電通本社ビルを売却を検討という報道を見て驚きました。
テレビ局は広告収入が減って苦しいというのは聞いていましたが、電通が本社ビルを売却しないといけないほど酷かったとは・・・
本社ビル売却報道は、電通が発表したものではない
電通のホームページを確認すると、2021年1月20日付で、電通から「一部報道について」ということでニュースリリースが行われています。
一部報道機関において、当社が保有する「電通本社ビル」売却に関する報道がなされていますが、当社が発表したものではございません。
当社は、2020年8月から”包括的な事業オペレーションと資本効率に関する見直し”および”事業トランスフォーメーション加速のために施策”に着手しており、その一環として「電通本社ビル」の売却についても検討していることは事実ですが、現時点で決定している事項はありません。今後、開示すべきことが生じた場合には、速やかにお知らせいたします。
【出典】https://ssl4.eir-parts.net/doc/4324/tdnet/1920687/00.pdf
これって、電通の発表ではないけど、本社ビル売却を検討しているのは事実だということなので、報道の内容に間違いはないってことなので、なぜ、こんなリリースを出したのでしょうね?深読みすれば、それだけ経営状態が深刻なので株価への影響を怖れて、慌てて行ったことのように思えます。
本社ビル売却も検討しなければいけないほど、業績が悪化していることは間違いないということだと思います。
業績を確認すると電通も2年連続の大きな赤字でした。
大手広告会社の電通グループは、今月までの1年間の決算で237億円の最終赤字になるという見通しを発表しました。赤字は2年連続で、海外を中心に大幅な人員削減を行うことになりました。
これはつまり、電通のメイン事業である、広告事業の収入が相当落ちているということなのでしょう。ネットでの記事を見ていると、テレビ局の中には2020年4月~10月の広告収入が80%減というところもあるという内容もありました。
テレビ局の広告収入が減れば高額ギャラの芸能人を使うことはできなくなるので、視聴率は取れていても採算が合わないので終了せざる得ないということになります。
極力、お金がかからないように番組を制作しないといけないので芸能人へのオファーも自然と減ります。
テレビでの仕事が減ったので、芸能人がYoutubeに参入するという流れになっている。
何となくイメージはできていましたが、今回の電通の報道でより明確になった感じです。
広告代理店の仕事って?
ところで、広告代理店ってどんな仕事をしているか知っていますか?
広告代理店という言葉自体は、よく出てきますが、実際に広告代理店を利用するといったことは普通はないので、実際に、どんなことをしているのか?というのは知らない人が多いのではないでしょうか?
もしも、貴方に会社のCMを作るようにという指示が出たらどうしますか?
- どんな広告を作ればいいのか?
- どんな広告媒体を使うのか?
- どうやって広告を作るのか?
- どこをターゲットにするのか?
- タレントにCM出演を依頼する場合は?
?(クエスチョン)ばかりが頭に浮かんできませんか?
