今朝、ディエゴ・マラドーナさんが2020年11月25日に心不全で亡くなられたという報道を知り驚きました。
まだ、60歳なので若すぎます。
史上最高のサッカー選手の一人、元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナさんが25日、ブエノスアイレス近郊の自宅で死去した。同国メディアによると心不全を起こしたという。10月30日に60歳になったばかりだった。左頭部に硬膜下血腫が見つかり、11月3日に手術を受けていた。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、同国が3日間の喪に服すると発表した。
小柄ながら左足を駆使した絶妙の足技で「天才児」などと呼ばれ、アルゼンチンを1986年ワールドカップ(W杯)優勝、90年W杯準優勝に導いた。半面、現役時代から薬物使用などの問題も起こした。
僕はアルゼンチンという言葉から出てくるのはマラドーナさんの顔です。
神の手ゴールから生まれた、5人抜きゴール
そして、マラドーナさんと言えば、神の手ゴールと伝説の5人抜きです。
共に、1986年のワールドカップ・メキシコ大会準々決勝のイングランド戦でのことです。
0対0で後半開始6分にマラドーナが見せます。
ヘディングと見せかけて審判の死角をついて左手でシュートを決め先制点を取りました。イングランド側は頭ではなく、手で落としたと抗議をしますが、受け入れられなかったことから、「神の手ゴール」と呼ばれています。
そして、その3分後の9分に俺は手なんて使わなくてもゴールできるんだということをアピールするかのように、センターライン付近でボールを受け取ると、そのままドリブルで緩急を付けながら相手チームの選手5人を抜いて2点目を奪ったのです。
これは誰もが文句なしのゴールでした。
5人抜きゴールは、疑惑の「神の手ゴール」があったから生まれたのだと僕は思います。
しかし、イングランド選手にとっては、この2つのゴールは屈辱だったと思います。
イングランド戦は敵討ち
マラドーナさんは、あの時のイングランド戦を、マルビーナス(フォークランド紛争)で殺された若者の敵討ちだったと語っています。
フォークランド紛争というのは、1982年3月からアルゼンチンとイギリスとで、フォークランド諸島(マルビナス諸島)の領有を巡り3か月間続いた紛争のことです。
フォークランド紛争はイギリスが実効支配していたフォークランド諸島へアルゼンチンが軍隊を派遣し上陸しました。これに対して、イギリスも軍を派遣し奪回したというものです。
アルゼンチンの人々はこの時のことを忘れていなかったので、イングランド人は爆弾を使ったが、アルゼンチンはサッカーで勝利するということで、敵討ちという気持ちがアルゼンチン選手のモチベーションを高めたようです。
神の手ゴールのことを、マラドーナは、ハンドだと認めた上で、「イングランド人の財布を盗み、バカにしてやった気分だった」と話しています。
マラドーナさんの中で、マルビーナスでの紛争は、忘れられない出来事だということです。
アルゼンチンは、ワールドカップ メキシコ大会準々決勝でイングランドを破り、見事、優勝を果たしました。
ドリブルの技術
マラドーナさんのドリブル技術で凄いのは、ボールを蹴って転がす速度が絶妙にコントロールされている点だと思います。
普通はボールを蹴りだすと、ボールが先行してしまい距離が離れていくものですが、マラドーナさんの場合には、距離が一定です。これはマラドーナさんの走る速度よりボールが転がるスピードの方が遅くなるように蹴りだしているからです。
マラドーナさんが、どんなに素早く動いていてもボールの速度は一定なんです。
よく「足にボールが吸い付いているかのようなドリブル」という表現をされますが、マラドーナさんのドリブルにピッタリの表現だと言えるのではないでしょうか?
マラドーナさんの足はそんなに速くないと言われますが、あえてトップスピードでドリブルをせずに、余力を残しているのだと思います。
ボールをゆっくりと蹴りだすと同時に自分が素早く動けば、素早く動いた方に目を奪われるものです。ボールを前に蹴りだし、右に行くと見せかけると相手選手はつられてしまいます。そしてボールの速度が自分のトップスピードと同じだと、自分とボールの距離はどうしても離れてしまいます。
マラドーナさんの凄いのは、ボールを蹴りだす速度を実に上手にコントロールしている点だと思います。
そして、ゴール間際では慎重なくらいにシュートを放ちません。
ここで蹴っても無理だという場面ではボールを無理に蹴りださないのです。
相手を揺さぶり完全にフリーにならない限りシュートしない慎重さをマラドーナさんは持っているのです。
ドリブルの原点は?
マラドーナさんは8人兄弟の5番目です。
裕福な家庭ではなかったのですが、6歳の時にサッカーボールをプレゼントされます。
サッカーボールは貴重品なので大切にします。
取られないように寝る時も服の中に入れていたという話を聞きました。
これがマラドーナさんの基本を作ったのではないかと思います。
大切なボールは、取られたくない。
だから、自分の手(足)が届く距離に置いておきたい。
ドリブルでボールを蹴りだす時に自分が追い付けないような速度で蹴ってしまうと他の人に取られてしまうということからマラドーナさんのドリブルは作られたのではないかと思います。