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マウスクリックは3回まで

松屋の券売機は使いにく過ぎる?

ツイッター上での「松屋の券売機のUI(ユーザーインタフェース)がどんどん悪化している」という投稿が注目を集めていて、「わかりにくい」「使いにくい」といった共感の声が数多く寄せられているとか。

まずは店内で食べるかお弁当(テイクアウト)かを選び、牛めし、カレー、定食などのカテゴリーを選択。小盛、並盛、大盛などのサイズを選び、生野菜や生玉子をつけるなら探して選択して「カートに追加」して、「注文する」を押し、dポイントカードを持っているかの確認を経て、現金かクレジットカードかQRコードかといった決済方法への選択へ進んでいく……といった手順で支払いまで済ませると食券を手に入れられる。

【出典】松屋の券売機「使いにくすぎる」の声に運営元「見直しを実施」 牛丼愛好家・森永卓郎氏は「私は吉野家の注文の仕方が好き」 | マネーポストWEB

確かに、松屋の券売機は、なかなか食べたいものに到達できなくて、結局、途中で表示される新商品などを選んでしまうことが多かった。

特に混んでいる時は後ろの人のことを考えてしまい、やり直したりする時間が取りにくくいので、食べたいモノに到達できずに別のものを注文することがあった。

それが、今は、使いにくさが更に進化を遂げているようだ。

松屋よりなか卯

しかし、使いにくさで言えば、個人的には「なか卯」が一番だと思う。

以前よりは、かなり使いやすくなったが、相変わらず、セットメニューを選ぶ時に、どのボタンをタッチすれば良いのかが、わかりにくい。

なか卯の初期メニューには、オススメと新商品があって、基本カテゴリーの3種、親子丼各種と、丼・カレー、うどん・そばのボタンが表示される。

ここには、なぜか、セットメニューが、どこにも表示されない。

たとえば、親子丼とミニうどんのセットを注文したいと思った時に、どのボタンを押せば良いのだろうか?と悩んでしまう。

仕方なく、「うどん・そば」をタッチ→「京風うどん」をタッチすると・・・

うどんのメニューが表示される。

しかし、ここにもセットメニューが表示されない・・・

なか卯では、セットメニューは注文できなくなったのか・・・と諦めて、「きつねうどん」をタッチすると・・・

ようやく、単品なのか?コンビなのか?セットなのか?の指定ができるようになった。

最初に何を食べたいのかを指定する時に、セットメニューがないのが、おかしい。

親子丼各種と丼・カレーが別になっているが、これは一緒にできないのだろうか?

正直、こんなに使いにくい券売機なら、昔ながらのボタン式の券売機の方が、わかりやすいと思う。

勘違いしている

まぁ、店側にすれば、新商品が頻繁に登場する場合は、ボタンレイアウトも頻繁に変えないといけないし、電子マネーやクレジットカードにも対応しないといけないので、従来の自販機式のものでは対応が大変なのだろう。

だったら、画面遷移(がめんせんい)が格段に減る、ボタン式のようなレイアウトにすれば、操作性は格段に向上するのではないだろうか?

UIを考える際に、1画面当たりの選択肢を少なくするというのが操作性を上げるためには重要だという勘違いをしている人がいる。

上手のように1画面に「ゴチャゴチャ」とメニューを配置すると探すのに時間がかかると思っているのだろう。

しかし、一々、画面が変わる方がわかりにくいのは、周知のことなので、画面は極力変えないように、カテゴリを選んでも、カテゴリの部分は残して、カテゴリ内のメニューのみを変えるような下図のようなレイアウトにするべきだと思う。

こうすることで、うどん・そばのメニューも見てみたいと思った時に、「うどん・そば」をタッチすることで、直ぐにメニューを確認することができる。

マウスのクリックは3回まで

自分が、ある会社のシステムに関わった時に、その会社の社長さんが、「マウスのクリックは3回まで」という要求をされた。

どういうことかというと、ソフトウェアの機能を実行する際には、マウスのクリックは3回以下までで呼び出せるようにというもの。

この会社は、社長のワンマン経営で、社長の言われることは「絶対」だった。

社長がシステムを使用することはないし、パソコンを使用することさえないということだった。

そんな社長がなぜ、マウス操作は3回までという制限をかけるのだろうか?

確かにEXCELの操作は、大体、マウスを3回クリックするだけで実行できるものが多い。

まてよ?ファイルを開くときは?

初期フォルダーは自動で選択するようにしたとしても、最低でも4回クリックすることになる・・・

これは意外と難しい・・・

そこで、社長にどうして、3回なのかを聞いてみた。

すると、現場でパソコンで作業をしている人を見ていた時に、同じ操作を何度も繰り返していたが、それが無駄に見えたということだった。

パソコンは、プログラムを作ることで自動で色々な処理を行ってくれるものなのに、なぜ、作業者が何度も同じ操作を繰り返さないといけないのか?

それに、マウスを動かす作業に規則性がない。

製造業では、1秒の無駄な作業を見つけて改善していくもの。

1秒であっても60回繰り返せば、1分になる。

これを毎日、繰り返せば、1か月20日として20分、1年繰り返せば、240分、つまり4時間、1日の半分になる。

無駄なマウスの動きを減らすには、マウスの操作回数を減らす。

そのためには、クリックする回数を減らす。

パソコン作業を見ていると、多くが、3回クリックして操作を完了していたので、3回以下だという。

本当は1回にして欲しいくらいだと言われた。

また、こんなことも言われた。

パソコンの処理時間は一瞬なのに対して、パソコンで作業をしている人の作業時間が長すぎるというのだ。

本来、パソコンが行うべき操作を作業者が行っているのではないか?と言われた。

その時、なるほどなぁと思ったが、現実問題としてマウスクリックが3回を超えることもあり得るし、作業者の作業の方が長くなってしまうこともある。

結局、よく使用する操作は、ワンタッチボタンを画面に追加したり、ファンクションキーなどを押すだけで行えるようにするようにした。

制限をかける意味

このように「作業の無駄」という制限がかかったことで、無駄な機能がないか?機能を集約できないか?作業者が行う必要がある操作なのか?といった感じで仕様を見直すことになった。

この時に、これまで当たり前と考えていたことが、当たり前ではないことに気付かされた。

しっかりとした理由を述べられて、納得できる、制限というのは従うしかない。

すると、他のことでも、この社長なら「なぜそうしたのか?」ということを問うてくるのではないか?と考えるので、自然と「なぜ?」という言葉を繰り返していくことになった。

社長はシステムを使うわけでも、システムに詳しいわけでもなかった。

それでも、マウスのクリックは3回までという制限をかけたことにより、あらゆることに対して「なぜ?」を繰り返すようになった。

あれこれ、制限をかける人だと前に進まなくなってしまうが、それが、たった一つで、ある程度、自由に動き回れる程度の制限という点が絶妙だった。

松屋にしても、なか卯にしても、色々と考えた結果、出来上がったのが今の発券機だと思う。

それでも、出来上がったものは、使いにくいと言われるものになったのは、こっちの方向だけは絶対に向かってはいけないという制限がなかったからではないだろうか?

何かを作る時に制限をかけることで自由な発想が奪われて、画期的なものは作れないかもしれない。

しかし、向かってはいけない方向というのはあると思う。

向かってはいけない方向を見極めるのはリーダーの役割なので、制限をかけるのもリーダーの役割と言える。

しっかりと、何に制限をかけるのか?を見極めることができなければ、上手くいくか、いかないかは運次第ということになると思う。