そんな時に、会社の要求を具体的に形にしてくれるのが広告代理店です。
名前の通り、広告を出したい人の代わって、企画・制作・広告媒体との交渉といったことを全て引き受けて広告を作り、配信まで面倒を見てくれる会社のことです。
広告代理店は大きく2種類の職種に分かれます。
営業とプランナーです。
営業はクライアントから広告の仕事を受けてきてクライアントの窓口となります。
プランナーは、営業が受けて来た仕事を実際に成果物にするのが仕事です。
クライアントの広告戦略全体を設計する「戦略プランナー」
メディアごとに企画・制作を行うためのそれぞれ専門のプランナーがいます。
- 「TV担当」
- 「出版物担当」
- 「デジタルメディア担当」
- 「イベント担当プランナー」
TVの制作担当だと芸能人との打ち合わせも多くなるので出会いは増えますよね。
しかし、代表作と言えるCMをまず作らないと大きなCMの話は来ませんので、まずは土台作りが大切だということです。
広告代理店に仕事が来なければ、テレビ局にも当然、CMの依頼は来ませんので、テレビ局にすれば、視聴者よりクライアント(広告主)が勿論大切な顧客です。しかし、広告主は広告代理店に依頼するので、広告代理店から話が来なければ、意味がないので広告代理店との繋がりというのは重要なので、広告代理店が一番の顧客だと言えるかもしれませんね。
電通は広告代理店ではなくなっている
電通といえば、2020年に国の持続化給付金支援事業において、社団法人「サービスデザイン推進協議会」が受託した事業費769億円の97%、749億円を電通に再委託し、電通はさらに自分の子会社に再々委託していた問題があります。
サービスデザイン推進協議会というのは、電通・パソナが設立した名前だけのような存在です。「マイナポイント事業」も電通は同じ手口で受注しています。官庁と電通の癒着は明らかです。
なぜ、広告代理店である、電通が持続化給付金事業、マイナポイント事業といったものを受注できるのか?という疑問が生じるはずです。
電通のホームページで事業内容を確認すると以下のように記載されています。
- 「Integrated Communication Design」を事業領域としたコミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供、経営・事業コンサルティングなど
【出典】会社概要 - 企業情報 - 電通
「Integrated Communication Design」というのは、以下のように書かれてあります。
- コミュニケーション領域を中核にして、広告主やメディア・コンテンツ企業をはじめとする顧客の経営課題・事業課題の解決から、マーケティング・コミュニケーションの実施まで、その全てを事業領域とし、日本のみならずグローバル市場において、ベストな総合ソリューションを提供する。
電通のIR情報を見ていると、収益という項目の中で、主要なサービスが書かれてあり、広告業の次に収益を上げている項目として「情報サービス業」という項目があります。
収益は570億円です。(第3四半期連結累計期間2019年1月1日~2019年9月30日)
この中に、官庁からの受注も含まれているのでしょう。
しかし!
経営が苦しいのは電通だけではありません。
- 音楽事業大手のエイベックスは昨年12月、本社が入る東京・南青山のエイベックスビルを売却すると発表
- アパレル大手の三陽商会は昨年、東京・銀座の旗艦店ビルを売却
エイベックスは業績悪化によるものです。
テレビの仕事が減り、コンサートなどのイベントも思うように開催できないので、業績が良くなるはずはありません。
そして、三陽商会も新型コロナウイルスの感染拡大による減収からキャッシュの確保優先したことからです。
共に業績が悪化しているためです。
報道ではテレワークで出社率が2割に減ったとありますが、だったら売却ではなく、空いたフロアを貸し出すという方法もあるはずです。しかし売却ということは三陽商会と同様にキャッシュを確保したいということなのでしょう。
緊急事態宣言で不要な外出を自粛するように言われている時に宿泊を伴う旅行などを行うのは旅行を勧めていることになるので、広告を出す側のイメージが悪くなります。
イベントも観客を会場の収容人数の半分以下に抑えないといけないので、これまた代々多岐な広告はだせません。
このような状態では、今年も、好転するような要素は見当たりません。
今年1年で新型コロナが収束する保証もありません。
経営者とすれば、現金、確保が最優先になるのは仕方ないことです。
政府は、旅行業・飲食業ばかりに注目しているようですが、税金という面でいうと、会社員からの所得税というのは税金面では安定収入だったはずです。
企業経営が悪くなれば、従業員を雇えなくなるので、収入に見合った組織に構築しなおすことになります。リストラ、早期退職といったことが増えれば、更にお金は市場に流れなくなります。
旅行業・飲食業が国の支援で生き残ったとしても、利用する側に、旅行を行ったり、外食を行うだけの収入がなくなれば、意味がないんです。
正直、「電通」のような国民の税金を搾取している企業は、消えてしまえば良いと思っていますが、消えると、電通に勤めていた人達だけでなく、関わっていた人達の生活に影響が出ます。
新型コロナで医療現場が混乱していますが、報道されないだけで今後、国民の生活にも大きな混乱が起きようとしているのです。