2023年5月5日午前4時40分ごろ
東京都千代田区永田町2丁目の首相官邸敷地内西門にある守衛所から発砲音が聞こえた。近くにいた同僚が確認したところ、トイレ個室内で警視庁第4機動隊に所属する男性巡査(25歳)が頭部付近から血を流して倒れているのを見つけた。
現場には巡査のものとみられる貸与拳銃が落ちていた。
遺書は見つかっていない。
巡査は首相官邸の警備に当たっており、当時は休憩中だった。
現場の守衛所は岸田文雄首相の執務室が入る建物とは別の建物。
首相は外遊中で官邸にはいなかった。
警視庁警備一課の高山祐輔課長は、「拳銃による職員の死亡事案が発生したことは誠に遺憾だ。再発防止に努めていく」とコメントしている。
2023年1月27日の午前3時20分ごろ
東京都千代田区永田町1丁目にあるビルの個室トイレ内で、警視庁機動隊員の男性巡査部長(39歳)が頭から血を流している状態で見つかった。
トイレからの帰りが遅いのを不審に思った同僚が発見した。
現場には、巡査部長が所持していたものとみられる貸与拳銃が落ちていた。
遺書などは見つかっていない。
巡査部長はこのビルの近くで勤務中だった。
現場付近に自民党本部などがあり、警備する機動隊員は、このビルのトイレを使っていた。
警視庁警備1課の高山祐輔課長は「誠に遺憾で、再発防止に努める」とコメントしている。
似ている二つの報道
二つの報道は、実によく似た内容だ。
どちらも、自殺だと判断しているようだが、本当に事件性は、ないのだろうか?
休憩中といっても勤務時間中であることに違いはない。
わざわざ、勤務時間中を選んだのはなぜだろうか?
勤務時間中なら拳銃を所持できるから?
仮にそうだとしても理由は?
首相官邸内のトイレなら一般の人が出入りすることはないので拳銃を持ち去られる可能性は、ほぼないだろうが、自民党本部の隣のビルのトイレだと一般人が銃声を聞いて駆け付けて拳銃を見つけたら、持ち去ってしまう可能性がある。
そうなれば、持ち去られた拳銃が悪用されて「誠に遺憾で、再発防止に努める」では済まない話になる。
警察官であれば、拳銃の取り扱いは十分に指導を受けているはずなので、死を覚悟している警官でも、信念を持って警官の職に就いている人であれば想定の範囲内のはず。
- 組織や上司等に対する不満?
- 政治的なメッセージ?
以前、溜池山王に通っていた頃、首相官邸の西門前の通りを歩いていると、厳しい顔をした警察官がジャバラ型パリケードの前に立っていたり、首相官邸の(裏側)を警官が歩いていたりした。
海外からの要人などが来日すると、パリケードの数が増えて普段普通に通れる道路まで封鎖されて、出入りをチェックされる。
首相官邸の裏側は夜中、人通りが殆どないので、歩くには怖い場所になる。
しかし、警官があちこちで警備にあたってくれているので、安心感があった。
地下からホテルに向かう選択肢もあったが、地下には警官がいないので、あえて地上を歩いて向かっていたことを思い出した。
今、考えれば警備をしている警察官に「お疲れ様です。いつもありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えるべきだった?と考えてしまった。
しかし、自分の警護をしてくれているわけではないので、逆に気分を害してしまうのでは?という意見もあるかもしれない。
自分が警察官の立場だった場合に、「お疲れ様です。いつもありがとうございます」と声をかけられて嫌な気分なんてしない。
むしろ嬉しく思う。
考えてみれば、自分は数日の話で、しかも短時間歩くだけのこと。
警察官の場合は、一晩中の警備が、何回も続くのだろう。
しかも、何か事件が起きた場合、命を失うかもしれない。
自分が考えている以上に警備のプレッシャーは強いと思う。
他の選択肢はなかったのか?
だったら、警察をやめて、他の職に就くという選択肢もあるはず。
プレッシャーに耐えられないからという理由だけで最後の手段である命を絶つという選択に到達するのは腑に落ちない。
つまり、他に選択肢がない状態に追い込まれたということだと思う。
警察官を辞めたとしても、解決しない何かがあるということだ。
考えられることは・・・
- 知ってはいけないことを知らされたか、知ってしまった。
- 従いたくないことを強要される。
警察内部に関することなのか?自民党内部に関することなのか?それとも全く別のことなのか?
