングに関するブログ記事を毎日、こつこつアップし続けた。

実は、近所にあるクリーニング店に満足できずに、良いクリーニング店がないものかと探していた人が多かったということで、宅配サービスの売り上げが500万円から1.4億円へと大きく伸びた。

【出典】「おせっかい」を極めたら 赤字から回復 街のクリーニング屋の挑戦 [KANSAI]:朝日新聞デジタル

ドライなクリーニング店が増えた:

この記事を読んで、近所の人の話を思い出した。

自分の家の近所にもクリーニング店はたくさんある。

その中でも一番の老舗だったクリーニング店が、コロナ禍に店を閉めた。

ワイヤシャツを持って行けば、何も言わずに日常用は「吊るし」、出張用は「たたみ」で仕上げてくれる。

春にクリーニングを依頼した、冬用の毛布や布団を取りに行かなくても、秋頃になると「そろそろ必要ではありませんか?」みたいな連絡があって取りに行くというのが「普通」の店だった。

もちろん特別料金などは発生しない。

そんな店がなくなり、別のクリーニング店を利用せざる得なくなった。

ワイシャツを持って行き、黙って依頼すると全て「吊るし」で仕上がってきた。

今は、当然のことなのだろう。

次は、「たたみ」で依頼すると、露骨に嫌な顔をされたらしい。

仕上がって2週間経過すると宅配便で「着払い」発送しますという。

天国から地獄に落とされた感じがしたと悲しそうに話していたことを思い出した。

自分も「吊るし」と「たたみ」に関しては自分も似たような経験があるので、その気持ちは、よくわかる。

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今は、言われなければ、何もしないのが普通になっている。

つまり、お節介ではなく無関心。

無関心ならまだ、良いのかもしれない。

クリーニング店で「たたみ」で依頼すると嫌な顔をされるというのだから客は「煩わしい」存在だということになる。

記事に書かれていたクリーニング店も最初は、「お節介」サービスを行なっていたようだが、いつの間にか、無くなってしまったのだろう。

無くなった理由は想像になるが、お客が増えて忙しくなるに連れて時間がなくなり、「お節介」をしている余裕が無くなったというところではないだろうか?

余裕がある時なら、ボタンが取れていれば付けてあげたい、ほつれていれば治してあげたいと思えるが、忙しいとそこまで気が回らない。

今は、そもそも、ボタンが取れていようが、ほつれていようが客の衣服には無関心なので何も感じないのかもしれない。

無関心が必要な場合もある

今回、お節介サービスでV字回復したということだが、だからといって、お節介サービスが主流になることはないように思う。

「無関心」というのは必要な場合もあると思うし、「無関心」を希望する人もいるためだ。

クリーニング店に持っていった、まだ洗っていない衣類を見て、「これ、もうかなり古くなってますねぇ」とか言われたら、もう捨ててもいいんじゃないですか?って言われているみたいで気分は良くない。

お節介も節度が必要だと思う。

しかし、節度ある「お節介」なんてことを考えていたら、何もできなくなる。

結局は、クリーニング店も選択肢は必要ということだと思う。

あれこれ会話をしてくるようなお節介を嫌う人もいる。

「久しぶりですねぇ、前回は1年前だった?」

「他の店に浮気していた?」

といったことを笑いながら言ってくれればまだ良いが、真顔で言われたら・・・罪悪感を感じてしまい、次から行きにくくなる。

それより、クリーニングに関することだけを話して3分程度で完了というような「無関心」な接客を好む人には、「お節介サービス」は向かないかもしれない。

そう考えると、お節介を希望する人は、お節介サービスを提供するクリーニング店を利用するだろうし、そうでない人は「無関心」なクリーニング店を利用することになる。

また、あまり関心を持たれなくないようなものを依頼する場合は「お節介」を希望する人でも「無関心」なクリーニング店を利用するということも考えられる。

今回、兵庫県のクリーニング店ということで「お節介」を希望する人が多かったが、これが東京だったら、結果は変わっていたかもしれない。

近所のクリーニング店に満足できていない人が多かったというのは、あとから分かったことのようだが、もしも「お節介」が合わない土地柄だったら失敗に終わっていた可能性もある。

この記事を読んで、改めて口コミを含めた、マーケティングの重要性を感じた。