僕が小学校二年生の頃の話です。
この時に初めて短距離走のタイムを測定したのですが、50m走で8.0秒で測定していた先生が、かなり驚いていました。
小学2年生の50m走平均タイムが約10.6秒です。(2019年度)
50mを8.0秒で走れるのが普通になるのが、中学1年生です(平均:8.4秒)
小学2年生の時に中学1年生と同じ程度の速さで走っていたことになります。
走ることに関して、自信を持っていました。
そして、グローブジャングルでの対決でも負けたことがありませんでした。
ちなみに、グローブジャングルが何か?というのは、以下の記事で書きました。
グローブジャングルは人間が鉄パイプに捕まりながらグルグル回って遊ぶ遊具です。
複数人が一緒にグルグル回ることもありますが、タイマン勝負で二人だけが走る場合もありました。
何人の場合でも、とにかくグルグル回ります。
最初から全力で回すわけではなく、徐々に早くしていき、回る速度についていけなくなった者はグローブジャングルから手を放して離脱します。
そんな僕が、知らない公園に行った時です。
グローブジャングルで一人の女の子だけがグルグル回って遊んでいました。
他に誰もいないわけではなく、他の子供たちは、ゼイゼイ息を切らしていたり地面に座り込んで苦しそうにしているのです。
女の子は小学校にまだ行っていないような年齢で5歳、もしくは4歳くらいに見えました。その時、僕は7歳でした。
そして息を切らしている子供の中には僕よりも背の高い、高学年の子供もいました。
これは、どう理解すればいいのでしょうか?
誰が考えても、グローブジャングルで、女の子が一人勝ちしたってことです。
グローブジャングルの回転速度が落ちてきたので、僕はグローブジャングルに近づいていくと、女の子は、キャキャーと笑いながら、こっちを見ています。
僕のグローブジャングルでの戦い方は、短期決戦なので、息が切れるほど走ることなく勝負はつきます。
最初はゆっくりと回り、一定の速度を超えたら一気に加速します。
そうすると、ついてこれなくなり、手を放すしかありません。
息が切れるほど苦しんでいるということは、自分の限界速度で力尽きるまで走らされたことになります。
僕は女の子が一人で回しているグローブジャングルの鉄パイプにつかまり、一緒に回り始めました。
まずは、この子が、どれくらい走れるのか試すことにしました。
少し回す速度を上げつつ、顔を確認します。
嬉しそうに笑っています・・・
更に回転速度を上げますが、女の子は大声で笑って喜んでいます。
ここまで回転速度を上げているのに笑っていられる4歳児に僕は驚きました。
高学年の子でも笑顔が消えるスピードのはずです。
僕は怖さを打ち消そうと、いつものように一気に加速しました。
そして僕の最大速度に達しましたが、女の子は更に大きな声で笑って喜んでいます。
逆に僕の表情から余裕は消えていたはずです。
同時に、この子に対して恐怖心が芽生えました。
そのまま、暫く全力で走りましたが、女の子は笑ったままです・・・
次の瞬間、更に回転速度が上がったのです。
僕の足は浮き気味になり、回転速度についていけなくなってきました。
これ以上は危険だと考えて手を放しました。
暫く走ったあと地面に転がり落ちました。
この時は、わかってはいませんでしたが、小学二年生にして初めての挫折を味合いました。
女の子はやはり、相手に力尽きるまで全力で走らせるタイプでした。
僕が起き上がりグローブジャングルを見た時には、あの女の子はいませんでした。
僕は4歳児にさえ負ける程度なんだと思い知らせれて、この時から暫くは僕は走るのがそんなに早くないんだと自信を無くしました。
それでも、高校時代までは陸上部の短距離選手にも負けることがなかったので、周囲は騒いでくれて、自然と自信は回復していきましたが、心のどこかで自分は井の中の蛙で普通より早い程度だという認識でした。
この女の子とは結局、グローブジャングルの戦いだけで、話すことはなかったので名前さえ知りませんでした。
しかし、その後、この子と、次はブランコ対決で戦うことになるとは思ってもいませんでした。