seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

ガス爆発はガス器具使用中より使用していない時に多い?

福島のしゃぶしゃぶ店でガス爆発

ニュースを見ていると、福島の有名しゃぶしゃぶ店でガス爆発が起きたということで映像共に報道されていました。

30日午前9時前、福島県郡山市島2丁目にある飲食店、「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」で爆発がありました。

店の中で男性1人の遺体が見つかり、警察が身元の確認を進めたところ、仙台市太白区の会社員、古川寛さん(50)と確認されました。

警察などによりますと、爆発が起きた店は新型コロナウイルスの影響で4月から休業し、その期間中に店舗の改装を行っていたということです。

古川さんが勤務する仙台市の設計施工会社によりますと、古川さんはこの店の改装工事の現場監督で、壁紙を塗装したり床を貼り替えたりする作業を行い、ガス関係の工事は請け負っていないということです。

今回の爆発では、このほか周辺の銀行のATMを使っていた人や近くの会社の事務所にいた人など、20代から80代の男女18人がけがをしました。

www3.nhk.or.jp

ガス爆発の破壊力

半径150mの範囲では窓のガラスや車のガラスが粉々に割れてしまう程の破壊力だったようです。爆発元の建屋は鉄骨だけが残りあとは全部、吹き飛ばされていました。

ガスは引火すると火災ではなく、爆発が起きるのです。

このため、ガス=爆発というイメージが正直あります。

ガス爆発ってガスを使っているときよりも、使っていないときの方が事故が起きる場合が多いのではないかと思っています。

f:id:seege:20200801154044p:plain

ガス器具の安全対策は二重三重

最近のガス器具というのはガス漏れを検知するとガスを遮断し火を消す機能が付加されています。

それも何重にもです。

ガスの量を制御する比例弁の他に、元弁と言われるガスの元栓に相当するもの給湯弁、風呂弁とガスの入り切りをする弁だけでも4つもあります。

これらはどれか1つでも動作しなければ運転を停止しガスを遮断します。

ソフトウェア上の安全機能で、僕が覚えているだけでも以下のものがあります。

  • 火をつけたのに火が点かないとガスを停止
  • 火がついて設定温にならないとガスを停止
  • 途中で火が消えてしまったらガスを停止
  • センサーが断線していたらガスを停止
  • 燃焼ファンモーターが回転していないとガスを停止
  • 連続してお湯を出し続けると(例:35分以上)ガスを停止
  • マイコンが暴走していたらガスを停止
  • 燃焼を状態を検出するセンサーが不完全燃焼になるとガスを停止
  • 凍結を検知するとガスを停止

ガスだけではなく、給湯器だとお湯を扱うので、やけどをするような温度のお湯になるとエラーにしたり、一酸化中毒にならないように一酸化炭素濃度を検知するCOセンサーといった人に対する安全についても考えられています。

とにかく、接続されている機器の異常を検知したらガスを停める安全機能が沢山あるのです。更に、ガスの開け閉めをする電磁弁をリレー接点で動作させるのですが、リレーが故障したり、リレーの接点が溶着してONのままになっていたりしていると電磁弁が開かないようにソフトウェアだけではなくハードウェア的にガスを流出させない安全機能が付いています。

このようにガス機器というのは、何重もの安全機能がついていてガスが出たままになるという状態が起きないようにしているのです。

ガスは怖い

逆にいえば、ガスはそれだけ怖いものであり、一歩間違えれば爆発なので、爆弾を積んでいるようなものですから、これでもまだ安全とは言えないかもしれません。

実際、幾重もの安全機能を設けていても、予期しない不具合で、お風呂に入っているときにお湯が異常に熱くなったりする事故、一酸化炭素中毒で死に至る事故が実際に発生しています。

ガス器具を開発している会社ではガス爆発だけは絶対に起こしてはいけないということで、ここまで必要というくらいに安全について考えて製品を作っているのです。

ガスの扱いについてはプロの商品開発者でさえ、ガスを実際に使っての燃焼試験の時に操作を誤ったり、不注意でガスに引火させたりすると、ここでもガス爆発が起きます。

実際に、ガス機器メーカーの開発部門で爆発事故が起きたこともあります。

つまり、ガス機器というのは何重もの安全装置が付加されていて安全に作られていますが、ガス機器が稼働していない状態で、内装工事などを行うと、ガス管に穴を開けてしまってガス漏れが発生したりするわけです。

今回の福島での事故もガスコンロをIHコンロに交換しようとして起きたものです。

ガスには種類がある

ガスといっても種類が多く、都市ガスだとガス事業者によって成分が異なるので、13種類にもなります。これにプロパンと呼ばれているLPガスが含まれます。

●都市ガス

  • 13A
  • 12A
  • 6A
  • 5C
  • L1(6B,6C,7C)
  • L2(5A,5B,5AN)
  • L3(4A,4B,4C)

LPガス(24000Kcal/m3)

都市ガスを示す数字は熱量を示します。

  • 13:10000~15000Kcal/m3
  • 12:9070~11000Kcal/m3
  • 6:5800~7000Kcal/m3
  • 5:4500~5000Kcal/m3
  • L1:4500~5000Kcal/m3
  • L2:4500~5000Kcal/m3
  • L3:3600~4500Kcal/m3

次のアルファベットは燃焼速度を示しA=遅い、B=中間、C=速い

【出典】東京ガス : ガスのこと / 都市ガスの種類・熱量・圧力・成分

ガスは目に見えないので、臭いを意図的に付加して漏れていればわかるようにしています。

そして都市ガスは、空気より軽いので上にあがり、LPガスは逆に空気より重いので下に下がります。LPガスはガスと空気が2.2~9.5%の割合で交ざると爆発し、都市ガスは6~45%で爆発します。これ以外の濃度では爆発しないんですね。

一酸化炭素中毒というのはガスの中に含まれている場合の生ガスによるものと、換気がされない状態で燃焼が続き、酸素が不足し不完全燃焼となり一酸化炭素が発生する場合の2つがあります。ガスは電気と違って燃焼するのに酸素が必要ですから長時間使用する場合には換気がどうしても必要になります。

ガス器具のトラブルで多いのはソフトコード(ガスホース)

ガス器具の事故やトラブルの原因で一番多いと思うのは、ガス器具にガスを供給してくれる、ソフトコードです。

f:id:seege:20200801153117j:plain

これ、ガステーブルコンロの後ろ側に取り付けられていることが多いのですが、ソフトコードがテーブルコンロと壁の間で圧し潰されてガスの供給が止まってしまうこともあります。ガス器具って、まだこのソフトコードが進化していないんですよね。

ガスコンセントみたいな感じでホースやコードでガス器具とガス栓を接続するのではなくて、ガス器具とガス栓が直接接続できるような感じになっていれば、ソフトケーブルからガスが漏れるなんてこともなくなるはずです。

ガスはプロパンや都市ガスがあれば燃料を自分で補充することなく使うことができますが、ガスの特性やガス器具の仕組みや使い方を理解していないと思わぬ大事故を招く可能性もあるのです。

半面、電気を使ったものだとガスよりは電気の特性を知らなくても事故が起きるというのは少ないのかもしれませんが、それでも電気の特性を知っていないと漏電が発生し寝ている間に火災が発生してしまうという可能性もあります。

何事も自分が使用するものについては、しっかりと特性や使い方を知っておく必要があるということです。