ふと感じた疑問
当たり前すぎて、これまで考えたこともなかったことになる。
氷はなぜ水に浮くのか?
氷は水を冷やして凍らせて固めただけのもの。
先に氷を入れて水を入れたのだから、質量が同じなら先にコップに入れた方が底に残るのが当然なのでは?
それでも浮いてくるのは、氷の方が軽いからということになる。
なぜ、疑問なのかが理解できないという人もいるかもしれないので、以下にその理由を先に説明してみたい。
熱気球はなぜ上昇する?
熱気球はなぜ、上昇していくのだろうか?
ガスバーナーの推進力でロケットのように上昇していくのだろうか?
いや、それなら、ガスバーナーの炎は上向きではなく、ロケットと同じで下向きになるはず。
空気は濃い状態が高気圧、空気が薄い状態が低気圧。
高い山に登ると空気が薄いので、呼吸が苦しくなる。
水と同じで空気にも重さがあり、水面近くでは重さは殆ど感じないが水深1000mのところだと水の重さで押しつぶされてしまうくらいの水の圧力が加わる。
空気も同じで上に行くほど、空気が薄い(空気の分子が少ない)ので圧力は弱くなる。
地上だと普通の状態だったポテトチップスの袋が、高い山の山頂だと、パンパンになっているのも、気圧の高い状態で袋詰めされた空気が、高い山の山頂は空気が薄く気圧が低いので袋の中の方が気圧が高くなり、袋の中の圧力の方が強くなり袋が膨らむことになる。
ビーチボール
これだと、まだわかりにくいかもしれないので、ビーチボールでも説明してみたい。
ビーチボールに空気を入れると、ビーチボールは膨らむ。
これは、ビーチボール内の空気の量が増えるので空気の圧力が強まりビーチボールは膨らもうとする。
しかし、ビーチボールの外側からの気圧でビーチボールは常に押されている。
更にビーチボール内のちょっとした隙間から空気が抜けていくことで、ビーチボール内の空気の圧力が弱まっていき、ビーチボールは徐々に小さくなる。
ビーチボールに穴が開くと勢いよく空気が出てくるのは、ビーチボールの内側の圧力の方が高いためで、同じ圧力になると空気の流れは止まる。
気圧を簡単にイメージしようとすると、下図のような感じではないだろうか?
空気の重さは、温度20℃/湿度65%の状態で1リットル当たり1.2g。
1㎠当たりに1Kgの力が加わった時が1気圧。
冷たい空気は下へ、温かい空気は上へ
寒い時にエアコンを暖房運転にすると、上は温かいのに床は冷たいという経験をしたことがあると思う。
これは、空気は温めることで軽くなり、冷やすと重くなるという性質があるからだ。
これは、空気自体の重さが変わるわけではなくて、空気の重さはそのままで体積だけが増えたり、減ったりする。
つまり、温めると密度が小さくなり、冷やすと密度が大きくなる。
密度が大きい物の方が重く、小さい物の方が軽くなる。
つまり、熱すると密度が小さくなるので軽くなる、冷やすと密度が大きくなるので重くなる。
なぜ、氷は水に浮くのだろう?
水を冷やすと密度が大きくなるので、重くなるはず。
しかし、氷は水に浮いてしまう。
実際、氷の単位密度(1㎤当たりの重さ)は、0.917g/㎤で、水よりも小さい。
空気、海水、水、鉄の密度は、以下のようになる。
- 空気:1.0g/㎤
- 海水:1.025g/㎤
- 水:0.997g/㎤
- 鉄:7.87g/㎤
なんと、氷は、空気、海水、水、鉄のどれよりも軽かった。
水は4℃までは冷やせば冷やすほど、密度は大きくなっていくが、それ以上、低くなると、今度は、密度が小さくなっていく。
これは、水素結合が4℃で切れてしまい、粒子が動き回れるようになるが、4℃未満だと水素結合により粒子が動き回ることができない。
このため、水は4℃の状態が一番体積が小さくなる。
4度未満からは体積が大きくなるため単位密度も大きくなるので水よりも軽くなり、浮いてしまうことになる。
知らないがために、疑問に感じないということが、世の中には、まだまだたくさん、あるのだろう。