他にも、なかったのか、検索してみた。
2023年1月16日午前6時50分頃
板橋区の高島平警察署の男性の巡査部長(40歳)が当直勤務中に5階にある男性用のトイレで頭から血を流して倒れているのが見つかった。
巡査部長はトイレの個室で倒れていて、近くには拳銃があった。
遺書は見つかっていない
東京以外で、福島県でも同様の報道がされていた。
2023年4月11日の午前5時5分頃
福島警察署交通一課係長の男性警部補(45歳)が当直勤務中に、署内の男子トイレの施錠されている個室で頭から血を流している状態で発見された。
発見時、近くに拳銃が転がっていた。
警部補は今春の異動で県警本部から福島署に異動、同署では交通安全活動などを担当していた。
遺書は見つかっていない。
2023年3月20日の午前7時45分頃
福島県二本松市若宮2丁目の二本松署の女子更衣室で、女性巡査長(34歳)が頭から血を流して倒れているのを署員が見つけた。 左手に拳銃を握っていた。
遺書は見つかっていない。
遺書が見つかっていない
新潟県で1999年のデータを元に計算した結果、遺書が書かれた割合は、34.8%ということだった。
20年以上前の結果なので、現在に当てはまるとは言えない。
今は、10代の場合には遺書を残すといったことが、ほぼないということなので、更に少なくなっていることが予想される。
このため、遺書が残っていない=事件性があると決めつけることはできない。
イジメ・パワハラ
警察官 イジメ パワハラ でニュース検索を行うと以下のような記事が出てきた。
2016年3月 神奈川県警泉警察署(パワハラ行為認定)
【出典】パワハラで精神不安定になった新人警察官への拳銃貸与は違法 横浜地裁が神奈川県に5400万円支払い命令:MyNewsJapan
【出典】兵庫県警機動隊員自殺裁判 パワハラ行為は認定し賠償命令|NHK 関西のニュース
2015年10月の兵庫県警では2人の機動隊員が自ら命を絶った。
2人共、遺書を残していた。
1人の遺書には以下のような内容が書かれてあった。
- これ以上、機動隊での勤務は、たえられない
- 先輩の嫌がらせや、上司からのウソつき呼ばわりには精神的に限界です。
もう1人は、家族あてと先輩機動隊員宛の遺書が残されていた。
家族あての遺書には以下のようなことが書かれていた。
- 原因はうつを相談できなかった自分にあります。
もう一つの機動隊の先輩隊員への名指しの遺書は以下のような内容だった。
- あなたの思い描いた通りになってよかったですね。もう、これ以上、あなたに関わることはないですよ。
兵庫県警は、内部調査を実施したが、結果をまとめた資料は2か月かかって4ページ。
しかも、大半が黒で塗りつぶされていた。
その上、名指しで遺書を書かれた先輩隊員が行った対応は「パワハラとまでは言えない。指導の反中だった」と遺族に口頭で説明したという。
遺族の前に県警という組織の壁が立ちふさがった。
遺族は、命を絶ったのは、パワハラに原因があるとして、兵庫県警を提訴したが、県警側は全面的に争う姿勢を示した。
組織ぐるみで、パワハラはなかったことにしようとした。
裁判の結果、パワハラ行為が認められて、兵庫県警に対し賠償命令が出された。
遺書があったのは、兵庫県警の事案だけだったが、神奈川県警の事案でも遺書はなかったものの、パワハラ行為が認定されている。
パワハラと認定された兵庫県警、神奈川県警の事案から考えると、組織としてはパワハラとは言えないと判断していることが、裁判になれば、パワハラとなっていることになる。
単なる認識のズレなのか、意識的に認めようとしていないのかは、わからないが、少なくとも2県の警察でパワハラが行われていたのは間違いない。
福島署の場合は、異動直後に起きた事案ということから、もしかすると職場に馴染めなかったからということも考えられる。
そして警察署内部でパワハラのようなことは、当たり前になっているのかもしれない。
精神的に強くならないと
しかし、警察官を志すのであれば、精神的にもっと強くならないといけないような気がする。
最近は、自分が明らかに悪くても、言い方があるだろう?みたいに叱る方に非があるかのように思ってしまう人が多い。
そういう態度が、叱る方には反省していないように感じられて、必要以上に強く叱責する場合もあると思う。
そもそも、ガラスのハートなので、ちょっとしたことで直ぐに心が折れてしまうというのは、犯罪者を相手にする警察官としてはどうなのだろうか?と思ってしまう。
ハラスメントという言葉が日本には存在しなかった、厳しい時代の警察で育ってきた人からすると、今の若い人というのは、警察官としては、ひ弱に見えてしまうのではないだろうか?
だからといって、何を言っても、何をしても良いということではないし、人が二人も亡くなっているのに、事実を隠そうという姿勢は許されるものではない。
兵庫県警が事実を隠そうとしたことに対しては苛立ちを感じたし、許せない行為だとも思った。
しかし、亡くなられた方には申し訳ないが、本当に命を絶つという選択しかなかったのだろうか?
死ぬ気になれば何でもできる。
パワハラを行ってきた人に対してのみ怒りを感じているようだが、自分自身に落ち度はなかったのか?
自分が改善できる点が、まだ残っていたように思えてならない。