郵便料金が値上げ
郵便料金が2024年10月から値上げだそうだ。
はがきは63円から85円、封書(25グラム以下)は84円から110円。
消費税増加分の影響を除くと、30年ぶりの値上げとなる。
値上げすれば利用者は減るので、日本郵政は郵便事業から撤退しようとしているのではないか?と思われるような暴挙に出たように思う。
郵便事業は大赤字?
ところが、暴挙ではなかった。
郵便事業は2023年度、約890憶円の赤字で、2022年度が約211憶円の赤字となっているので2年連続、しか雪だるま式に赤字が拡大していることになる。
赤字の主な要因は郵便物の減少で、2021年度が約192億通、2022年度が約185億通、2023年度が約135億通と2023年度は激減している。
2001年度の263憶通と比べると48%も減少している。
【出典】郵便事業 昨年度の赤字は約890億円 事業効率化が課題 | NHK | 通信
確かに、最近は請求書や利用明細といったものは郵便での送付をやめる企業が増えているので、自宅に届く郵便物は格段に減った。
ダイレクトメールのようなものも、届く頻度が減っているので、一時期はそれこそ毎日のように郵便物が届いていたが、今は多くても1週間に数回といったところだ。
郵便局にたまに行っても、利用者の数が以前よりもかなり減っているように感じる。
何に費用がかかる?
郵便物が減ると大きく赤字になるということなので、固定費が圧迫しているということになる。
総務省が作成した「郵便事業の現状と今後の見通しについて」という資料を確認すると2022年度の営業費用は、12,767億円。
つまり、1.2767兆円もかかっていることになる。
そして内国郵便業務のみが赤字になっていることから国内分のみということなので配達料金の負担が大きいように感じる。
営業費の内訳を確認すると・・・
予想通り、人件費が66.4%を占めている。
これに郵便局窓口営業費の12.2%を加算すると、78.6%になるので、この2つに問題がある可能性が高い。
賃金が高すぎるのではないか?と疑ってみたが・・・
民間企業の平均賃金よりも安い。
【出典】https://www.soumu.go.jp/main_content/000956505.pdf
変動費で赤字解消?
そんなことから、赤字解消ということで、2024年10月からの郵便料金値上げ、荷物の宅配事業を強化することで2025度には900億円の営業黒字を目指すということのようだ。
しかし、黒字に転換するのは2025年度だけで2026年度には再び400億円の赤字に転じ、2028年度には赤字額が1232億円に拡大する見通しだという。
NHKの報道では、郵便料金の値上げは消費税の増税以外では1994年以来30年ぶりだということだ。
確かに、1994年にはがきが40円から50円、封書が60円から80円に値上げしているが、年賀はがきは、頻繁に値上げしていたような記憶があるので調べてみると、2017年にはがきだけが52円から62円に値上げされていたので7年ぶりということのようだ。
【出典】戦後昭和史 - 郵便料金の推移
固定費が高すぎるので、損益分岐点も高くなるので、変動費が減れば赤字になるのは当然。
変動費をあげようということで値上げを試みているが、普通に考えれば、郵便の利用に影響を受けない、固定費を削減するのがセオリーだ。
固定を削れない郵便事業
しかし、郵便局の特性としてそれができない。
営業費の約8割を占める人件費等を削減するということはそれは、全国にある赤字の郵便局を閉鎖することになる。
民間企業であれば赤字の営業所は閉鎖するのが当たり前。
しかし、郵便局は赤字でも利用者がいる限り、閉鎖するという選択はできない。
本来、郵便局は民営化されたので、公共性を考える必要はないが、そんな簡単に割り切れるものではない。
これは、小泉純一郎が、執拗に拘っていた郵政民営化を行った弊害だ。
であれば、害を被っている部分は国が税金で補てんするべきなのではないだろうか?
赤字でも公益性を優先しないといけないので閉鎖はできない。
民間企業なので赤字にはできないので、郵便料金を値上げするしかない。
値上げした郵便料金というのは、本来は税金で支払われるべきなのに、国民が更に追加で税金を支払っているようなもの。
これでは郵便料金という名の郵便税が増えたようなものではないだろうか?
値上げすれば更に郵便を使用する人は減るので、更に値上げをしないといけなくなる。
完全な悪循環だ。
公共性を優先させるのであれば、それは国の役割であり民間企業に依存するものではない。