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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

「自炊」書籍スキャンってどうなったの?

東野圭吾作品が電子書籍化?

今朝、AmazonのサイトのKindleのページを開くと、驚きの内容が表示されました。

東野圭吾 7作品が一挙電子化 <予約受付中>
あの人気作品が待望の電子書籍化!4月24日発売

【出典】Amazon.co.jp

Amazon.co.jp: 東野圭吾 7作品電子化 (4/24発売): Kindleストア

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そして電子書籍化されるのは以下の7作品

東野圭吾作品を出版している会社から1冊ずつということです。

ネットニュースでも報道されていたので、やはり東野圭吾作品初の電子化のインパクトは凄いですね。

自作の電子化について、東野さんは「外に出たい若者たちよ、もうしばらくご辛抱を! たまには読書でもいかがですか。新しい世界が開けるかもしれません。保証はできませんが」とコメントした。

www.sankei.com

新型コロナウイルスで外出自粛を考えてのことだったんですね。

通常書籍を購入していたファンにとっては、「えーっ」という感じの方もいらっしゃるかもしれませんが、いつか電子書籍化されるということで買い控えていた方にとっては、「やったー」って感じだと思います。

東野圭吾さんは、なぜ電子書籍化を拒んでいるのか?

記憶違いだったら、申し訳ありませんが、東野圭吾さんが電子書籍化を嫌がるのは、本を「定価」で買ってくれる人と、そうでない人(図書館で借りたりする人)が同じサービスを受けられるのが不公平だというのを随分前に記事で読んだ記憶があります。

出版社、作家は、本を買ってくれる人がいるから継続して本作りができるのであって、古本、レンタル、図書館で借りる人ばかりになると本作りが成り立たたなくなるということなのでしょう。

自炊を訴える

そして、今回の本題である「自炊」が2011年頃から登場してきます。

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紙の本をスキャンして電子化することを「自炊」と表現していましたが、それを本の購入者本人ではなくスキャン代行業者に依頼することが私的複製には当たらないとということで、2011年12月に、東野圭吾さんをはじめ、以下の方がスキャン代行業者の営業差止を求めて提訴しました。(以下、五十音順

提訴されたスキャン代行業者は以下の通りです。

  • 有限会社愛宕(サービス名:スキャンボックス)
  • スキャン×BANK株式会社(サービス名:スキャン×BANK)

この提訴は、訴えられた業者が解散を選択したため、裁判にはならず、訴えを取り下げました。

しかし、その後も、「自炊」業者が絶えない、明確な判例を求めるという意味もあり、2012年11月に改めて以下の業者の提訴を行いました。

  • 株式会社ユープランニング(サービス名:ブックコピー)
  • 株式会社タイムズ(サービス名:スキャンエージェント)
  • 株式会社ビー・トゥ・システムズ(サービス名:00paper.com)
  • 有限会社ジャカレ・アセット・マネジメント(サービス名:PDFBOOKS)
  • 株式会社サンドリーム(サービス名:ヒルズスキャン 24)
  • 株式会社Multi Cast(サービス名:電子書籍化ドットコム)
  • 有限会社ドライバレッジジャパン(サービス名:スキャポン)

提訴の結果は全面勝訴

2013年9月には、以下の2社(代表者)については、差止めの請求及び損害賠償請求が認められ、原告の全面勝訴となりました。

  • 株式会社サンドリーム
  • 有限会社ドライバレッジジャパン

また、以下の1社については、謝罪し原告の請求を認めています。

  • 株式会社Multi Cast

そして、2013年10月には、残りの4社についても判決が言い渡され、原告による差止めの請求及び損害賠償請求が認められ、これで原告が提起していた一連の訴訟の第一審判決は全て原告の全面勝訴となりました。

  • 株式会社ユープランニング
  • 株式会社タイムズ
  • 株式会社ビー・トゥ・システムズ
  • 有限会社ジャカレ・アセット・マネジメント

しかし、以下の1社が控訴を決めたことで裁判は続きます。

  • 有限会社ドライバレッジジャパン

そして、2014年10月22日、知財高裁で控訴棄却の判決が言い渡され、第一審判決に続き、原告(控訴審では被控訴人)の全面勝訴となりました。

なぜ、自炊が法律違反なのか? 

自分で買った本を自分でスキャンして電子化するのは構いませんが、第三者が複製作業を行うのは

著作権法二十一条の複製権の侵害だということです。

第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(上演権及び演奏権)

【引用】e-Gov

著作物の複製権は著作者にあるので、著作者が認めない複製は権利を侵害するものだという主張になります。

ちなみに、自分で行い自身が使う場合には、著作権法三十条の私的使用のための複製で認められています。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

【引用】e-Gov

7人の作家さんの提訴は意味があったのか?

この提訴ですが、自炊を減らすという意味で効果はあったのだと思います。

しかし、東野圭吾氏が考える、本を定価で 買ってくれる人とそうでない人の差別化という意味では効果はないはずです。

自炊を行っていた人は家にある本が保管スペースを圧迫するので電子化したいという方もいたはずです。

2回の提訴により自炊は無くなりました。

そして今はKindleをはじめとして、電子書籍も充実してきています。

電子書籍は古本も貸し出しというのも今はありません。

そういう意味では紙の本より電子書籍の方が東野圭吾氏の思いに近いのではないかと思います。自炊=電子書籍という悪いイメージを持ってしまったのかもしれませんが、今回の東野圭吾作品の電子化をきっかけに、他の電子書籍嫌いの作家さんも外出自粛ということから同じように電子書籍化の動きが高まるような気がします。

電子書籍についても、作家さんには今一度、考えて頂きたいと思います。