NHKが変わった企画のドキュメンタリー番組
なんとも変わった番組を制作したものだ。
タイトルは、「ヒロイン誕生!ドラマチックなオンナたち」
この番組、時代を切り開いた女性たちの生き様をドキュメントとドラマで伝えるというもの。
最初、ただのドラマなのかと思っていたが、ドラマで「ヒロイン」を演じる若手女優が自分が演じる「ヒロイン」について取材を行なうところも含まれていた。そして取材の中で重要だと感じたエピソードをドラマにするというもの。
視聴者とすればどんな人か知ってドラマを見るのと、知らないで見るのとでは違ってくるので演じる人が実際に取材するところを見せていき、「ヒロイン」がどんな人だったのかを共有した上で、ドラマとして見てもらう。
凄く面白い発想だと思った。
第一回は、ZARDの坂井泉水。
「坂井泉水」という名前は知らない人が多いかもしれないが、「負けないで」と言えば、日本中の多くの人が、知っていると答えてくれるのではないだろうか?
ましてや、「坂井泉水」がどんな人だったのか?と聞かれて答えられる人は更に少ないと思うので、もっとこの人のことを知って欲しいという場合には、このような番組は、必要だと思う。
河村花
そんな「坂井泉水」を演じたのは「河村花」
名前は聞いたことがあるが、どんな作品に出演していたのかが思い出せないので調べてみた。
坂井泉水が蒲池幸子で芸能活動を行っていた頃に所属していた「スターダストプロモーション」の女優。
身長が坂井泉水と同じなので違和感もない。
愛知県の合唱団に6〜16歳まで所属していたということなので、唄も期待できそう。
事務所のホームページにプロモーションビデオのようなものが公開されていたが、まだ未熟ではあるが、つい見たくなる魅力を持った、可能性を感じる人だった。
どんな番組なのかと見てみた。
「河村花」という女優、写真より映像、映像より実物の方が魅力的だと思う。
人には写真や映像より実物の方が格段に魅力的な人がいる。
事務所のホームページの画像は、きっとデビュー当時の古い宣材写真なので、今回、番組で見た彼女とは違った印象を受けた。
黙っている映像より、話していた時の方が輝いている。
坂井泉水も同じようなタイプで、カメラを向けられると緊張してしまい、表情まで緊張してしまう。
それだけではなく、歌にまで影響が出てしまうので、カメラというか視線を感じると実力が出せないタイプと言える。
河村花と坂井泉水はタイプは全く違うが、どことなく似ている感じがした。
例えるなら、折り紙の犬と、実物の犬という表現になる。
坂井泉水の言葉に対する想い
この番組、面白い女優を起用したと思った。
番組の大半は、坂井泉水、ゆかりの人達に河村花が取材するという内容で、最後の5分程度が短いドラマになっていた。
最近、坂井の事務所は坂井直筆の歌詞を作るために、日常生活で閃いたり気になった言葉を記録したメモ紙(コピー)をテレビやイベントで公開するようになった。
その中に、エステの予約の電話番号や青山劇場のチケット予約の電話番号等が一緒に書かれているので、本当にメモ紙に、普通に書いていたことがわかる。
「青山劇場予約の」までは読み取れたが、あとの文字が読み取れなかったが、「レター」のように見えた。
青山劇場は1985年に、都内の大型児童館「こどもの城」に青山円形劇場と共に併設して作られた劇場施設。
しかし老朽化に加えて予算が取れなくなったことを理由に2015年1月30日で閉館となった。
青山劇場には、一度だけ舞台を見に行ったことがある。
それ以来、青山劇場の存在が気になるようになり、渋谷から六本木に向かうときの車内から青山劇場を見てきた。
ある時、青山劇場の様子が変わっていたので、気になりスマホで調べて、閉館になったことを知った。
劇場には一度しか足を運んだことはなかったが、妙な思い入れのある存在だった。
河村花は、コピーの言葉を読んでいて、「はじめは、坂井さんの日常や気持ちの動きが見えた気がして、うれしくなっていました」と話していた。
しかし、コピーではなく、直筆メモを見た時、早々に泣きそうな顔で「ありがとうございます」と言って見るのを止めた。
坂井のマネージャーだった女性が、「これで、いいんですか?」と声をかけると、「はい」と答えた。
そして、暫くして、以下のように説明していた。
- ボールペンの筆圧の跡、メモ用紙ですらない紙、当たり前だけど、この時、坂井さんが存在していて、毎日を精一杯生きながら、いつも言葉と戦っていた。わたしは、この時まともに、その直筆のメモをまともに見ることができませんでした。最初に坂井泉水さんを演じて頂きますって言われた時と・・・覚悟じゃないけど・・・伝えたいなと思いました。坂井泉水さんの・・・世間の人が知らない魅力的なところを本当にたくさん、教えてもらったし、それを見て、感じて、聞いて、思って・・・簡単なことじゃないなと思っています。今。難しい・・・知ってしまったから・・・怖いです、逆に。
彼女は、言葉にならない何かを必死に伝えようとしていた。
きっと、直筆のメモを見た瞬間に、メモに書かれた文字の筆圧、紙の質感から坂井の存在をリアルに感じてしまったのかもしれない。
番組が始まるときに、ZARDの坂井泉水を演じると知っても「楽しみです!今はまだ怖さは感じてないですね」と笑顔で答えていたが、今は、その時とは対照的な顔をしていた。
これで、取材は全て終わった。
ドラマは8分程度の内容で、これだけの時間で坂井泉水のことを伝えようというのは無理があると思うので、ドラマの意味が無くなってしまっていたのが残念だった。
30分ではなく、せめて1時間、そして後半は全てドラマにして欲しかったように思う。