ガソリン価格の高騰
去年からガソリンが高騰し、金沢市でも、160円/リットルより安くなることが無くなってきた。
そんなことから、2022年1月27日から国が石油元売り会社へ1リットルあたり3.4円の補助金を支給すると発表していた。
しかし、2月に入ってから2週間程度、経過しているが、3.4円程度安くなったかといえば、価格は160円/リットルのままだ。
いや、むしろ価格は上昇している。
ガソリン業界は好調なんだろうなぁと思っていたが、どうやらそうでもないようだ。
ガソリン車からEV車へ
環境面から、CO2排出を削減しようと、自動車もガソリン車からEV(Electric Vehicle)こと電気自動車に移行する風潮が強くなってきた。
EVには消極的だった、トヨタ自動車も本格的に参入することを発表した。
また、テスラのEVが日本でも好調のようだ。
EV車の普及率が高い都道府県は?
EVの普及率が一番高いのは、充電ステーション等が一番充実していそうな東京都だと思っていたが、日本経済新聞によれば、人口当たりの普及台数だと35府県が東京都を上回っているそうだ。
【出典】EVシフト、地方が先行 岐阜・愛知は東京の2倍普及: 日本経済新聞
なぜ、東京より地方の方が普及するのだろうか?
東京は駐車場を確保するのが経済的な負担になるということから自動車を所有していない人が多いことが原因かと思っていた。
しかし、地方でEVが増えているのは地方の事情があるようだ。
地方ではガソリンスタンドが減少
過疎化に加えて、ハイブリッド自動車の普及で燃費が向上したことで需要が減ったことでガソリンスタンドが減少しているという。
このため、最寄りのガソリンスタンドに行くのに20分~30分要する場合もあるそうだ。
また、地方は駐車場が自己所有地の場合が多いので充電設備を自宅に設置することができるが、都会だと自己所有の土地ではないので、充電ステーションを利用することになる。
やはり自宅で充電できないというのは不便かつストレスになると思うので、都会でEV車が普及しないのは、駐車場確保に加えて充電スタンドを自宅に確保できないという事情が大きいようだ。
ENEOSがデリバリー?
ENEOSがモスバーガーやサイゼリアの自動配送の実験を始めたという記事を見つけた。
自動宅配ロボットを佃・月島・勝どきエリアのガソリンスタンドに配置してを遠隔監視により半径1Km圏内で運行を行い、デリバリー事業の採算性を検証するというもの。
専用アプリから注文すると、ロボットが店舗から商品をピックアップし、注文者が居住するマンションのエントランス付近まで宅配する。
配送料は330円で営業時間は午前11時~午後8時。
全国にあるENEOSのサービスステーションを、ロボットの充電・運用・メンテナンス拠点として活用し、自動走行ロボットの輸送インフラの構築を目指し、自動宅配ロボットだけでなくドローンや自転車なども配備したいということ。
【出典】ENEOSが「モス」や「サイゼ」を自動配送 1万3000カ所の給油所活用で目指す姿とは:自動走行ロボットの輸送インフラを構築(1/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
ENEOSは電力自由化ということから「ENEOSでんき」も既に始めている。
脱炭素化の動きは今後、どんどん広がっていくことが予想されるので、石油から電気への転換は避けられない可能性が高い。
そうすると、ENEOSは今から脱石油後の次の柱となる事業を見つけないといけないのは、わかるが、エネルギーの会社がロボットによるデリバリーというのは、これまでの強みを生かすことになるのだろうか?
何より、大きな利益に繋がるようには思えない。
むしろ、火力、原子力に変わる持続可能な電気を作り出すエネルギーを考えた方が良いのではないかと思う。
電気自動車の課題
自分としては電気自動車の課題は、やはりバッテリーで充電時間とリサイクルだと思う。
現在、急速充電で30分だと100km程度しか走れない。
ハイブリッド車なら5分程度の給油で満タンになる。
ざっと20km/ℓの燃費、小型車だと燃料タンクは約40ℓ。
すると5分の給油で800km走れる計算になる。
充電時間は長くても10分にしたいところだ。
更にバッテリーの原材料であるリチウム等が現在でも不足している。
まだ、ガソリン車からEV車への移行は始まったばかりなので、完全に移行となれば、価格の更なる高騰が予想される。
また、バッテリーも7〜10年で交換が必要になる。
しかし、まだ、リサイクル、リユースの技術が確立されていないので、交換したバッテリーは廃棄物になってしまう。
リサイクルが、できなければ、次はバッテリーの廃棄による環境問題が生じる。
水素エンジンは?
そういう意味ではリチウムやコバルトを使うような電池ではなく、「水素エンジン」ではないだろうか?
水素エンジンにはいくつかの課題がある。
一つ目は、水素ガスでは、現在の技術では大きな動力を作れない。
二つ目は、水素タンクに充填するために、逆にCO2排出量を増やしてしまう可能性
もう一つが水素スタンドを普及させることになる。
水素スタンド設置には、以下のような基準がある。
- 最低約150坪の土地が必要になる。
- ビルを建てることができない。
元素としてもっとも小さく軽い水素が仮に漏れた場合、大気で薄める必要があるので、屋根があってはいけない。
普及する保証がない、水素自動車の水素スタンドの設置に対して150坪以上の土地を差し出してくれる地主は少ないと思う。
鶏が先か?卵が先か?という問題にぶち当たる
そんなことから、現段階で一番、現実的なのがEV車ということになる。
原材料・充電時間・リサイクル
電気自動車の課題は「充電時間」に「リサイクル」更には「原材料」の不足も予想される。
充電が増えることになれば電気の使用量も増える。
火力発電が減っていけば、変わりが期待されていたのは原子力発電。
しかし、事故が起きた時の危険性や廃棄物の処分に困ることから脱原発が叫ばれている。
風力、太陽光発電は費用がかかる割に得られる電力が少ないので普及には時間がかかる。
そこへ電力使用が増える要素のある電気自動車が増えていったら、どうすれば良いのだろうか?
現在、その答えは出ておらず、まだ時間があるので何とかなると楽観的に考えているようだ。
答えが出ないまま、電気自動車が増え続けていくことは、本当に環境破壊には繋がらない、持続可能な社会を実現することになるのだろうか?
ガソリンスタンドはどうなっていく?
今後、ガソリンスタンドは自動車の医者的な役割を担っていくことになるのではないかと思う。
自動車販売が、近年、店舗を持たず、オンライン販売に切り替わりつつある。
すると、自動車の整備や試乗はどうするのか?という問題が出てくる。
修理・整備・車検、保険といったことは現在もガソリンスタンドまたは併設しているメンテナンス工場で行っているところもある。
ENEOSが試験的に行っている自動配送というのも事業の一つになるかもしれない。
車の町医者的な存在になっていくのではないかと考えている。
一つのエネルギーに集中させるのではなく、電気・水素・その他そういったエネルギーを提供できて、健康診断、治療もできる、自動車にとっての「かかりつけ医」がスタンドということになっていくように思う。