観光過剰
生活が変えられた金沢市民
大型連休になると金沢市中心地は混雑するので来ないでくださいといった感じの案内が出される。
その結果、金沢市の観光地と言われる、兼六園・21世紀美術館近辺・金沢駅周辺・近江町周辺・ひがし茶屋街周辺に近寄れなくなった。
路線バスも観光客で混雑するため、乗れなくないので、金沢市中心地には1年に数回くらいしか行けなくなった。
観光地に人が来ることで、自分達の生活はよくなったのだろうか?
インバウンドは県内観光には欠かせないということだが、だったら、インバウンドから税金を徴収してくれと言いたくなる。
県民・市民が快適な生活を送るために税金は使われるべきであって、観光客が快適に観光できるように使われても、観光業または観光関連業の方達だけが潤って、その他の圧倒的多数の県民・市民には何の恩恵もない。
県や市に流れていく税金の多くは恩恵を受けない人達が出しているものだ。
税金を使うなら、ちゃんと比率を考えて使って欲しいと思うのは自分だけだろうか?
金沢市は北陸新幹線開通後はずっと「観光過剰」状態で金沢市中心部から離れる生活を強いられている。
「観光過剰」というのは英語だと「オーバーツーリズム」といい 観光地や地域に観光客が過剰に集まることで、地域住民や自然環境、景観などに悪影響を及ぼす状況を指す。

金沢市でも問題になっていることは周知のことであったが、これまで重い腰を動かそうとしなかった。
何があったのかは知らないがようやくその重い腰が動き、石川県はオーバーツーリズムの現状と対策を話し合うため、2024年9月11日、初めての会合を開いた。
会合には観光協会や飲食店などが参加するまちづくり協議会など19団体が参加した。
おそらく、この会合には、観光業関連の団体しか参加していないようなので、偏った意見しか出てこないだろうから、一過性のもので長くは続かないと思う。
北國新聞の1面記事
そんな中、2024年9月14日の北國新聞の1面に「関西へ移動『不便』44%」という大きな見出しが掲載され、翌日の9月15日には「関西客3割減の衝撃」という見出しが1面を飾った。

北陸新幹線が延伸されて大阪・名古屋への移動は敦賀までの新幹線利用が必須となり、更に敦賀で必ず乗り換えが必要になり料金も上がってしまったことによる調査を行ないその結果を2日続けて新聞の1面に掲載した。
9月の3連休、初日と2日目にあえて、この記事を1面に持ってきたことに何かを感じた。
関西へ移動『不便』44%
金大先端観光科学研究所が北陸新幹線敦賀延伸から半年に合わせ、石川県民の鉄道利用に関するアンケート結果をまとめた。
北陸新幹線を使った関西方面への移動が不便と答えた人は約44%で、利便性が高いとした人の約3倍となった。延伸により金沢ー大阪間の移動時間は22分短縮されたが、敦賀駅での乗り換えや運賃の値上げに負担を感じる人が多く、乗り換えについては全体の約6割、運賃については約7割が否定的に受け止めた。
改善して欲しい点としては、以下の内容が多かった。
- 乗り継ぎの利便性向上(51.3%)
- 運賃の見直し(42.9%)
- 料金プランの多様化(26.2%)
敦賀での乗り換え時間は8分しかないので、高齢者には不安を感じさせる時間だと思う。また大阪に向かう際に、サンダーバード直通の時よりも今は1,950円も高い。
関西客3割減の衝撃
金大先端観光科学研究所が2024年3月~9月に関西2府5県から金沢駅を訪れた人数を調べた結果、延伸前の昨年同期と比べて31.2%減っていたという。
調査方法はスマートホンの位置情報を利用し、移動人数を推測するというもの。
このため、関西客の実数を示すものではないが、調査方法が同じで、3割減ということなので大きく減少したのは間違いなさそうだ。
減少した理由として旅行代理店がツアーを組みにくくなったということがある。
敦賀で乗り換え時間が最短8分と短いため、その余裕のなさが団体旅行にとってはネックになるという。

3面には「カニの季節中京客呼べるか」という更に大きな見出しの記事が掲載されている。
これは小松市と加賀市の話で、関東・関西からの来訪は増えているが、中京からの来訪が激減しているという。
加賀市が市内の宿泊施設を対象に4~7月に調査したところ、関東方面からは24.7%増、関西方面からは12.6%増だった一方で中京からは0.5%減少していた。
小松市はスマートフォンの位置情報とデータ分析ツールを活用して4~8月の来訪者数を調べたところ関東からは12.9%増、関西からは6.0%増、中京からは4.7%減となった。
なぜ、中京からの来訪だけが減ったのだろうか?
名古屋からは東海道新幹線で米原まで、米原からは特急しらさぎで敦賀まで、更に敦賀からは北陸新幹線で加賀・小松までと3つの電車を乗り継がないといけない。
名古屋から敦賀までの直通のしらさぎもあるが、米原で方向転換を行うので、座席の向きを変える作業が生じるので、米原で必ず席を立つことになる。これが面倒だと感じる人もいるという。
加賀市の調査で関西客が増えているが、駅からの送迎を利用する人数はそれほど変わっていないので、新幹線ではなく自家用車利用で来訪しているのでは?という指摘もある。
そして、冬になればカニの季節がやってくる。
これまでは加能ガニを目当てで来訪が増えていたが、今年は敦賀延伸により越前ガニも加わるので分散する可能性もある。

観光面でも不安
このように観光面でも関西・中京からの来訪数の減少、敦賀延伸により冬のカニを目当ての来訪者も減少する可能性がある。
これは一過性のもので慣れてくれば、数字は増える方向に変わるのだろうか?
それとも、今はまだ、延伸直後ということで関東方面からの来訪者が増えているが、今後、時間と共に減少していくのだろうか?
敦賀延伸により、石川県内の観光関連業の方も安心してはいられない状況のようだ。